英国発の「最も甘やかされている犬種ランキング」と浮かび上がる疑問

英国発の「最も甘やかされている犬種ランキング」と浮かび上がる疑問

イギリスの通販サイトが行なった調査で「最も甘やかされている犬種ランキング」が発表されました。学問ではなくお遊び的な調査なのですが、その裏側にある問題がうっすら透けて見えます。

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ペットグッズの通販会社が発表した調査結果

キャバリア

愛犬家を自称する人々の多くは可愛い「うちの子」のためにおもちゃや洋服、体に良いトリーツやサプリメントに財布の紐を緩めがちです。

イギリスのペットグッズの通販会社が、300以上の犬種、45万匹以上の犬のデータから、ファッションやおもちゃ、トリーツなどに飼い主が支出した金額の犬種別ランキングを発表しました。名付けて「最も甘やかされている犬種ランキング」です。

コロナ禍によるロックダウンのためにイギリスではペットを飼い始める人が増え、2021年にはイギリス国内の犬の登録数が1200万頭に達し、前年に比較して320万頭増加という空前のペットブームが起きています。この調査の背景にはそのような社会状況があります。

上位に名を連ねている犬種は......

床に伏せているキャバプーション

さて、おやつやファッションに最も多くの金額が支出された犬種の上位3種は以下の通りでした。

1位 キャバプーション

え?何の犬種と思われた方も多いのではないでしょうか。これはキャバリアキングチャールズスパニエルとプードルとビションフリーゼのハイブリッドです。成犬になった後も子犬のような容姿が人気なのだそうです。

2位 マルプー

1位に続いてハイブリッド犬種です。日本でも増えているマルチーズとトイプードルのクロスブリードです。

3位 チャウチャウ

トップ2犬種とは打って変わって、最も古い歴史を持つ犬種の1つが登場しています。イギリスにおいては、その珍しさから最も高価な犬種の1つでもあるそうです。

4位以下には、ゴールデンドゥードル(ゴールデンレトリーバー ×プードル)、フラットコーテッドレトリーバー、プードル、シープー(シーズー×プードル)、スプルードル(スプリンガースパニエル×プードル)、キャバリアキングチャールズスパニエル、ハンガリアンヴィズラが続きます。

なんと上位10犬種のうち半分の5犬種がデザイナードッグと呼ばれるハイブリッド犬(ミックス犬)です。このランキングは犬種別の支出金額に基づいているので、飼い主の経済状態があからさまに反映されているとも言えます。

3位のチャウチャウが最も高価な犬種の1つであることからも分かるように、ランキング上位の犬の価格は高額であると推測されます。高価な犬を購入できる経済状態の飼い主が、愛犬のためにたくさんのお金を使うことは容易に想像がつきます。

つまりこのランキングは、上位10犬種の半分を占めるデザイナードッグが高額で取引されている可能性を示しているとも言えます。

ハイブリッド犬種の台頭の裏側は?

ラブラドゥードルの正面顔

人間は古来から犬の望ましい性質を選択して育種してきた歴史があるので、ほとんどの犬種は元々はハイブリッドだとも言えます。

しかし異なる純血種同士の遺伝子を組み合わせて生まれてきた犬は、個体ごとにどの遺伝子が表現するかは分かりません。外観だけでも同腹犬の中で違う特徴を持つ犬が生まれてきます。

新しい犬種を作り出すための本来のブリーディングは何世代もの時間をかけて望ましい特性を選択し、望ましくない特性は除外していくことで、生まれてくる犬の遺伝情報が均質になり犬種として確立していきます。

しかし、現在市場で売買されているデザイナードッグの多くは犬種として固定できるだけの世代を経ていません。外観だけは均質な者が取引されていますが、性質や疾患についてはどのような特性が現れるか未知の部分が多く残されています。

ハイブリッド犬の草分けとも言えるラブラドゥードルの制作者が2019年に「ラブラドゥードルを作ってしまったことは生涯最大の後悔だ」と発表したことが話題になりました。

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彼は犬の繁殖業者にハイブリッド犬は大金を生み出すと気づかせてしまったことに言及しているのですが、このランキングに表れているハイブリッド犬の台頭はまさにそのことを体現しています。

どうしても特定のハイブリッド犬が欲しいという人は、責任あるブリーダーのもとで遺伝病の検査をして人道的に繁殖された犬を買えばいいのですが、ラブラドゥードルやゴールデンドゥードルくらい定着した犬種ならともかく、作り出されて間もないハイブリッド犬ではそのようなブリーダーを見つけるのは至難の技です。

そもそも本来のブリーダーとは責任を持って特定の犬種の保存を担っていく役目もあるので、ハイブリッド犬を生み出すことはブリーダーの役目を大きく逸脱する行為でもあります。

まとめ

コッカースパニエルの子犬たち

イギリスの通販会社が発表した犬種別のおやつやファッションの支出金額ランキングと、そこから伺えるハイブリッド犬を巡る問題をご紹介しました。

「かわいい」だけを追求して、遺伝病や性質を考慮していないブリーディングは純血種の犬たちに様々な健康上の問題を背負わせて来ました。外観の可愛らしさのためだけに作り出されたハイブリッド犬たちが、同じ道を辿らないようにするには購入者が思慮深くあることが必要です。

《参考URL》
https://www.yappy.com/uk/dogs/b/most-spoiled-dog-breeds

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