1.飼い主にお尻をつけて座るのは『信頼』の証
犬が飼い主さんに対して背中を向けて座ったり、お尻を押しつけるようにして座ったりすることがあります。「どうして後ろ向きなの!?」と疑問や不満を感じる飼い主さんもいるかもしれませんが、この座り方は飼い主さんへの信頼の証なのです。
動物にとって背中を向けるということは、いつ襲われるかわからないという危機感を持つ行動です。そのため、信用していない相手や敵意を持っている相手に対しては、簡単に背中を見せて座るようなことはしません。
飼い主さんに対して、身をゆだねるようにして背中を向けて座ってくるということは、嫌なことをされるはずがないと信用しているからです。
また、このような座り方をするときは、背中やお尻(尻尾の付け根)をマッサージして欲しいというアピールをしている場合もあります。
頻繁に動かす尻尾の付け根は疲れが溜まっていることもあり、マッサージされることを好む犬が多いので、お尻をなでて欲しいと体をくっつけて座ることがあるのです。
2.飼い主にくっついて固まっているときは『不安』
大好きな飼い主さんにくっついて座る心理の根本には、愛情や「甘えたい」という気持ちがあると思います。
また、大好きな人にくっついていると安心できるので、不安や緊張を感じているときにも飼い主さんにくっついてくることがあります。
特に、くっついて座ったままじっとして固まっているときや飼い主さんに隠れるようにして座っているときは不安を感じていることが考えられます。
初めて行く場所で不安を感じていたり、苦手な人や犬に会ったりしたときに、どうしたらいいかわからずに安心を得るために信頼できる人にくっついて座るのです。
このようなときは、無理に体を離してしまうと不安感が高まります。「不安なときに助けてくれない」と感じて、飼い主さんに対して不信感を持つようになってしまうこともあるので注意しましょう。
必要以上に甘やかす必要はありませんが、犬が自分から離れられるようになるまで待ってあげたり、「大丈夫だよ」と優しく声かけをして動き出すのをサポートしてあげたりするといいでしょう。
3.離れて座っているときは『ひとりになりたい』
同じ室内にいるときに、あえて飼い主さんから離れた場所に座っている場合もあると思います。
いつもなら近くにいてくっついて寝ているのに離れていたり、飼い主さんの方から近い付いても離れていって別の場所で休んだり…。
そんな様子を見ると、ちょっぴりさみしく感じることもあると思いますが、犬なりにひとりでゆっくりと休みたいと思っていることもあるのでできればそっとしておいてあげましょう。
また、音やにおいなど何か気になっていることがあるときにも、そちらに集中していて飼い主さんのそばから離れていくことがあります。
常にべったりと過ごしているのではなく、犬がひとりで過ごす時間をつくるというのも大切なことです。
いつも一緒にいないとダメ、という関係になってしまうと、分離不安などの問題も出てくる可能性があるので、適度な距離感を保って接する時間も必要なのです。
<注意>『横座り』は関節系疾患のサインの可能性も
犬の座り方で注意したいのが、座ったときの後ろ足が左右どちらかに流れたような姿勢になる『横座り』です。
座り方のくせとして横座りをする犬もいますが、中には関節系の疾患が隠れている可能性もあるのでしっかりと観察して判断しなければなりません。
きちんと真っすぐ座ろうと思えば座れる場合や、流れる方向がその時々で左右バラバラの場合は、ただの座り癖の可能性が考えられます。
しかし、常に同じ方向に足が流れていたり、真っすぐ座らせても数秒ですぐに横に流れてしまう場合などは身体的トラブルが原因となっているかもしれません。
横座りから考えられるのは、主に股関節形成不全や膝蓋骨脱臼です。また、関節リュウマチや骨折などが原因となっている場合もあります。
足を触られることを嫌がったり、歩いているときに足を引きずる様子が見られたりする場合は、関節系疾患の可能性を疑って動物病院で検査をしてもらうようにしてください。
まとめ
犬が座っている様子について、その心理や理由などを深く考えたことがないという人もいるかもしれません。
しかし、ほかのボディランゲージや行動と同様に、座り方によっても犬の心理やトラブルが把握できることもあるのです。
愛犬の気持ちや状況を常に理解しておけるように、日頃からちょっとした仕草や行動を観察してみてくださいね。