いびきのメカニズム
人の場合のいびきの原因は、寝ているときの筋肉のゆるみにあります。あおむけに寝ていると喉を支える筋肉がゆるみ、咽頭部(のど)の部分が歪んで狭くなります。
息を吸うときにその部分を空気が通るのですが、狭くなっているとうまく息を吸うことができず狭くなっている喉が笛のように振動して音を出してしまいます。これが「いびき」です。
顎が狭い人、小さい人、首に脂肪が多い人、飲酒や睡眠薬などの効果で喉の筋肉が緩む人などにいびきは出やすく、特にあおむけの状態になると重力で顎周りの筋肉が下がり、余計に咽頭部を潰して大きな音が出るようになります。
またいびきを引き起こす原因となるのはこれだけではなく、扁桃腺が大きく腫れていたり口蓋垂
(いわゆるのどちんこ)が大きい場合、花粉症や風邪などで鼻が詰まっている場合などもあります。
犬の場合もいびきをかくメカニズムは人間とほぼ同じです。
鼻や喉の空気の通り道が何らかの原因で狭くなっていると、息を吸うときに咽頭が余計に振動するので音がでる=いびきをかくという状態になるのです。
犬がいびきをする原因
人の場合も寝る時の一定の体勢や飲酒、風邪をひいた時などに限っていびきをかく場合は特に大きな問題にはなりません。
しかしいびきをかいているときというのは、熟睡しているようで実は体内の酸素が不足していることが多く、熟睡しているとは言いがたい状態です。
そのため、睡眠時に慢性的にいびきをかいている人というのは睡眠不足であることが多く、日中になんらかの体調不良などが現れることがあります。
犬の場合も同様で、寝るときの姿勢が悪くてちょっといびきをかくなどといった場合はほとんど心配はいりません。
しかし常時いびきをかいている場合や、大きな音でいびきをかいているのに起きないとき、ゼイゼイという胸の方からの音がする等といった場合は病気の可能性があるので獣医さんへ相談をしましょう。
特に注意が必要ないびきの原因は、次の4通りです
1.肥満によるもの
人間同様、犬も極度の肥満の場合は、首や気管の周りの脂肪が咽頭部を圧迫して大きないびきをかく原因となります。
肥満は万病のもとです。高血圧、高脂血症、糖尿病などのリスクも高くなるため、適度な体重管理が大切です。
2.軟口蓋過長症
軟口蓋(上あごの奥の柔らかい部分)が過剰に伸びて喉を塞いでしまう病気です。
犬の場合は特にマズルの短い短頭種の犬に多い病気となります。
症状が悪化すると気道を完全にふさいでしまい呼吸困難から致死する可能性もある病気です。軟口蓋の一部を切除するなどの処置が必要でしょう。
犬の口を開けさせ、上あごの肉のたるみが気になる場合は一度獣医師に相談してみましょう。
3.気管虚脱
これは喉ではなく更にその奥の、肺と咽頭を結ぶ気管の部分に起こる病気です。何らかの原因で気管が押しつぶされて呼吸ができなくなってしまいます。
この原因には加齢や肥満もあるといわれています。
鼻やのど周辺で音が出るいびきとは異なり、更に奥の胸の近くで「ゼイゼイ」という異音がします。この症状がひどくなると「ガーガー」とガチョウが鳴くような呼吸音になります。
4.鼻腔狭窄
鼻の穴が小さく、狭いことで呼吸がしにくくなる病気です。主に短頭種の犬種に多く、あまりに重篤な場合は手術で鼻腔を広げる必要もあります。
上記のような可能性がある場合や、どんどん大きくなるいびき、普通に起きて行動しているときにいびきのような呼吸音がするなどといった場合は早めに獣医師に相談をしてください。
まとめ
危険ないびきかどうかはまず寝ている体勢を変えて観察してみると分かることがあります。
体勢を変えるといびきが止まる場合は、寝ている姿勢が呼吸に無理な姿勢だったということです。
しかしそれでも直らない、普段から異音がするなどの状態が続くようでしたら、ぜひかかりつけの獣医さんに相談をしましょう。