犬が異物を食べてしまう行動についての研究がスタート

犬が異物を食べてしまう行動についての研究がスタート

犬が食べ物ではないものを食べてしまう行動について、フランスで初めて本格的な調査が開始されました。その内容をご紹介します。

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食べ物ではないものを食べる「異食症」

ねじ釘を飲み込んだ犬のレントゲン写真

人間の摂食障害の1つで、食べ物ではないものを日常的に食べてしまう異食症という症状があります。異食症の人が食べるのは多くの場合、土、粘土、紙などです。この摂食障害については、原因や治療方法について研究が行われていますが、まだ未知の部分が多いとされています。

異食症は人間だけでなく犬にも見られます。遊んでいる時にアクシデントで何かを飲み込んだり、食べ物と間違えて食べてしまうのではなく、明らかに食べ物ではないもの(玄関マットや犬用ベッドなど)を日常的に食べてしまうような行動です。

犬が異物を誤飲してしまうことは緊急手術の理由として常に上位に来るもので、犬と飼い主の両方に大きな負担がかかります。しかし犬の異食症については今まで調査や研究が行われていませんでした。

この度、フランスの臨床獣医師とアクス・マルセイユ大学の認知心理学の研究者によって、犬の異食症に関するリサーチがスタートしました。

臨床記録と飼い主への聞き取りによってリサーチ

犬の手術の準備をする獣医師

研究者は42頭の異食症と考えられる犬と、42頭の異食の症状がない犬の行動を臨床記録に基づいて比較調査しました。

異食症と考えられる犬は2015年から2018年の間に、消化器の手術を受けた犬のうち異物摂取につながる病状がなかったにも関わらず、食べ物ではないものを飲み込んでいた犬が対象となりました。

異食の症状がない犬は、上記で異食症と考えられるとリストアップされた犬と犬種、性別、年齢、不妊化の状態などの条件がほぼ同じになるよう調整された42匹が比較対象として選ばれました。

研究者はリストアップされた犬たちの飼い主に連絡を取り、研究のためのアンケートへの参加を依頼しました。

異食症と考えられる犬の飼い主には、食欲不振、妊娠、腹痛などがなかったかどうか、普段の行動についての質問に答えてもらい、犬の攻撃性、不安、愛着などについて分析されました。

行動に関する質問の中でも特に重要なのが、犬が異物をただ食べるだけでなく引き裂いたり破壊したりする行動があるかどうかというものが含まれていました。異食がない犬のグループの飼い主にも普段の行動に関して質問されました。

食べ物ではないものを食べることと行動治療を関連づける重要性

床を破壊したシュナウザー

臨床記録と飼い主からの回答を分析した結果、異物を食べて手術を受けた犬のうち、消化器の異変が関連していたものは12%とごく少数でした。残りの88%は異食行動が身体的な疾患ではなく行動的性質によることを示していました。

異食症と考えられる犬のうち、物を破壊したり引き裂いたりする行動のあるグループは多動性および衝動性障害の可能性を示していました。また異食症と考えられるが破壊行動のない犬は、不安または愛着障害の可能性を示していました。

これらの結果から、診察時に「犬が異物を食べてしまう」「破壊行動がある」などの報告を受けた獣医師は、行動治療を推奨する必要があるとしています。また定期検診やワクチン接種などの際に、異食や破壊に関する質問を行い他の行動データとともに評価する必要性が述べられています。

まとめ

獣医師とシーズーと飼い主

犬が食べ物ではないものを食べてしまう異食症について初めての研究がスタートしたことをご紹介しました。

研究者は今回のリサーチから、犬の異食症には多動性、衝動性、強迫障害、不安障害、愛着障害が関連していることを示唆しています。また異物を食べてしまった犬には身体的な治療だけでなく専門家による行動治療を獣医師から推奨することの重要性も述べられています。

異物を食べてしまうことは犬の命に関わる深刻な問題です。人間の症例でさえ明確な答えが出ていない難問ですが「行動治療」というキーワードが示されたことは、悩んでいる飼い主さんへの大きなヒントになるのではないでしょうか。

《参考URL》
https://doi.org/10.1016/j.jveb.2021.04.001

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