1.フィラリア
衛生管理の行き届いた日本の中で、全国的に見られる寄生虫が「フィラリア」です。
フィラリアは蚊を媒介して感染するため、それによる感染症は野生動物や植物が多くない都市部でも多く発生します。
寄生虫感染というと胃腸などの消化器官にトラブルを引き起こすイメージがありますが、フィラリアの場合は血管や心臓に寄生するため、より一層危険な症状を招きます。
血管を傷つけたり、心臓や肺などの機能に悪影響を及ぼし、食欲不振や咳、呼吸困難、腹水などの症状を引き起こし、最悪の場合命を落としてしまいます。
ただし、一昔前とは異なり、近年ではフィラリア症にかかっても投薬治療で完治させたり、対処療法で症状を軽減したりできるようになっています。
また、危険な感染症とはいっても簡単に予防ができる病気でもあります。
蚊が発生している4~12月頃に、月に一度薬を飲ませて犬の体内に入り込んだ幼虫を駆除するのです。
そうすることでフィラリアが心臓に達したり、大量に寄生して病気を引き起こすことを防ぐことができるとされています。
中には注射タイプや半年に1回でOKの駆虫薬などもあります。
2.マダニ
犬に寄生する虫として広く知られているのが、ノミやダニではないでしょうか。
特に「マダニ」は、皮膚にかゆみや炎症を引き起こすだけでなく、バベシア症やライム病など重大な病気を伝播する役割も果たすため、非常に危険な寄生虫です。
マダニは室内のカーペットなどにいるものとは異なり、大型で春〜秋頃の気温の高い季節に活発に動きます。草むらなどに生息し、近くを通った人や犬などの動物に寄生して吸血することで栄養を得ているのです。
山や草原のように自然豊かな場所だけでなく、子どもが遊ぶような公園や道の端にあるちょっとした草むらなどにもいるので、都市部で日常的に散歩をしているだけでもマダニが寄生することがあるのです。
マダニは2~3mm程度の大きさですが、吸血することで体がパンパンに膨れて数倍~数十倍近くの大きさにもなります。血を吸って大きくなったマダニは、目につきやすいので犬の体に寄生していることに気がつくことをあると思います。
しかし、すでに食いついている状態の時は、むやみに引っ張って取ろうとしてはいけません。
マダニの口先はギザギザで鋭いため簡単に取れず、引っ張ると頭の部分が犬の体に残ったり、皮膚が破けてしまうことがあるからです。専用器具で口先からきちんと取るか、動物病院で取ってもらうようにしてください。
また、フィラリア症と同様に、マダニ感染についても予防薬を用いて予防することができます。自然の多い場所に出かける前や、マダニが発生しやすい季節にはそれらを利用することをおすすめします。
3.回虫
犬の消化器官にトラブルを引き起こす寄生虫として知られているのが、「回虫」です。
ほかの犬の糞などから感染することが多いとされていますが、母子感染もあるため生後数週間で感染することもあります。症状としては、腹痛や下痢、嘔吐、食欲不振などが見られます。
健康な成犬が回虫に感染した場合、抗線虫薬を投与するなど適切な治療を行えば、完治させて回復させることができます。
しかし、免疫力が弱く、体力の少ない子犬が回虫感染した場合は、食欲不振、下痢や嘔吐、栄養失調、貧血などが起こり、駆虫が遅れると症状の進行が早く、最悪の場合命が奪われてしまうことがあるのです。
子犬に下痢や嘔吐の症状が続く時は、早めに動物病院で検査してもらうようにしましょう。
まとめ
散歩はもちろん、飼い主さんと一緒にキャンプなどのアウトドアを楽しむ犬も多くいると思います。
それらは犬にとっても飼い主さんとっても幸せな時間になると思いますが、寄生虫感染の危険性があるということを十分に考えておきましょう。
蚊やマダニといった比較的身近な場所に潜んでいる虫や、ほかの犬の糞などから感染が起こる可能性があります。
ちょっとした体調不良で済む場合もありますが、年齢や体調によっては命さえも脅かすこともあるということを知っておいてください。
そして、できる限りの予防を行い、愛犬の健康と楽しい生活を守ってあげましょう。