柴犬が大事にしている「柴距離」とは
柴距離は「付かず離れず」の行動を表現する言葉です。「近づきすぎず、離れもせず、一定の距離を保つ」という性格を持つ柴犬特有の行動から名づけられました。
柴距離は柴犬だけに見られる行動ではありません。柴犬に最も多く見られ、日本犬の特徴でもあり、他の犬種にも同じ行動が見られることがあります。
隣に座るのはOK!抱っこはNG
飼い主の隣に座りたい。触られるのは嫌。抱っこは絶対にダメ。これを「柴距離」と言います。
愛犬が隣に座って来たら撫でてあげたくなります。抱っこしてあげたくなります。
でも触ると嫌がります。抱っこすると逃げます。唸られることもありますし、ワンッ!と一喝されることもあります。しばらく寄って来てくれなくなります。これが柴距離です。
同じ空間で遊びたい!近づきすぎるのはNG
他の人や犬と同じ空間で遊びたい。近づきすぎると威嚇します。ワンッ!と一喝、追い払います。これはドッグランでの柴距離の様子です。
追いかけっこするの大好きです。ひとつのボールを一緒に追いかけます。長いロープのおもちゃなら引っ張り合いも好きです。でも近づきすぎると怒っちゃいます。これが柴距離です。
「ON」と「OFF」の差が激しい
「甘えたい時」と「構われたくない時」の差が激しい様子を柴距離と呼んでいます。ツンデレとも言います。
甘えたい時はべったりデレデレ♡甘えてくれますが、構われたくない時は本当に冷たい態度です。相手が誰だろうと関係ありません。飼い主を冷たくあしらうこともあります。
自分が甘えたい時は満足するまでべったり寄り添い、構われたくない時は飼い主にも「構わないでください」とはっきり表現する。これが柴距離です。
「柴距離」は「奥ゆかしさ」
柴距離は奥ゆかしさ。奥ゆかしさとは控えめで上品なこと。相手との控えめで上品な距離感のことを柴距離と表現することができます。
フレンドリーで社交性のある犬は、他の人や犬からモテます。お散歩の途中でも声をかけられやすいです。ドッグランでも常に他の犬に囲まれて楽しそうにしています。
初対面だったらどうでしょう。フレンドリーな態度が「馴れ馴れしいな」「図々しいな」と思われてしまうことがありますよね。
控えめで上品な柴距離は、犬同士の付き合いにも、人同士の付き合いにも大切なことを教えてくれていると思います。
「柴距離」は「礼儀正しさ」、「親しき仲にも礼儀あり」
海外では柴距離を発動する柴犬に対して「なんて礼儀正しい犬なんだ!」「素晴らしい対応だ!」と評価されています。柴距離とされる行動や態度が日本人の立ち振る舞いに似て見えるのだそうです。
日本人は挨拶をする時、深々と頭を下げます。初対面の相手でも親しい相手でも変わりません。手が触れ合う握手、体が触れ合うハグ、頬を寄せ合うキス、海外の挨拶は柴距離とは呼べない距離感ですよね。
「いきなり触れ合うことを相手は嫌だと感じるのではないか…」と配慮することができる。「親しき仲にも礼儀あり」を「柴距離」と表現できるのではないでしょうか。
まとめ
柴距離を5つのテーマで解説しました。
- 隣に座るのはOK!抱っこはNG
- 同じ空間で遊びたい!近づきすぎるのはNG
- 「ON」と「OFF」の差が激しい
- 「柴距離」は「奥ゆかしさ」
- 「柴距離」は「礼儀正しさ」、「親しき仲にも礼儀あり」
柴距離という言葉は柴犬が持つ独特な距離感から生まれましたが、柴距離を持たない柴犬もいます。
柴距離は他の犬種にも見られますし、人の行動にも見られます。柴距離って何?と疑問に思いつつ、実は私たちの身近な場所に存在する距離感です。