犬との触れあいでストレスが減る?
犬が好きな人であれば誰でも、犬に触れていると不安な気持ちやイライラが解消されたり、ほっとできたりする経験があると思います。
これは手に触れる犬たちのふわふわの手触りであったり、かれらのホカホカ温かい体温であったり、そういったものが安心感を与えているものと思われていました。
しかし近年の研究では、犬たちと触れ合うことで実際に私たち人間の体内からストレスを感じさせるホルモンである「コルチゾール」が減少するということが分かっています。
コルチゾールは副腎皮質で生成され、通常通り分泌されていれば血糖値を上げたり免疫の暴走を抑えたりなど身体の活動リズムを整えてくれる大切なホルモンです。
普通は朝に分泌量が多くなり身体を目覚めさせ活動させる働きをし、夜になるにつれて分泌量が少なくなり身体の活動を抑える働きをします。
しかしストレスがかかると副腎からコルチゾールが多量に分泌され、そのストレスから身を守るように働きますが、ストレスが常にかかっている状態になると慢性的にコルチゾールが多い状態になり、不眠やうつなどのメンタルの不調や血糖値が高いままの状態が続くようになってしまうのです。
2019年に発表されたワシントン州立大学の研究チームの論文では、約250人の学生を、犬猫と触れ合うグループと犬猫を眺めるグループ、犬猫の写真を見るグループ、何もしないグループにわけてコルチゾールの値を調べたところ、犬猫と触れ合ったグループでこのストレスホルモンの値が激減したという結果が得られたとあります。
犬を撫でるとストレスが減るというのは、気分の問題だけでなくちゃんと生理学的に実証されているんですね。
また犬と見つめ合うことで飼い主と犬の両方に、「オキシトシン」というホルモンが増加するという研究結果があります。これは2015年~17年に日本の麻布大学獣医学部で伴侶動物学の研究をしている菊池先生が論文にしています。
触れ合わずとも、見つめ合うだけでもリラックス効果を得られ、心身の不調を整えてくれるなんて素晴らしいですね。
犬を撫でるポイント
上記のように素晴らしい効果がある犬とのふれあいですが、これは飼い主側だけが都合よく得られるメリットではありません。
嫌がる犬を無理やり抑えつけて撫でたり、逃げられてしまったりなど、犬が何らかのストレスを感じている場合は撫でている人間側も十分なリラックス効果が得られないのです。
嫌がっている犬を押さえつけるときはお互いにきっと緊張状態であったり、過剰なストレスを受けている状態だったりしますので、それは当たり前かもしれませんね。
ではどのように犬を撫でたらよいのでしょうか。
まずは犬が撫でられたがっているとき(撫でるのを許可しているとき)をよく見極めることです。
犬にも個性があるため、人に触られるのが好きな子もいればあまり得意でない子もいます。飼い主にはいつでもOKだけれど、飼い主ではない人には触られたくない犬もいるでしょう。
また食事時やおもちゃで夢中になっているとき、眠くてたまらないときなどはじゃまされたくないかもしれません。
犬の様子をよく観察して、犬が撫でてほしいと寄ってくるときや触れても嫌な顔をしないときなどに、たくさん撫でてあげてください。
犬の撫でられたいポイントと撫でられたくないポイント
比較的フレンドリーな犬は何処を撫でてもOK!という態度の子もいますが、やはりこれも個体差があります。
頭はいいけれど耳はイヤ、胸まではいいけどお尻の近くやお腹はイヤ、など犬によって触るのを許可してくれる部位は違います。
しかし一般的に犬が「触ってもOK」「触ったらNG!」となる場所があるので、そこをいくつかご紹介しましょう。
撫でられたいポイント
- 首の後ろ
- 背中
- 顎の下
- わき腹
撫でられたくないポイント
- 足指
- 口の周り
- 耳
- 尻尾
これらの場所は共通することが多いので、犬たちの様子を見ながら触れて良い場所を確認してみてください。
お腹は嫌がる犬も多いのですが、リラックスしてお腹を撫でてもらいたがる犬も多いところなので、飼い主さんであればお互いにリラックスしている状態のときに犬に触っても良いか聞いてみるといいかもしれませんね。
まとめ
犬を撫でることでストレスが減るというのは、犬の方が人間を信頼してリラックスしてくれたり安心して身を任せてくれる絆があってこそのことだと思います。
一方的に癒しを求めるのではなく、犬たちに安心してもらえるように日頃から彼等の気持ちを尊重して上げることも大切ですね。