1.勝手に触る
盲導犬を見かけた時にしてはいけないことのひとつ目が、「盲導犬に触る」という行為です。
犬が好きな人は盲導犬に興味を持つことがありますし、頑張って仕事をしている様子を見て愛おしい気持ちになることもあるかもしれません。
しかし、盲導犬がハーネスをつけている時は「仕事モード」であり、ユーザーを安全に目的地にたどり着かせるために意識を集中させています。
犬は周辺の状況を見たり、音を聞いて安全に歩くことができるかを判断し、ユーザーを誘導しています。そのようなときに触れられてしまうと、その集中が途切れてしまって必要な情報を見落としてしまったりすることがあるのです。
また、自分が犬を連れている時に盲導犬に会った時も、決して交流させようとして近づけたりすることのないように気をつけてください。
盲導犬は仕事中は仕事以外のことをしないように訓練されていますが、多くはレトリバー種であり、元々の気質がフレンドリーでほかの犬と遊ぶことが好きな犬も少なくありません。そのため、あまりも近づかれたり遊びに誘われたりするとつい犬の方に目が行ってしまうこともめずらしいことではありません。
2.声をかける
犬はユーザーの移動を安全にサポートするために、車や自転車の音、信号や踏切から出ている音などをしっかりと聞いています。そのため、聴覚を研ぎ澄ましている状態なので大きな声で呼ばれたり、近くで口笛を吹かれたりするとびっくりしてしまうことがあります。
また、触ることと同様に、集中が途切れてしまうことも考えられるのでできるだけ声掛けをすることは控えましょう。
盲導犬の集中が途切れることは、ユーザーはもちろん盲導犬自身や周辺にいる人をも危険にさらしてしまう可能性があることです。
もしも信号や道路の状況を伝えるためであったり、困っているような様子が見られた時は、盲導犬を連れているユーザーの方に話しかけてあげるようにしてください。
3.食べ物を与える
盲導犬の仕事中は集中力を切らさないように、声をかけたりなでたりすることをしてはいけません。
それと同様の理由で、食べ物を見せたり与えたりすることは絶対に行ってはいけません。
もちろん、盲導犬は食べ物のにおいがする場所をしっかりと歩く練習や、落ちている食べ物に気を取られないようにする訓練は行っています。
しかし、自分の目の前に差し出されて「食べていいよ」と言われてしまえば、誘惑に負けてしまう可能性も考えられます。
また、盲導犬はユーザーと一緒に飲食店に入ったり、電車やバスに乗ったりすることがあります。そのため、ユーザーは犬の排泄のタイミングを考えて、食事や水分量を管理していることがあるのです。
盲導犬は排泄をしたくなっても仕事中であれば我慢しますし、我慢することで集中力が低下してしまうことも考えられます。
このようなことから、ユーザーが決めた食事や水分補給以外のタイミングで食べ物を食べさせることは、絶対に避けたいことだとされています。
4.暴力を振るう
「盲導犬に暴力を振るってはいけない」ということは、多くの人が言われなくてもわかっている当たり前のことをして認識しているでしょう。
しかし残念なことに、盲導犬に対する暴力は長年続いている問題です。
盲導犬を連れているパートナーは、当然のことながら目が見えないまたは見えにくい人たちです。そのため、目の前で起きているできごとを視覚で捉えることができません。
そうした状況を利用して、ユーザーに気がつかれないように盲導犬に暴力を振るったり、いたずらをする心無い人がいるのです。
盲導犬の場合、殴ったり蹴ったりしても痛みを我慢して吠えたり鳴いたりしないことがあります。
訓練の中で、仕事中は必要以上の動きをしないことを身につけているため、ユーザーを混乱させないように自分自身にトラブルが起きても我慢してしまうことがあります。
また、盲導犬の体に落書きをしたり、ペンキをつけたりといったトラブルが起きたこともあります。
こうした暴力行為やいたずら行為は、盲導犬であろうとなかろうと生き物に対して絶対に行ってはいけないことです。
盲導犬やそのパートナーを傷つけることのないよう、どうか不満や悪意をぶつけることはしないでください。
まとめ
盲導犬は、目が不自由な人にとって大切なパートナーです。
ユーザーの安全を守りながら、目的地に向けて一緒に歩いていくことが仕事であり、そのために集中を途切れさせないように頑張っているのです。
そのような中で、周囲から刺激を与えられるとどうしても耳や目がそちらを向いてしまったり、集中が途切れてしまったりすることがあります。
そのため、盲導犬に出会った時はそのふたりのペースやリズムを乱すことのないように、声をかけたり近づいたりせずに遠くから静かに見守ってあげてくださいね。
ユーザーのコメント
20代 男性 匿名