基本は信頼関係
犬が舐める行動の起源は、子オオカミが母オオカミに餌をねだる行為からだと言われています。
つまり、犬は信頼している相手でなければ舐めないのです。口元であろうが手や足であろうが、愛犬が舐めてくるのであれば、それは飼い主さんを信頼している証です。
ただし「舐める」という1つの行為であっても、その裏に潜んでいる気持ちはさまざまです。
愛犬が舐めてくる時の状況や前後の行動で、愛犬の気持ちを汲み取ったり、裏に潜んでいるストレスを察知できることも、飼い主さんには必要なことです。
そこで今回は、愛犬が飼い主さんを舐めてくる時の心理を解説します。
犬が飼い主を舐めてくる時の心理
1.甘えている
冒頭でお話した通り、犬が相手を舐めるという行為は、犬の祖先であったオオカミ時代の母子の関係から来ていると考えられています。
舐めてくる愛犬は、飼い主さんのことをお母さんのように思っていて、甘えている、愛情を表現しているというのが、基本的な心理だと考えて良いでしょう。
2.情報を収集している
犬は、情報の大部分を五感の内の嗅覚を使って得ています。舐める時には、当然鼻が接近しますので、舐めながら相手の情報を得ていることも多いです。
健康状態や、飼い主さんに最近起こったことなどを、飼い主さんが発するニオイを元に知ろうとしているのです。
たとえば、初対面の人に会った時に、手のひらのにおいを嗅いで「この人は信用できそうだぞ」という印象を持った場合、犬は初対面の人でも手を舐めることがあります。その時は、舐めながらその人の情報を嗅覚を使って収集しているのだと考えられます。
3.葛藤している
愛犬自身がどうしたら良いのかわからなくなっている時、葛藤が生じた時などに舐めることもあります。その場合、自分自身の足先や体、鼻の頭などを舐めることが多いのですが、中には、飼い主さんの手を舐める場合もあるようです。
犬は、自分自身で体を舐めて体を清潔に保つ、グルーミングを行います。実は、グルーミングには、衛生管理だけではなく、「自分自身を落ち着かせる」という効果もあるのです。その舐める対象が自分ではなく飼い主さんに転嫁されたと考えればよいでしょう。
4.ストレスからきている
ちょっと舐めるというよりも、いつまでも舐める続けるといった場合には、その裏にストレスが潜んでいることがあります。
この場合も、自分自身を舐め続けることが多いのですが、中には飼い主さんの手を舐め続けることで、自分自身を落ち着かせようとする場合もあります。
5.過去の経験からの学習
過去の経験から学習して、舐める場合もあります。この場合は、良い意味と悪い意味の2通りが考えられます。
1つは、以前舐めた時の飼い主さんの反応を見て「ここを舐めると喜んでもらえる」と学習し、再び喜んでもらおうとして舐めるという場合です。
気をつけたいのは、「喜んでいる」というのが犬の勘違いである場合も少なくないことです。飼い主さんが大きな声で叱ったり、大げさな身振りで嫌がった行為を勘違いしている場合もありますので、拒絶する場合は愛犬にしっかりと伝わるように注意しましょう。
もう1つは、愛犬から飼い主さんへの「拒否」のサインです。過去に「舐めたら嫌なことをやめてくれた」という経験があると、それを学習して「もうやめて!」という気持ちで舐めるというものです。
愛犬は、ふとした飼い主さんの行動で学習してしまいますので、勘違いさせないように注意する必要があります。
まとめ
愛犬が飼い主さんを舐めてくる時の心理について、主だった物をご紹介しました。
一口で「舐める」といっても、その中には愛犬のさまざまな気持ちが潜んでいることがお分かり頂けたと思います。また、ストレスが潜んでいる場合があることも分かりました。
こういった情報を元に、愛犬の様子をよく観察し、気持ちや状況を察して適切な対処をしてあげられるようになりましょう。
また、犬の口腔内には常在細菌がたくさんいます。
犬にとっては無害でも、免疫力が下がっている時や、乳幼児や高齢者に感染すると、発症してしまうリスクもあります。
愛犬とのコミュニケーションでは、口と口でのキスは避ける、触れ合った後は必ず手洗いやうがいを励行する等の対策も、忘れずに行いましょう。