太りやすい犬種の考え方
犬の肥満は、現代の犬にとってとても大きな健康問題の一つです。しかし、これは犬自身の問題と言うよりも、飼い主さんの問題だと言えるでしょう。なぜなら食事も運動も、犬自身ではコントロールできないからです。
基本的に太る原因は、消費するより多くのカロリーを摂取してしまうことです。
つまり太りやすい犬とは、「運動量をたくさん必要とする猟犬や牧羊犬として改良された犬で、一般の家庭犬として暮らしている犬」になります。彼らは、非常に多くの運動を行うように、その特性を伸ばされてきました。そのため、食欲も旺盛にできているのです。
その食欲に合わせて食事を与え、それに見合う十分な運動をさせなければ、太るのが当たり前です。
犬種の分類
一般社団法人ジャパンケネルクラブの犬種標準では、犬種は下記の10グループに分けられます。10の内7つの分類が、猟犬または牧羊犬です。飼い主さんは、まず愛犬の犬種や起源を知っておくことが大切です。
1G:牧羊犬・牧畜犬(家畜の群れを誘導保護する犬)
2G:使役犬(番犬、警護、作業をする犬)
3G:テリア(穴の中に住むキツネなどの小型獣用の猟犬)
4G:ダックスフンド(地面の穴に住むアナグマや兎用の猟犬)
5G:原始的な犬・スピッツ(日本犬を含む、スピッツ(尖ったの意)系の犬)
6G:嗅覚ハウンド(大きな吠声と優れた嗅覚で獲物を追う獣猟犬)
7G:ポインター・セター(獲物を探し出し、その位置を静かに示す猟犬)
8G:7グループ以外の鳥猟犬(7グループ以外の鳥猟犬)
9G:愛玩犬(家庭犬、伴侶や愛玩目的の犬)
10G:視覚ハウンド(優れた視力と走力で獲物を追跡捕獲する犬)
太りやすい犬種
日本で人気の高い犬種の中から、太りやすいと言われている犬種を選んでご紹介します。
1.ゴールデン・レトリーバー(8G)
カモやキジなどの鳥をターゲットにした猟の片腕として活躍するガンドッグです。
標準的なサイズは体高が牡で56〜61cm、牝で51〜56cmとされています。
2.ラブラドール・レトリーバー(8G)
水鳥猟で活躍する泳ぎが得意なウォーター・ドッグです。
理想体高は、牡が56〜57cm、牝が54〜56cmとされています。
3.ダックスフンド(4G)
非常に用途の広い、有用な狩猟犬の一つとして公認されている犬種です。
標準的な体高は下記の通りです。
スタンダード:牡37cm超〜47cm以下、牝35cm超〜45cm以下
ミニチュア :牡32cm超〜37cm以下、牝30cm超〜35cm以下
カニーンヘン:牡27cm超〜32cm以下、牝25cm超〜30cm以下
4.プードル(9G)
分類的には愛玩犬ですが、鳥猟に使用されていたウォーター・ドッグのバルべが祖先です。
標準的な体高は下記の通りです。
スタンダード:体高45cm超、60cm以下
ミディアム :体高35cm超、45cm以下
ミニチュア :体高28cm超、35cm以下
トイ :体高24cm超、28cm以下
5.ヨークシャー・テリア(3G)
現在はコンパニオン・ドッグ(家庭犬)として飼育されていますが、本来テリアなので、狩猟本能を含めテリアらしい性質や気質が備わっています。
標準のサイズとして、体重は3.2kgまでとされています。
太らせないために意識すべきこと
体型と体重の定期的なチェック
飼い主さんは、愛犬の体重の増減を把握することが大切です。そのためには、定期的な体重測定が欠かせません。抱けるサイズであれば、飼い主さんが抱いて体重計に乗り、そこからご自身の体重を引くことで計測できます。
また、犬種別に体重何kgを超えたら肥満という基準数値はありません。そのため、併せて気をつけたいのが体型です。体型も定期的にチェックしましょう。犬の理想体型は下記の通りです。
<犬の理想体型>
- 上から見た時に腰の部分がくびれている
- 横から見た時に前脚から後ろ脚の方に向かってつり上がっている
- 体を触ると薄い皮下脂肪が付いていて、かつ肋骨にも触れる
必要な運動量の確保
毎日しっかりと運動をさせることを心掛けましょう。基本は、1日2回の十分な散歩です。帰宅すると眠ってしまうくらい疲れさせることがコツです。
帰宅しても元気で遊びたがっている場合は、少なすぎると思ってください。
犬種特性や愛犬の性質等を見て、必要なら休日などを利用してドッグランの利用や室内外でのおもちゃを使った遊びで、運動量を補いましょう。
1日の総摂取カロリー
1日の総摂取カロリーが1日の必要カロリーを上回らないような管理も大切です。
1日の総摂取カロリーは、フードのパッケージが参考になります。その数値をベースに、実際の体重の増減を見ながら調節します。おやつの分も併せて総カロリーを計算します。
まとめ
肥満が原因で、健康を害するさまざまなリスクが高まります。ただ可愛がるのではなく、愛犬が嫌がっても、時にはしっかりと健康管理を行うのが、飼い主さんの責任です。
肥満になってから痩せさせるのはとても難しく、時間も掛かります。愛犬自身もつらい思いをします。
若い頃からしっかりと体型や体重を管理し、健康で天寿を全うできるようにサポートしましょう。