犬はウンチをする時『南北を向く』って本当?
犬はウンチをする時『南北を向く』って本当?
2013年、チェコのチェコ生命科学大学とドイツのデュースブルク・エッセン大学の研究チームによって、犬が排せつする時、好んで南北の軸に沿って体の向きを揃える習性があるのを発見しました。
この結果は、2年の年月をかけ、37犬種70匹の犬種37種70匹のうんち1893回分とおしっこ5582回分のデータから算出したのです。ですから、「本当」のことと言えます。
向いている方向に意味はあるの?
まず、地球を大きな磁石と考えます。そして、磁石には「S極」と「N極」があり、磁力は「S極」から「N極」へと流れます。そして、「S極」と「N極」は対になっています。
簡単に言うと、地球の「南北」は、磁石でいうところの「N極」と「S極」になります。
つまり「犬はウンチをする時に南北を向く」という習性が、磁力や磁場に関連していることの証明となるために、頭かお尻が南北に向いているということは非常に大きな意味があるのです。
犬は、磁場を感知する能力がある?
磁場とは?
そもそも、「磁場」とは一体どういう意味を持つ言葉なのでしょうか?
磁場とは、「磁力が影響を及ぼすことが出来る場所」のことを言います。
そして、地球には「地磁気」と言う磁力が発生しています。この「地磁気」はなぜ発生するのか、現在でもその謎は解明されていません。
この「地磁気」は、重力と同様に地球から大気や水分が宇宙空間へ拡散するのを防いだり、宇宙からの有害な光線や太陽からの紫外線を減らすという効果があり、地球に生息するすべての生命を守るという大きな役割を果たしています。
「磁場」とは、この「地磁気」が存在し、その影響を受ける場所のことを言います。つまり、地球の地表の上ならどこでも「磁場」と言えます。
犬は、磁場の中で磁力を感知する能力がある?!
2016年、ドイツのマックス・プランク研究所の脳を研究しているチームによって、犬の目には、「クリプトクロム1a」という物質が存在していることが発見されました。
この「クリプトクロム1a」は、優れた方向感覚を持つ渡り鳥などの目にも存在していて、そのために磁場を知ると考えられている物質です。
その物質が犬の目にも存在することが実証されたということは、犬には磁力を感知する能力があることを科学的に証明したことなります。
動物と磁場の関係
近い未来、動物が感じる磁場を可視化出来るようになる…?!
2015年、東京大学大学院で動物が感じる磁場の動きを解明する研究が進んでいます。
将来的には、動物の目から入った光が、目の中にある磁力を感知する物質にどう働いて、どう動くかを可視化出来るようになることが期待されています。
もし、その研究が進めば、動物が持っていると考えられる磁場を感知する能力についての謎が解き明かされるかもしれません。
盛んに議論され続ける、動物と磁場についての研究
犬や渡り鳥だけでなく、広大な牧場で飼育される牛や羊も磁場や磁力を感知する能力が高い、と考えられています。
今回、「犬はウンチをする時に南北を向く」という話をご紹介しましたが、実は、牛や鹿、羊などの大型哺乳類にも同様の習性があることがわかっています。
そのような動物の体の中の、どんなメカニズムが磁力や磁場を察知するのかは、磁場と動物との関連性を探る研究者の間では盛んに議論されています。
まとめ
今回の記事で紹介した「犬はウンチをする時に南北を向く」という研究結果が発表されているオンライン科学雑誌『フロンティアーズ・イン・ズーオロジー』で実際にざっと読んでみました。
読んだ感想としては、「犬って、ウンチをする時たいてい同じ方向を見てるよね、どうしてだろう?」と言う疑問が先にあったように感じました。
そして、その謎を解明する方法として、2年という月日をかけて、オシッコとウンチ合わせて約7000回のデータを取ったのです。
さらに、そのデータを冷静に分析し、精密に数値化した結果、「犬は排泄時、南北に体の軸を合わせることを好む」という結果を発見しました。
その結果に「磁場を感じることが出来るため」という仮説を唱えることで、犬の習性に意味を持たせました。私は、この研究者の熱意に感動と驚きと執念を感じます。
この研究は、「犬には磁場を感じる能力があること」を実証したという意味では、非常に重要な研究だったと思います。
「犬に磁力、磁場を感じることが出来るか、出来ないか」については、今でもさまざまな研究が行われいます。いずれは、その能力の本当の謎についても、解明できる日が来るかもしれません。