犬の『問題行動』が直らない!成犬でもしつけってできるの?

犬の『問題行動』が直らない!成犬でもしつけってできるの?

「成犬の問題行動はしつけで直すことができるのか」について解説します。子犬の頃に徹底してしつけを行った場合でも、環境の変化などによって成犬でも問題行動が見られることがあります。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

成犬の問題行動を直す方法としつけ

威嚇するチワワの顔のアップ

問題行動を起こす愛犬がいると、冷たい視線や言葉を浴びることがあるかもしれません。

しつけをしていない悪い飼い主だと思われるのではないかと不安になることがあるかもしれません。

成犬の問題行動の主な原因は、飼い主が犬のことをよく理解していないことだそうです。犬を正しく扱えていないのです。

問題行動を放っておく飼い主はいないと思いますが、しつけをしているつもりでも全く愛犬に何も学ばせていなかったり、飼い主が伝えたいことが上手く伝わっておらず、犬にとっては飼い主も一緒にはしゃいでいるだけとか、訳が分からないけど飼い主の機嫌が悪い、怒っているとか、何かをすると怒られるしどうしたら良いか分からず犬も困っている、などの状態になっていることが多いそう。

相手は言葉で説明しても理解することができない犬なのですから、「どのようにしたら愛犬に理解してもらえるだろうか」を知る必要があります。

まずは飼い主が愛犬の気持ち、飼い主にとって問題となる行動をする理由を見つけることが大事です。

「体験」が「行動」を作る

犬は自身が体験した出来事と、それによった起こった結果によって学習をします。

例えば、“激しく吠え続けたらおやつがもらえた”という体験をした場合、「吠えればおやつがもらえる」という学習をしたことになり、おやつをもらうために激しく吠えるという行動を起こす犬になってしまうことがあります。飼い主にとっては問題ですが、犬にとっては自分が欲しいおやつを手に入れるために学習したことを行動に移しているだけです。

犬はおやつが欲しいですし、吠えたらもらえたという経験があるので、おやつがもらえるまで吠え続けます。

この行動をやめさせるためには、吠えてもおやつがもらえない体験をさせると同時に、吠えなければおやつがもらえるという体験をさせます。

最初は吠えていても、「吠えるのをやめたらおやつをあげる」というアドバイスをよく見ます。しかしベストなのは、「吠えそうになった時に犬の気をそらせて吠え始めるのを阻止し、おやつをあげる」です。これは経験のない飼い主にとってはタイミングよく行うのはかなり難しいので、プロのトレーナーに教えてもらいながら行うと良いでしょう。吠える犬に対し「吠えるのをやめたらおやつをあげる」ことで吠えなくなる場合もあります。吠えてもおやつはもらえないと理解できた時、静かに待てるようになります。

これでおやつを要求するために吠え続けることをやめるはずです。

「叱るしつけ」ではなく「褒めるしつけ」をする

しつけのためだと言って叱りつけたり体罰を与えたりすると、愛犬にとって飼い主は恐ろしい存在になってしまいます。しつけも上手くできませんし、飼い主を避けるようになってしまいます。

犬がして欲しくない行動をした時に、それはダメなことだと伝える必要はありますが、それはただ「ダメだと伝える」だけであって「叱る、怒る」とは違います。しかし、犬にダメだと伝えることができない飼い主の場合、「ダメ」と言っても犬がやめてくれない、問題行動を繰り返すので「叱る」や「怒る」になってしまうのです。犬に「ダメ」を伝えるにはタイミングも大事ですが、それは言い方だけの問題ではなく普段からの犬と飼い主の関係性も影響する問題なので、飼い主が犬との関係性を改めることができなければ、犬に「ダメ」を伝えることができないことが多いでしょう。

またしつけでは、「ダメ」を伝えるだけではなく褒めることもとても大切なことです。

飼い主に褒められることは犬にとって嬉しいことで、褒められたら楽しいですし、やる気も出ます。飼い主といることがもっと心地よくなります。褒め方にはおやつを与える他にも、声をかけたり、なでたり、遊んだり、走ったりと、色々な方法があります。大事なのは、犬が喜ぶことをするということです。おやつだったら好きな食べ物をあげる、高めのトーンで嬉しそうに声をかける、お気に入りのロープで引っ張りっこをするなどです。

無視だけでは不十分

ケージの中のトイプードル

愛犬が問題行動を起こした時、無視をすると良いというアドバイスもよく見かけますよね。

例えばおやつが欲しくて吠え続ける犬に対して無視をするということは、犬は吠え続けてもおやつはもらえませんので、そのうち「吠えてもおやつはもらえない」と学習することもあります。しかし、それには時間がかかりますしご近所のことを考えるとそんなに長い間犬を吠えさせておくことはできないでしょう。そこで、無視をするだけではなくダメなことは「ダメ」と伝える必要があります。先ほども説明したように、ダメだと伝えることは叱ることでも起こることでもありませんし、「ダメダメ~!」と騒ぎ立てることでも「〇〇ちゃん、ダメだよ」となだめるように言うことでもありません。「ダメ」を犬に伝えることができる飼い主は大抵、「イケナイ」や「ノー」、「ダメ」などの、犬がしていることをやめさせることができるコマンドを持っています。そして、そのコマンドに犬が従うかどうかは、普段からの犬と飼い主の関係性によるところが大きいのです。

犬の要求を無視することで犬が諦めれば、無視も有効な方法です。おやつが欲しくて吠え続ける犬の場合、もし「近所に住宅はないからどんなに吠えても大丈夫」という環境であれば、無視だけでも吠えるのをやめさせられるかもしれません。しかし、吠え続けることは犬にとっても飼い主にとってもストレスとなりますので、その点は注意が必要でしょう。また同じ吠えるでも、来客に対して吠えるのであれば、無視だけで対処するわけにはいかないでしょう。来客はいつかは帰っていなくなります。来客に対して吠え続ける犬を無視していても、そのうち「来客がいなくなる」という報酬が犬に与えられてしまうので、その前に犬にダメだと伝えなければなりません。犬の行動を変えるには、無視だけでは不十分なこともあるのです。

ひとりで悩まず専門家に頼る

愛犬の問題行動を飼い主や家族だけで直そうとする必要はありません。犬に問題行動がある場合、飼い主とその家族が犬を理解できていないことが多いというのですから、犬の問題子魚津を自分たちだけで直そうとして直らないことが多いのもうなずけますよね。

犬に問題行動がある場合、専門家に協力してもらいましょう。できるだけ早く正しい方法で問題行動をなくすことが、犬にとっても飼い主にとっても最もストレスが少なくなるでしょう。特に、犬の問題行動によって生活に支障が出たり近所迷惑になったり、他人に危害を加える恐れがある場合などには、迷わずすぐに専門家に頼ってください。

問題行動の原因が飼い主が思っていることと違うかもしれません。専門家が見たらその原因がすぐに分かるかもしれません。飼い主がしつけと思ってやっていることが逆効果を招いているかもしれません。分からないことはどんなにひとりで悩んでも解決できません。

犬の問題行動を直す時、ダメなことはダメと伝えること、正しいことをした時にほめることと同時に、その行動の原因を見つけてそれをなくすことがとても重要です。これが難しいことが多くあります。問題行動の原因も分からず、その場の行動だけに目を向けて「なんで愛犬がそんなことをするのか分からないけど、ちゃんと叱っている。でもうちの子は全然やめてくれない。」というのは、知る必要のあることを知らないままにしている飼い主の勘違いであることが多いと言えます。

最近では、成犬が犬の幼稚園に通うケースも増えています。飼い主が仕事に出ている間に愛犬を預け、幼稚園で他の犬や犬のことを分かっている人と過ごすという方法です。名前は幼稚園でも、犬同士で遊んだりスタッフに遊んでもらったりして過ごし、犬との関わり合い方を学んだり楽しいことをして過ごす場所なので、カフェや部活といった方が近いかもしれません。もちろん犬の性格や相性、しつけの程度によってどのように過ごすかは変わってきます。場所によってはトレーニングをしてくれる犬の幼稚園もあり、他の犬と一緒に学ぶことも可能ですし、トレーナーと一対一で学ぶことも可能なようです。ただ、犬を預けて何かをトレーニングしてもらうことと自宅での問題行動を直すことは全く別のことです。もし愛犬の問題行動が退屈や遊びの不足によるもので、犬の幼稚園に通うことでそれらが解消されたら、家での問題行動もなくなるかもしれません。しかし原因が別のところにもある場合、犬の幼稚園に通わせても問題行動をなくすことにはつながりません。

まとめ

威嚇するジャックラッセルテリア

犬の問題行動が直らない原因は飼い主や暮らす環境にあることがほとんどです。

問題行動と言われる行動も、犬にとっては自然な行動であり、それを起こさせているのは飼い主や飼い主が犬に与えている環境だということです。例えば噛みつく犬は、噛むという行動の前に恐怖や警告を表す何らかのサインを出しています。そのサインが読める人だったら、犬がサインを出した段階で対処しますから犬も噛まずに済むでしょう。しかしそのサインが読めない人にとっては、犬がどんなに怖いからやめてと伝えても、それ以上やったら噛むと警告しても伝わらないので、犬は噛むという行動に出るまでに追い詰められ、噛まれた人にとっては「急に噛んできた」となるわけです。自分の身を守るために攻撃する(噛む)というのは、動物にとって自然な行動です。

また、どんな行動が問題となるかも飼い主の考え方や犬を飼っている理由によって変わってきます。番犬として飼っている犬が来客に吠えなかったらそれは問題行動となります。

しつけとは、人間社会の中で生きていくルールを犬に教えることですが、子犬の頃に全くしつけを行っていなかった成犬でもしつけることは可能です。ただ、子犬より時間はかかりますし、それまでの行動を変えさせるにはそれなりに犬のことを理解していないとできず、知識の不足している人にはできないことがあるということです。

飼い主や家族だけで難しい場合には、専門家に協力してもらいましょう。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    20代 男性 匿名

    問題行動だけでなく躾は何歳からでも可能ですが時間はかかります。俺の場合も同じでしたから
    施設頼ったりトレーナーや専門に相談することは良いことです。誰だって始めは失敗します。俺はネットなど見て試行錯誤の上独自の躾方を考えました。躾方ひとつとっても向き不向きがあります。どうしても解らない場合は専門家の意見を聞きましょう
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