犬の平均寿命
あるペット保険会社が2017年のデータとして発表した犬種群毎の平均寿命をみると、犬は体が小さくなるほど寿命が長くなる傾向がありました。
体の大きさによる犬種群の平均年齢と、その中の最長および最短の犬種のデータを下記にご紹介します。
超小型犬:14.0歳
最長:トイプードル=15.2歳
最短:マルチーズ=13.3歳
小型犬 :13.8歳
最長:ビション・フリーゼ=15.1歳
最短:ボストンテリア=12.3歳
中型犬 :13.3歳
最長:柴、混血犬(体重10〜20kg)=14.6歳
最短:フレンチ・ブルドッグ=11.2 歳
大型犬 :11.1歳
最長:ラブラドール・レトリーバー=13.1歳
最短:バーニーズ・マウンテン・ドッグ=9.3歳
上記のデータをみると必ずしも比例の関係とは言い切れませんが、体の大きさと平均寿命には関係性がありそうです。
年々平均寿命が伸びている理由
同じくペット保険会社のデータによると、犬の平均寿命が年々伸びている傾向もみられます。
犬の平均寿命の推移
2008年:13.3歳
2011年:13.4歳
2014年:13.7歳
2017年:14.0歳
犬種ごとに詳しくみていくと、必ずしもすべての犬種の寿命が伸びているわけではありませんが、2014年の犬種平均寿命よりも2017年の犬種平均寿命の方が下がっているのは、30犬種の内5犬種のみで、いずれも下げ幅は0.1〜0.2歳の範囲でした。
この報告では、平均寿命が年々延びる傾向にある背景には、下記の要素が挙げられるだろうと推測されています。
- 獣医療の発展
- 食および飼育環境の変化
これらのデータも踏まえて、愛犬に長生きをしてもらうためのコツについて、考えていこうと思います。
愛犬に長生きしてもらうためのコツ
食事
食事は健康の基盤となるものです。そして、ヒトに必要な栄養と犬に必要な栄養は、必ずしも一致していません。犬には犬に相応しい食事があります。
また、年令に応じた栄養バランスも考えなければいけません。良質で犬にとって適切な食事を適切な量だけ与えることが、愛犬の長生きには何よりも大切なことです。
またフードを利用する場合は、適切な保管方法を守り、傷まないように管理することも大切です。
健康管理
繁殖目的でないのであれば、避妊・去勢手術を行うことが、愛犬の長生きの秘訣です。
乳腺腫瘍や子宮蓄膿症、会陰ヘルニア、前立腺肥大、精巣腫瘍、肛門周囲腺腫などの病気を予防できます。
また、純血種やMIX犬の場合は、犬種に好発の病気を知っておくことも大切です。知っておくことで、その病気の兆候をいち早く察知し、早期治療に取り組むことも可能になるからです。
また定期的な健康診断の受診も、長生きしてもらうためにはぜひおすすめしたいことの1つです。
若いうちは年1回でも良いですが、シニア期に入ったら年2回以上の受診が安心です。病気の早期発見早期治療が長生きのコツです。
運動
肥満は万病の元です。どんなに適切な食事を適切な量だけ与えていても、必要な運動をさせなければ肥満を招き、それが寿命を縮める原因になりかねません。
また、適切な運動は愛犬の精神面を安定させるためにも必要なことです。
どんなに飼い主さんが忙しくても、時間を作り出して必要な散歩や遊びの時間を設け、適切な運動をさせるようにしましょう。
犬種特性や愛犬の状態に合わせて無理をさせず、しかし適度に疲れるような運動量を心掛けましょう。
スキンシップ
毎日、必ずスキンシップをとる時間を作りましょう。歯磨きやブラッシング、爪切りなどのお手入れの時や、リビングで寛いでいる時間に愛犬としっかりとスキンシップをとることで、愛犬の精神面の安定が保たれますし、飼い主さんも愛犬の微妙な変化を察知しやすくなります。
生活環境
飼育環境は、可能であれば外よりも室内飼育をおすすめします。外よりも事故や病気に関するリスクが格段に下がるためです。
そして何よりも、生活環境を整えやすいからです。室内であれば、温湿度管理や衛生管理、落ち着ける寝床などの環境を、外よりも整えやすいです。
また、犬の様子もしっかり確認できるので、早期発見しやすくなります。
加齢と共に犬も視力や筋力が衰え、生活しづらくなってきます。そして不安になることが多くなり、精神的にも不安定になりがちです。
段差をなくす、床をカーペットなどで滑りづらくする等、愛犬の状態に合わせて改善していきましょう。
また、老犬にはなるべく寄り添う時間を増やし、今まで以上にスキンシップを取ることで、安心させてあげましょう。
まとめ
日本獣医生命科学大学の研究の中に、「盲導犬は家庭犬よりも寿命が長い」というものがありました。
これは、盲導犬はユーザーとずっと触れ合っていること、犬が本来抱いている作業意欲が満たされること、すぐに体調の異変に気づいてもらえて病気の早期発見・早期治療が実践されるからだろうといわれています。
この例からも分かるように、愛犬の心身共に健全な状態の維持と病気の早期発見、早期治療が長生きをしてもらうためのコツだと言えるでしょう。