犬のくしゃみは珍しくない…注意するべき病気も
愛犬と一緒に暮らしていると、時々くしゃみをして見せることがありますよね。「もしかして風邪でも引いたのかな?」と心配になってしまう飼い主さんも多いでしょう。
一般的に単発のくしゃみであれば、その時ホコリや刺激のある臭いなどを吸い込んでしまったことで、それらの異物や刺激の原因を排除しようとする生理現象であると考えられます。そのため、特に問題視する必要はありません。
しかし、何度もくしゃみを繰り返したり、慢性的にくしゃみをしている場合、さらにくしゃみ以外にも鼻水や下痢、食欲不振などの他の症状が見られる場合は、病気が隠れている可能性があるので注意が必要です。
くしゃみをしている時に考えられる5つの病気と見極める方法
では、単なる生理現象でない場合、くしゃみをしている時にどのような病気が考えられるのでしょうか。ここではくしゃみをしている時に疑われる病気と、生理現象との見極め方を紹介します。以下の症状に注意し、サインが見られる場合は病院に連れて行きましょう。
1.ケンネルコフ
1つ目は、ケンネルコフと呼ばれる犬伝染性気管気管支炎です。体の弱い生後約6週〜6ヶ月頃の子犬に発症することが多く、嘔吐しそうな様子や咳、くしゃみ、鼻水や食欲不振といった症状が見られます。
ケンネルコフが疑われる場合は、速やかに動物病院へ連れて行き、診察後、原因によって抗生物質の投与や薬の投与を行います。通常は1週間ほど治療を続けることで完治するため、早めの対処が必要です。
ケンネルコフは子犬が患いやすい病気なので、ただの風邪としてそのまま放置してしまうと、最悪の場合、症状が急激に悪化したり命に関わる危険性もあります。必ず動物病院で診察と治療を受けましょう。
2.アレルギー
犬は食物や花粉、ハウスダストなどにアレルギー反応を起こすことがあります。「この季節になると頻繁にくしゃみをしている」「慢性的にくしゃみを見かけることがある」という場合は、こうしたアレルギー反応の一種としてくしゃみをしている可能性があります。
多くは食物アレルギーや花粉、そしてハウスダストに反応することが多く、アレルギーによるくしゃみの場合、くしゃみ以外にも皮膚のかゆみや炎症、耳のかゆみ、鼻水などの症状が見られることがあります。
「これを食べた後にくしゃみをする」「この季節に決まってくしゃみをする」といった規則性が見られる場合は、一度動物病院で相談し、アレルギー検査を受けてみましょう。
3.ウイルス性鼻炎
アレルギーによる鼻炎症状とは別に、ウイルス感染による鼻炎でもくしゃみをすることがあります。ウイルス性鼻炎の場合、以下のウイルスによる症状が考えられます。
- ジステンパーウイルス
- アデノウイルス2型
- 犬パラインフルエンザウイルス
- 犬ヘルペスウイルス
症状としては、くしゃみの他にも鼻水や乾いた咳などが挙げられます。
しかし、ジステンパーウイルスは症状が重く、最悪の場合、死に至らしめる恐れのあるウイルスです。くしゃみや上記の症状以外にも、下痢やけいれんといった症状を見せるケースが多いので、病院で早期治療が必要です。
これらのウイルス性鼻炎は、ワクチン接種で予防することができます。狂犬病ワクチンとは別に義務化されていませんが、任意で受けることができるので、混合ワクチンの接種を検討しましょう。
4.鼻腔内腫瘍
鼻水を伴うくしゃみであれば、鼻腔内の病気が考えられます。細菌性鼻炎、真菌性鼻炎、蓄膿症などの病気が考えられますが、中高齢の鼻の長い犬種の場合は鼻腔内腫瘍も疑う必要があります。
鼻腔内腫瘍は悪性が多く、早期発見治療を開始しなければ、体の他の箇所に転移してしまう恐れがあります。鼻腔腺癌や移行上皮癌、扁平上皮癌、軟骨肉腫、線維肉腫などが挙げられます。
進行の早い病気なので、少しでもくしゃみや鼻水の頻度に違和感を感じたら、すぐにかかりつけの動物病院に相談し、精密検査を受けるようにしてください。
5.歯周病
実は歯周病でもくしゃみが発症することがあります。特に、シニア期に入った犬の場合は、くしゃみを頻発する場合、歯周病が原因であることが多いです。
歯石にはたくさんの口腔内細菌が含まれています。この細菌によって歯肉などに炎症を引き起こす歯周病ですが、そのまま放置していると歯肉から歯の根元まで炎症が達し、それにより口と鼻を隔てている骨が溶けてしまうケースがあります。すると、口と鼻がつながってしまうため、くしゃみが発生します。
歯周病は放置していると抜歯が必要な段階に移行してしまいます。食事がしにくくなるなどの弊害が生まれるので、早めに対処しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。くしゃみは単発であれば問題視する必要はありませんが、子犬期やシニア期の犬、あるいは慢性的にくしゃみを繰り返している場合は病気を疑う必要があります。くしゃみだからと侮らず、速やかに動物病院へ相談しましょう。