1.自分の手足を舐め続ける
犬が強いストレスを感じたり、長い間本能的な欲求が満たされない状況に置かれたりすると、「強迫性障害」を引き起こすことがあります。
これは「常同行動」とも言われるもので、同じ行動や動作をひたすらくり返す症状が見られます。
家庭犬に多く見られる症状が、自分の前足を執拗に舐め続けたり体の毛をむしったりという自傷行為や、尻尾をグルグルと追いかける行動です。
時折これらの行動をしているだけなら問題はありませんが、舐め続けることで皮膚がただれて出血したり、一部の毛が生えてこなくなったりする場合もあるので注意が必要です。
また、一心不乱に自分の尻尾を追い続けることで、家具や壁などに激突して怪我をするなどのトラブルを引き起こすこともあります。この症状がひどくなると自分の尾をくわえてぐるぐる回ったり、尾にかみついて傷ができる場合もあります。
こうした行動を行うことでストレスを発散したり、気持ちを落ち着かせたりしているため、叱ったり止めたりしても簡単にはおさまりません。
そのため、常同行動が見られる場合には、意識をほかのことに向けるように声掛けをしたり、遊びに誘導したりして、それらの行動を忘れる時間をつくることが大切です。
心の問題と判断する前に、痒みや痛みなどが起こる疾患がないかどうかを必ず確認しましょう。
2.長時間吠え続ける
「遊んで♪」「おやつが欲しい!」といった気持ちを伝えるための要求吠えや、散歩中に出会った犬に対する警戒吠えなどを犬がすることはおかしなことではありません。
しかし、理由もなく長い時間吠え続けていたり、ちょっとした刺激に反応して吠えることが増えたりしたときは、犬が心の病気を抱えてしまっているのかもしれません。
犬がストレスや不安感を抱えて心の病気なっていると、自分の身の回りに起こる些細な変化にも過剰に反応して吠えるようになったりします。犬にとっては理由があるので吠え続けるのですが、私たちにとってはなかなか鳴き止んでくれないこと自体が問題になってしまいます。
こうした理由での吠えについては、常同行動と同様に叱っても意味がありません。
犬は吠える理由があるから吠えているので、叱られている理由がわからず飼い主さんに不信感を持つようになったり、余計にストレスを溜めてしまったりするので注意してください。
3.破壊行為や粗相が増える
犬が強いストレスから心の病気かかっていると、これまでに見られなかったようないたずらや破壊行動、トイレの粗相などをするようになります。
クッションや飼い主さんの洋服を噛みちぎったり、家具や部屋のドアなどをボロボロにするほど噛んだりすることで、不安やストレスを解消したり、イライラを紛らわせたりしていると考えられています。
トイレの粗相については、わざとというよりも気持ちが不安定になっていることから、排泄のタイミングなどもズレてしまったり、トイレへの意識を持てなかったりしていることが原因です。
そのため、決して叱らず、冷静に黙って片づけをしてあげてください。大きく反応はせず、何事もなかったかのように接してあげましょう。粗相をする場所がおおよそ決まっているならば広めのペットシーツを敷くなどの対策をとりましょう。
4.寝てばかりで動かなくなる
犬のうつ病などの症状が進むと、無気力になってあまり動かなくなってしまうことがあります。
食欲がなくなったり、遊びや散歩の誘いに乗らなくなったりして、家の中にいると寝てばかりになってしまいます。
呼びかけにも反応しなくなることもあり、あらゆる刺激に対して無反応になることも。
何となく「元気がないな」と感じるような様子が続くときは、体調不良だけでなく心の病気の可能性も考えてみてください。
まとめ
近年は犬の心の病気も増えてきており、2019年には日本初の犬猫用のストレス診療科が設立されました。
家の中で生活するようになり、飼い主さんと楽しく生活できる反面、人間の生活習慣やリズムが犬に悪影響を及ぼしてしまうこともあるのです。
心の病気の症状が見られたときにまず大切なのは、根本的な原因を探ることです。
いたずらや吠え、破壊行動など症状そのものを叱ったり止めたりしても、その場しのぎに過ぎず解決には至りません。
犬のストレスや不安の原因を把握し、それらを解消することで症状の改善画期待できるのです。
焦らずじっくり愛犬と向き合ってくださいね。