犬が真夏1日で必要な『水分摂取量』!絶対に体重×0.05リットルは必要!?

犬が真夏1日で必要な『水分摂取量』!絶対に体重×0.05リットルは必要!?

愛犬の健康管理の中でも大きな位置を占めるのが栄養管理です。実は、それと同じくらい重要なのが水分補給です。体の大部分が水でできており、体内の水分が不足すると脱水症状を起こして命の危険にもつながるからです。特に水分補給が重要とされる夏に焦点を当て、犬の水分補給について解説します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

水分が重要な理由

水飛沫をあげる犬

犬の体の約70%、子犬に至っては約80%が水分でできています。それだけ、水分は生きていくために必要な要素だということです。

体内の水分は、「細胞内液」と「細胞外液」に分類でき、体内の水分の内約2/3が細胞内液、残りの1/3が細胞外液です。

細胞外液は血液とリンパ液、そして細胞間液です。最もわかりやすいのが血液でしょう。

血液の中の赤血球は、肺から取り込んだ酸素を全身に運んでいます。しかし、血液の働きはそれだけではありません。

血液の半分以上を占める血漿の91%が水分です。血漿にはナトリウムイオン、塩化物イオン、タンパク質などの様々な成分が溶けています。つまり血液は、酸素だけでなく栄養やホルモンも体の隅々にまで運んでいるのです。

そして、血液が腎臓を通過してきれいにされる際に、体の老廃物や過剰になってしまった物質が尿として体外に排出され、必要な物質は体内に戻されます。

また、水分は体温の調節にも関わっています。犬は汗をかけない代わりに暑いと「パンティング」という舌を出して粗い呼吸をすることで、口内の表面の水分を蒸発させて、その気化熱を利用して体温を下げます。

このように、水分は体の中でとても重要な役割を担っています。そして、水分は呼吸や排泄等で体外に出ていくため、適切な水分補給がとても大切なのです。

犬の水分摂取量の考え方

水の前に座る犬

犬が水分を摂取する方法は、3つあります。「直接水を飲む」、「食事に含まれている水分を食事と一緒に摂取する」、そして「代謝水」です。

代謝水とは、各栄養素がエネルギーとなる時に作られる水のことで、「1日に必要な水分量の約10%は代謝水でまかなえる」と考えられています。

犬が1日に必要とする水分摂取量の計算式としては、下記が知られています。

1日に必要な水分摂取量(ml)=体重(kg) × 0.75乗 × 132

0.75乗とは3/4乗のことなので、科学計算用の計算機を使って下記のように計算できます。([ ]内は計算機のボタンを意味しています)

体重 [×] 体重 [×] 体重 [=] [√] [√] [×] 132 [=]

※計算機によっては、[√]を[2√x]と表示している場合もあります

これで算出すると、体重5kgの犬の場合、1日に必要な水分量は約441mlです。この内の9割の397ml程度を食事と飲水でまかなうことになります。

食事から摂取する水分については、フードの種類によって異なります。

フードに含まれる水分量は、ドライフードが約10%、ウェットフードが約80%、セミモイストタイプやソフトドライタイプが約30%を目安に算出します。

例えば体重5kgの犬が1日に100gのドライフードを食べた場合、食事から摂取できる水分量は 100 × 0.1 = 10mlなので、飲水として 397 − 10 = 387ml飲ませる必要があります。

これが170gのウェットフードだった場合は 170 × 0.8 = 136mlなので、飲水としての摂取量は 397 − 136 = 261mlになるのです。

このように、フードの種類によって飲水量が変わってくることを知っておきましょう。

以下のサイトにおおよその飲水量が記載されています。参考にしてください。

環境省 飼い主のためのペットフード・ガイドライン

飲水量の増減を把握することが大切

散歩中に水分補給

犬の水分摂取量について、考え方を知っていただくために細かく説明しましたが、実際に正確な飲水量を計測するのは難しいでしょう。ボウルに入れておいた水は自然に蒸発していきますし、犬がこぼしてしまうこともあるからです。

ですから、実際に愛犬が飲んだ正確な水の量を把握する必要はありません。ボウルに入れた水の量から水を取り替えるときに残っていた量を引いた数値を記録しておき、1日あたりの飲水量の変化を気にしましょう。

散歩の途中で飲んだ水の量も、大体これ位という感覚で構いません。把握できるレベルで良いので記録しましょう。そして、飲水量の増減やその変化が劇的かどうかを気にしましょう。

それと同時に、おしっこの量や回数も把握しておき、一緒に気にしてください。多飲多尿は糖尿病、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、腎不全などの病気である可能性が高いからです。

夏の脱水に要注意

パンティングする犬

夏は特に水分補給が大切な季節です。肉球でしか汗をかけない犬は、パンティングという呼吸法で口内の水分を蒸発させて体温を下げます。そのためいつも以上に体内の水分が減り、脱水症状を起こしやすくなるのです。

長毛種や短頭種は、特に気をつける必要があります。食欲がない、睡眠時間が長い、元気がない、下痢や嘔吐があるなどの場合は、脱水の可能性があるため動物病院で診てもらいましょう。

首の後ろの皮を掴んで上に引っ張り、手を離してから元に戻るまでに数秒かかる場合は脱水している可能性が高いです。歯茎などの粘膜が白っぽくなって乾燥している場合も同様です。

まとめ

夏の散歩でペットボトルの水をがぶ飲みする犬

細かいことまでご説明しましたが、重要なのは飲水量が極端に減ったり増えたりしていないかということです。

おおまかに「体重 × 50ml」が飲水量の目安と考えて良いでしょう。5kgの犬なら250ml、10kgの犬なら500ml、20kgの犬なら1リットルといった感じです。

変化の幅がこの目安からあまりにも外れている場合は、水分摂取の考え方と照らして原因を考えてみてください。

そして、特に変化する原因(フードを変えた、季節が変わった等)が見つからない場合やその範囲を上回った変化の場合は、迷わずに動物病院に相談してください。

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