古代犬種5種の問題行動とその要因についての研究

古代犬種5種の問題行動とその要因についての研究

秋田犬やハスキーなどの古い犬種の犬たちの望ましくない行動について、その要因を探る調査が実施されました。古代犬種と呼ばれる犬たちは、近代的な犬種と違っていたのでしょうか。

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古代犬種の性格特性と行動上の問題についての研究

芝生の上に立つ秋田犬

世界には非公認犬種まで含めると約700〜800の犬種があると言われています。現代社会で一般的に見られる犬種の多くは18世紀以降に作られたものですが、中には古代からほとんど変わらない古い犬種もいます。

これらはAncient Dogs(古代犬種)と呼ばれ、オオカミに近い特定の性格特性があると言われ、2004年の研究では14犬種が特定されています。古代犬種の性格特性は知的で活発、独立気質で、命令に従うことに消極的。縄張り意識が強く狩猟本能が強いのも特徴です。

古代犬種は日常的に屋外運動が必要で、飼育環境や人間との関係に対して好みがはっきりしているため、それらが満たされないと人間にとって望ましくない行動を示す可能性があります。

しかし古代犬種の性格特性と行動上の問題についてのリサーチは今までなかったそうです。この度、ポーランドのヴァルミア・マズールィ大学の研究者が古代犬種5種の行動上の問題についての調査を行い、その結果を発表しました。

5つの古代犬種の飼い主へのアンケート調査

歩いているバセンジー

この調査では古代犬種のうち、秋田犬、アラスカンマラミュート、バセンジー、サモエド、シベリアンハスキーの5犬種が選ばれました。

ポーランド国内のこれらの犬種の飼い主897名が参加して、用意された2種類の質問票に回答しました。

最初の質問票は犬種、性別、出身(登録ブリーダーか個人譲渡か保護団体か、など)などの基本事項に加えて、子犬の時と現在の飼育条件について詳細な質問がありました。

庭に出られる室内飼い、庭のない室内飼い、屋外の犬舎、屋外で自由、屋外で繋ぎ飼いなどの選択項目がありました。これらは行動上の問題の要因になると考えられる要素です。

2つめの質問票は犬の行動のうち、望ましくない行動がどのくらいあるかについてのものでした。

望ましくない行動は6つのカテゴリーで「他の犬や動物への攻撃性」「人間への攻撃性」「食事に関連する攻撃性」「分離不安」「舐め行動と運動に関連するもの(尻尾追い、自転車を追いかける、など)」「過度の吠え行動」で、それぞれのカテゴリーに複数の項目がありました。

質問票1と質問票2を照合して分析することで、どのような要因がどの行動と関連しているのかが分かったといいます。

いくつかの要因が行動上の問題と関連していた

ソリを引くハスキーとサモエド

質問票1の項目のうち、望ましくない行動と強い関連が見られたのは「犬種」「性別」「住居の状態」でした。

犬種別では、望ましくない行動があるという回答が最も多かったのは、秋田犬(29.91%)シベリアンハスキー(25.01%)サモエド(21.4%)でした。反対に最も少なかったのは、バセンジー(7.79%)とアラスカンマラミュート(15.88%)でした。

望ましくない行動のうち多かったのは、他の犬や動物への攻撃性(33.47%)過度の吠え行動
(20.27%)物や自分を舐める噛む行動と運動に関連する行動(16.92%)でした。

望ましくない行動をする個体が多いとされたシベリアンハスキーとサモエドは他の犬や動物への攻撃性を示すことが少なく、行動上の問題が少なかったバセンジーでは他の犬や動物への攻撃性を示す率が高かったというのも興味深い点でした。

ソリを引くために育種されて来た犬種と、狩猟のための犬種という違いが考えられます。性別については、望ましくない行動全般ではメス犬よりもオス犬の方が多かったのですが、攻撃的な行動に関してのみメス犬の方が多くなっていました。

中でも興味深いのは住居の状態に関連する行動上の問題でした。望ましくない行動が最も多く見られた住居の状態は「庭のない室内飼い」(47.19%)「庭のある室内飼い」(46.98%)の2つでした。

つまり古代犬種では、庭があってもなくても室内飼いでは行動上の問題が増えるということです。しかし半数以上の犬では望ましくない行動は見られていないわけですから、室内飼いをする場合も十分な身体活動などで問題を抑えることができると思われます。

住居の状態に関するものでは、過度の吠え行動については「屋外の犬舎」で飼われていると「庭のない室内飼い」で最も多くなっていました。庭に出ることができたり、屋外で自由に行動できる場合は様々な刺激があるため、過度の吠え行動はあまり多くありませんでした。

まとめ

2頭のアラスカンマラミュート

5種の古代犬種の飼い主へのアンケートから、古代犬種の行動上の問題に関連する要因が何であったかを調査した結果をご紹介しました。

多くの古代犬種は元来は働く犬ですが、現代人は犬の元々の特性や育種の目的を考えずに飼い始める傾向があります。飼い始めた後ですら、犬の本来の特性を知らない飼い主も少なくありません。

十分な身体活動を必要とする独立気質の強い古代犬種では、知識の欠如や不適切な住環境が行動上の問題につながる可能性がさらに高くなります。古代犬に限りませんが、犬を迎える前に犬種の特性や歴史を勉強することの大切さが良くわかる調査結果でした。

《参考URL》
https://www.mdpi.com/2076-2615/11/5/1435/htm

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