1.洋服を着ることに慣らす
普段あまり服を着させないという飼い主さんもいると思いますが、老犬になる前に服を着せることに慣らしておくことをおすすめします。
老犬になると体温調節が苦手になることから、寒がりになる傾向にあります。そのため、散歩に出るときはもちろん、室内でも保温のために洋服を着せておいた方がいい状況になる可能性があります。
洋服だけでなく、おむつや包帯が必要になることもありますし、介護のために体に装具などを身につけさせることもあると思います。
必要に迫られて洋服やおむつなどを身につけさせる時、犬が慣れていないと強い抵抗感を持って拒否することがあります。
また、無理やり身につけさせたとしても犬がストレスを感じてしまうことがあります。
病気や怪我をした時などはできるだけストレスを取り除いてあげたいものなので、洋服に関するストレスを感じさせないためにも元気なうちから少しずつ慣らしておいてあげるといいでしょう。
2.色々な食べ方に慣らす
洋服を着せることに慣らしておくのと似た理由から、さまざまな食べ物や食べ方に慣らしておくことも大切です。
年老いた犬は薬を飲む機会も増えますし、寝たきりになると自らご飯を食べられなくなってスプーンやスポイトを使って食べさせてあげる必要が出てくることもあります。
そのようなことも想定して、手で口に直接食べ物を入れたり、スプーンから食べさせたりする練習をしておくといいと思います。
最初は抵抗するかもしれないので、その場合は特に大好きなおやつや普段は与えないような特別なおやつを使って練習をすると、いいイメージがついてすんなり受け入れてくれることもあります。
また、食べ物の種類も色々なものをあげるようにしてみましょう。
ドッグフードでも同じものだけを与え続けるのではなく、色々なメーカーのものを与えたり、ドライ・ウェットのどちらも与えたりして食感や風味にバリエーションをつけるようにしましょう。
3.カートやキャリーバッグで移動する
犬は年齢を重ねると足腰が弱って、自分で歩けなくなってしまうことがあります。
しかし、自分で散歩に行けなくなったとしても病院などに出かけなければならないことはありますし、気分転換や精神的な充実感のために、外に連れ出して空気に触れさせたり景色を見させたりすることも必要です。
そのような時に快適に出かけられるように、カートやキャリーバッグなどで出かける練習をしておくといいでしょう。
抱っこできる大きさであれば、そのようなものは必要ないと考える人もいると思いますが、出かける際に安全を守るために、抱っこではなくキャリーバッグやスリングを使って移動することが大切です。
また、抱っこがお互いにとって負担になる中型犬以上の犬の場合はドッグカードなどに慣らしておかなければ移動がむずかしくなってしまいます。
4.ハンドサインを教えておく
犬が老いる時は、少しずつ身体機能が低下していきます。一見健康に見えても、視覚や聴覚、嗅覚などの感覚器は徐々に衰えていることがあります。
個体差はありますが、一般的に聴覚→視覚→嗅覚の順で衰えていくと言われています。そのため、名前を呼んでも聞こえていなかったり、「おすわり」「待て」などの指示を出しても無視する形になってしまったりすることが多く見られます。
このようなことを想定して、犬には言葉での指示もハンドサイン(ハンドシグナル)での指示もどちらも教えておくといいでしょう。
聴覚と視覚のどちらかが衰えても、どちらかの指示方法で理解できればコミュニケーションに大きな問題は起きないでしょう。
まとめ
犬が年老いていく中で、元気な時は考えてもいなかったような事態が起こることがあります。
これまで経験させていなかったことが必要になる場合もあり、その時に犬にも人にもストレスや負担がかかってしまうことがあるのです。
身体的に衰えた犬に精神的なストレスがかかることは、とてもつらいことです。そのため、元気で精神的にも柔軟な若いうちに、色々な事態を想定して経験を積ませておくことをおすすめします。