犬の7割が糖尿病の「ある症状」に反応することが判明
信じがたい話ですが「犬は糖尿病の人を見分けることができる」のは実は本当です。
オーストラリアの糖尿病専門医が糖尿病患者を対象とした調査によると、犬の7割が飼い主の異変に反応したという結果が発表されています。
飼い主の異変とは、主に「低血糖発作」のことです。
糖尿病患者の症状である低血糖時に発するにおいに対し、犬が反応をする可能性が見つかり、今現在も研究が進められています。
低血糖時の呼気には、「イソプレン」という天然化学物質が通常より2倍に増加することも、イギリスの大学の研究でも明らかに。そのにおいに犬は飼い主の危険な状態を察知しているのでは?と考えられています。
反応した犬は、服を引っ張る、吠えるなど「飼い主さんが危険!」と恐怖心に駆られている様子を見せます。
そんな犬がおかしな行動を見せた時に血糖値を測定したところ低血糖状態であることがわかり、犬の持つ能力が判明したことがこの研究の始まりです。
人間に献身的な犬なら飼い主の危険を察知できるのでは?と思ってしまうかもしれません。
しかし、単なる特別な能力を持った一匹の犬の話ではないのです。その理由は、数多くの糖尿病患者が「低血糖の時になぜか愛犬がそばにいてくれた」と不思議に感じていることがわかっているからです。
「低血糖アラート犬」が飼い主の命を救う!
糖尿病の人が最も注意したいのが「無自覚性低血糖」と呼ばれる症状です。本人やそばにいる人が気づかないまま血糖値が下がってしまい、時には命を危険にさらしてしまうこともあります。
すでに海外では犬の優れた嗅覚を元に育成をした「低血糖アラート犬」と呼ばれる犬が存在。常に糖尿病患者と生活を共にして、飼い主の血糖値の異変を知らせる介助犬として活躍しています。
飼い主が寝ている間に低血糖を起こしてしまっても犬が反応をして知らせてくれるので、ひとり暮らしの方やお年寄りの方にとって頼もしい存在になっています。
また、無自覚性低血糖を持つ子供も「安心して学校へ行くことができるようになった」という報告も!
これだけ素晴らしい能力を持つ低血糖アラート犬ですが、科学的根拠が不足している、24時間働かせるのは難しいといった課題が残されています。
今後日本でも「低血糖アラート犬」が活躍する日が近いのかも
まだまだ課題は残されつつも、低血糖アラート犬の能力に助けられた糖尿病患者は多く、欧米では少しづつ低血糖アラート犬の活躍の輪が広がっています。何よりも犬と過ごす安心感は大きいようですね。
そして今日本でも、糖尿病患者の危険を察知して警告をする「低血糖アラート犬」が育成されています。
1型糖尿病患者と家族を支援する認定NPO法人「日本IDDMネットワーク」が、2018年から2頭の犬を低血糖アラート犬として訓練中です。
この2頭の犬「アニモ」と「アロエ」はどちらも元保護犬です。低血糖アラート犬はとくに犬種は選ばず、社交的で人に寄り添うのが好きな犬であれば目指すことができます。
アニモとアロエは、人間の手で育てられた犬なので人慣れしている背景も低血糖アラート犬に向いていたようです。すでに譲渡先のもとに渡り、その後もご家族と一緒にトレーニングを続けています。
これから日本をはじめ、世界各国で低血糖アラート犬が介助犬として活動をする姿を見る日がくるかもしれません。
なお、低血糖アラート犬の育成には多額の費用がかかってしまうため、日本IDDMネットワークでは一般の方からの寄付も受け付けているようです。
まとめ
「犬が糖尿病の人を見分けることができる?」というのは本当の話でした。事実、人間の低血糖状態に反応する犬が多いということです。不思議な特殊能力にも感じてしまいますが、単なる偶然ではありません。
すでに低血糖アラート犬が活躍していることに驚いた方もいらっしゃると思います。この機会に低血糖アラート犬や活動団体を知り、ぜひ今後の活躍に期待しましょう。