犬を撫でるセッションが大学生の学習能力に良い影響【研究結果】

犬を撫でるセッションが大学生の学習能力に良い影響【研究結果】

アメリカの大学でのセラピードッグを撫でるセッションが、学生が学業を達成する能力に良い影響を与えたという研究結果が発表されました。その内容をご紹介します。

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アメリカの大学で増えているセラピードッグ導入

勉強する学生の隣に座っているゴールデンレトリーバー

アメリカの大学では試験の時期に学生が受けるプレッシャーやストレスから、学業や健康に影響が出ることへの様々な対策な講じられています。

中でも多くの大学に注目されているのはセラピードッグを導入する方法です。セラピードッグと学生の成績の関連については科学的なデータはまだ限定されているにも関わらず、導入する大学が増えているとのことです。

この度、ワシントン州立大学の研究チームによってセラピードッグと交流するプログラムと、従来の学生向けストレス管理プログラムを比較したリサーチ結果が発表されました。

この研究では、単にストレスの軽減だけでなく、学生が学業を達成するためのスキルにどのような影響があったかが示されています。犬を撫でるだけで成績が上がる?と聞くとちょっと驚いてしまいますが、どのような内容なのでしょうか?

セラピードッグと従来のストレス対策を比較

若い女性の手から何か食べているハスキー

セラピードッグ以外の従来の学生向けストレス対策はエビデンスに基づいて作成されたもので、その効果についても実績があります。

これらはストレスやプレッシャーに関する専門家の説明を聞くこと、筋肉のリラクゼーションや深呼吸といった方法を学ぶ、効果的な時間管理の方法を学ぶなどが含まれます。

しかしこれらの従来の方法は、過去にメンタルヘルスの問題または学業やその習得に関して問題を抱えたことがある学生には、あまり効果的でないという問題がありました。

研究チームは3年間に渡って309人の学生を対象にしてリサーチを実施しました。参加者は4つの大学の寮生から募集され、メンタルヘルスや学習障害についての履歴を自己申告している人たちが含まれています。

参加者はセラピードッグとの交流または従来のストレス対策にランダムに割り当てられ、それぞれ4週間のプログラムに参加します。

セラピードッグは専門の会社からハンドラーと共に派遣されます。セラピードッグの方法に参加した学生は1回1時間のセッションで、約30分間が犬を撫でたり観察することに費やされ、残りの時間は瞑想やリラクゼーション、ディスカッションなどに使われました。

従来のストレス対策の方法に参加した学生は毎週違うテーマのワークショップに参加して、身体と精神の健康、瞑想やリラクゼーション、時間管理などについて学び体験したそうです。

セラピードッグが学業の達成にまで影響!?

本の前に伏せているヨーキー

過去の研究では、セラピードッグとの交流でストレスホルモンのコルチゾールの数値が下がるという身体的なストレス低下の証拠は示されています。

この研究では、4週間のセッションを終えた後に学生たちの「実行機能」が測定されました。実行機能とは、ある課題を遂行するにあたって必要な計画、整理、動機付け、集中、記憶を実行する認知機能のことです。大学で学業を達成するために必要なスキルと言い換えることもできます。

測定の結果は非常にはっきりしていました。メンタルヘルスや学業習得に関する問題を抱えた履歴のある学生がセラピードッグとのセッションを終えた後、最も大きく実行機能が改善していました。

セッション終了直後だけでなく、6週間後にフォローアップの測定をした時にも改善の結果は残っていました。

メンタルヘルスや学習に関して問題を抱えている学生にとって、従来のストレス対策の方法はさらにストレスを与えるからではないかと考えられるそうです。従来の方法は「ストレス対策を学ぶ」ことがメインであるため、新たに勉強しなくてはならないことが増えると感じられ、それがストレスやプレッシャーになるということです。

セラピードッグとのセッションでは、セッションそのものがストレスになることはありません。セッション中に学業のストレスやプレッシャーについてディスカッションする時にも犬が側にいることでリラックスして考えることができるので、落ち着いて目標を設定し集中力や記憶力が高まるのだと研究者は説明しています。

犬を撫でることで、ストレスやプレッシャーから解放されて心をリセットすることができ、それが実行機能を高めることにつながったわけですね。

まとめ

キャンパスにいる白いテリアと4人の男女

大学生向けのセラピードッグとのセッションは、従来のストレス対策の方法よりも学生の実行機能の改善に高い効果を示したというリサーチ結果をご紹介しました。

確かにストレスやプレッシャーでいっぱいいっぱいになっている時には、思考はネガティブになりミスやエラーも増えがちです。一旦休んでリラックスした後には、新しい発想や頭の回転が良くなっていると感じるのもよくあることです。

犬を撫でることでそのような効果がもたらされるのも、リラックスという観点から見れば納得です。私たちが犬の存在に感謝しなくてはならない理由がまた1つ明らかになったようですね。

《参考URL》
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/23328584211011612
https://news.wsu.edu/2021/05/12/petting-therapy-dogs-enhances-thinking-skills-stressed-college-students/

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