熱中症は命の危険が!
熱中症は、体温が上昇することで脱水症状を引き起こしたり、血圧の低下や血液の濃縮がみられる状態をいいます。処置が遅れると最悪の場合、命を落とすことがあります。
春を過ぎて梅雨の時期になると、動物病院には熱中症の犬が多く来院します。実は熱中症になった場所の半数以上が家庭内、その他が散歩中なんです。つまり、熱中症になるのは家の中が圧倒的に多いのです。
犬は日本独特の高温多湿を苦手とする動物です。とくに暑さに慣れていない子犬や、体温調節機能が低下しているシニア犬、肥満の犬、短頭種は、暑さによって体調不良を起こしやすいので十分に注意しなければなりません。
暑さによる体調不良の症状15選
熱中症は、症状の程度によって危険度が異なります。初期症状の場合はご家庭で対処することができますが、危険な状態の症状がみられた場合はすぐに動物病院へ連れて行かなければなりません。とくに梅雨のジメジメした時期や夏の激しい暑さの時期は愛犬をしっかり観察するようにしましょう。
1.初期症状
- 呼吸が荒い(パンティング)
- よだれが垂れ続けている
- 体が熱い、体温が高い
- 落ち着きがない、うろうろする
- 動きたがらない
暑さによって体調不良になっている場合、「パンティング」をするようになります。パンティングとは犬独特の呼吸様式で、ハアハアと舌を出して呼気として熱を排出することで、体温調節をしています。
このように口を大きく開けて舌を出し、荒い呼吸をしている様子がみられたら熱中症の可能性があります。
犬も人と同じように暑さによって熱中症になりますが、犬と人で決定的に違うのが汗腺です。人は全身にサラサラした汗をかくエクリン腺という汗腺があるため、全身から汗を出すことで体温調節ができます。しかし、犬はエクリン腺が足裏にしかないため体温調節がしにくく、また地面にも近いので人以上に暑さを感じます。
2.中期症状
- 一点を見つめている
- ぐったりしている
- 嘔吐をする
- 下痢をする
- 口の中が赤い
中期症状になると、さまざまな異常な行動や症状があらわれます。ぐったりしている様子がみられたら中期症状に陥っている可能性があります。
また、犬は大量に水を飲むと下痢をしてしまいます。とくに、散歩で思いっきり運動したあとやお風呂で体が温まったあとなどは、水を大量に飲んでしまう子も多いでしょう。またキンキンに冷えた水を与える飼い主さんもいますが、これはオススメできません。
夏場に水を与えるうえで一番重要なのが清潔さです。気温が高い夏場や、湿度が高くジメジメした梅雨の時期は、水の腐食のスピードが格段に上がります。
いつでも自由に飲めるようにと水を入れっぱなしにするのはやめましょう。水を飲み終えるたびに容器をきちんと洗い、清潔さを保たなければなりません。
3.危険な状態
- 舌が青紫色になっている(チアノーゼ)
- 意識がない
- 痙攣している
- 歯茎が白い
- 血を吐いている
これらの症状がみられた場合、内臓の機能が正常に働いていない恐れがあります。とくに小型犬や超小型犬は体力が少なく、内臓の負担が大きいと重症化しやすいといわれています。さらに症状が進行すると命の危険があるため、これらの症状がみられたらすぐに動物病院へ行きましょう。
熱中症の症状がみられたら?
1.初期症状の場合
犬の汗腺は足裏にしかないことから、人と比べると汗腺の発達が遅いといえます。そのため、体温の低下を試みるには体に直接冷たいものを当てること、また呼気として熱を排出することが重要となります。
夏の暑い時期や運動後に初期症状がみられた場合、まずは日陰や室内などの涼しい場所に移動しましょう。冷たいタオルを用意し、太い血管が通っている首やワキの下、太ももの付け根に当てます。
しかし冷たいタオルを当て続けると低体温症になってしまう恐れがあるため、冷やしすぎには注意しましょう。
2.危険な状態の場合
熱中症の症状で危険な状態がみられた場合は、すぐに動物病院へ行きましょう。愛犬が熱中症になった時間や場所、原因などを獣医師さんに伝え、早期に治療することによって回復が望めます。
まとめ
犬の熱中症は、飼い主さんの正しい知識によって予防することができる上、愛犬の命を守ることができます。油断しがちなのが5月や6月のジメジメし湿度が高くなる梅雨の時期です。普段の何気ない散歩でも油断せず、愛犬の異変にはすぐに気づくことができるよう常に観察してあげてくださいね。