犬に人間用のシャンプーを使うリスク
人間の皮膚は弱酸性ですが、犬の肌は弱アルカリ性です。
皮膚の性質や構造が違う以上、同じケアをしては必ずリスクを伴います。
実際に人間用のシャンプーで洗っているけれど何も起きないという話をよく耳にします。伴ったリスクが小さかったため飼い主が気づかなかったというだけかもしれません。
何も起きていなくても人間用のシャンプーを使い続けることには何らかのリスクを伴います。
犬も加齢によって皮膚の状態が変化します。いつかはシャンプーを見直す必要があるかもしれないことも考えておくと良いのではないでしょうか。
皮脂を洗い落としすぎてしまう
犬に人間用のシャンプーを使うと、皮脂を洗い落としすぎてしまいます。
人間の頭皮は皮脂の分泌量が多く、一日の終わりにはベタベタしてしまうことがありますよね。
犬の皮膚はどうでしょうか。前回のシャンプーから1カ月経ったくらいではベタベタしないのではないでしょうか。
人間と比べて皮脂の分泌量の少ない犬に人間用のシャンプーを使うと、必要な皮脂まで洗い落としてしまいます。
乾燥とフケの原因になる
犬に人間用のシャンプーを使うと皮膚の乾燥とフケの原因になります。
必要な皮脂まで洗い落としてしまったことで乾燥し、細かいサラサラとしたフケが出ます。
乾燥すると皮膚を痒がるようになり、しきりにカキカキする様子が見られます。
気づかず放置していると皮膚病の原因になりやすいです。
皮膚病になる
犬に人間用のシャンプーを使うと皮膚病になりやすいです。
皮膚の赤み・痒み・ただれ・出血・脱毛などで病院を受診する犬が多いです。
皮膚病が悪化するとベタベタと湿り気のあるフケが出たり、悪臭を放つことがあります。完治することがなく、皮膚病に苦しみながら暮らす犬も少なくはありません。
- 膿皮症(原因:ブドウ球菌の増殖と感染)
- 皮膚糸状菌症(原因:糸状菌というカビの侵入と増殖と感染)
- マラセチア皮膚炎(原因:マラセチアというカビの異常繁殖と感染)
- アトピー性皮膚炎(原因:ハウスダストなどのアレルゲン物質による反応)
犬がかかりやすい皮膚病と原因を例に挙げましたが、人間用のシャンプーを使ったことで皮膚のバリア機能が低下して発症することがあります。
皮膚の健康を守るための機能が低下したり、失われてしまうためです。
正しい洗い方
念入りにブラッシングをする
シャンプーの前には必ず念入りにブラッシングをすると良いです。
毛の絡まりを解しておくためです。ムラなく汚れを落とすことができます。シャンプーのすすぎ残しもなく、乾きやすくなります。
洗面器に大量の泡を作っておく
犬の体を濡らす前に洗面器に大量の泡を作っておくと良いです。
犬の皮膚にシャンプーを直接つけてしまわないようにするためです。泡立てネットやスポンジは人間用を使ってもOKです。
シャワーの温度は30℃~38℃くらい
愛犬の体を濡らす時はシャワーの温度を30℃~38℃くらいに設定すると良いです。
汚れのほとんどはお湯で洗い落とすことができますので、念入りにシャワーでお湯をかけてあげると良いです。
シャワーと音や刺激が苦手な犬は洗面器でお湯をかけてあげると嫌がりにくいです。
シャンプーをする順番
- 後ろ脚
- 前脚
- 首
- 肩
- 胸元(胸下)
- 前足の付け根
- 背中
- お腹
- 腰
- 後ろ脚の付け根
- お尻
- 尻尾
この順番で皮膚を優しくマッサージするように洗うと汚れを落としやすいです。
お湯で十分に洗い流す
シャンプーのすすぎ残しは皮膚病の原因になります。
上から下に向かって念入りにお湯で洗い流してください。頭や顔を洗う時は後頭部からお湯を流してあげると良いです。
しっかりとタオルドライをしてからドライヤーで乾かす
シャンプーの後は吸収性に優れたタオルを使ってタオルドライをします。
マイクロファイバーのタオルがおすすめです。ゴシゴシ拭くのではなく、タオルで水分を吸い取るようにすると皮膚に負担がかかりません。
タオルは大きめのものを複数枚用意すると便利です。
ドライヤーの時間を短くしてあげるためにも、タオルドライは念入りに行うと良いです。
まとめ
犬に人間用のシャンプーを使うリスクと正しい洗い方を解説しました。
皮膚の性質や構造が違う犬に、人間用のシャンプーを使うことはおすすめできません。
犬用のシャンプーにも成分の違いや特徴などありますので、慎重に選ぶようにしましょう。
病院で診断を受けるなど、愛犬の皮膚の状態を知ることも大事なのではないでしょうか。