トルクメニスタンが制定した犬のための祝日
旧ソビエト連邦の構成国の1つで中央アジア南西部に位置する国トルクメニスタンで、2021年4月25日新しい国民の祝日を祝うイベントが盛大に催されました。
この祝日はトルクメニスタンの在来種の犬アラバイを称えて制定され、大統領は国の伝統の象徴としてアラバイ犬を崇拝するよう奨励しています。
首都アシガバートの大通りには、大理石の台座に高さ6メートルの巨大な金色のアラバイ犬の像が設置されています。このように恭しく扱われているアラバイ犬とはどんな犬なのでしょうか。
セントラルアジアシェパードとも呼ばれる牧畜犬
アラバイ犬はセントラルアジアシェパードとも呼ばれています。シェパードの名の通り、遊牧民の家畜のハーディングや国境周辺の警備のために飼育されています。
世界最古のマスティフ種というたいへん古い犬種です。世界最大の犬種の1つで、体重は80kgにも達することがあります。あまり人の手が入っていない犬種のせいか、超大型犬にも関わらず平均寿命が12〜15年と長寿の犬種です。
オオカミや泥棒からヤギや羊などの家畜を護る役割を担っているため、縄張り意識が非常に強く力も並外れて強いため、言うまでもなく気軽にペットにするような犬ではありません。
画像の犬は全てアラバイ犬ですが、どれも非常に短く断耳されています。また尻尾も半分ほどの長さに断尾されているのです。
プーチン大統領に贈られた子犬
日本の人にとっては馴染みのない犬種ですが、2017年にロシアのプーチン大統領に贈られた子犬がアラバイ犬です。贈答の席でトルクメニスタンの大統領のプレゼントの子犬の首根っこをつかんで持ち上げ、愛犬家であるプーチン大統領の顔色が変わった件といえば「ああ」と覚えている方もいるのではないでしょうか。
このプーチン大統領の例のように、トルクメニスタンは同盟国のリーダーに国交の証としてアラバイ犬を贈ることが時折あるそうです。
国境警備隊の護衛犬でもあり、外交政策のツールにもなり、国の歴史を背負っている犬種なので「国民皆で崇め奉ろう」というのが新しい祝日の趣旨のようです。このような犬のための華やかな式典の開催、犬を模した建築物には巨額の資金が投入されていることが伺えます。
しかし2019年に外交政策センターが報告したトルクメニスタンの経済は、国の主要な産業である天然ガスの価格下落と輸出減少のために危機に瀕しています。
国民がハイパーインフレと食料不足に苦しんでいる中、犬を崇拝するための祝日を制定と聞くと「犬を大切にして愛する」とは、どういうことなのだろうと考えずにはいられません。
まとめ
中央アジアの国トルクメニスタンで古い歴史を持つ在来種の犬アラバイ犬を称えるための国民の祝日が制定され、盛大な式典が催されたというニュースをご紹介しました。
普段の生活の中であまり見聞きする国ではなく、政治や文化についても知らないという方が圧倒的に多いと思いますが、犬というテーマを通すと目を向け易くなる気がします。
世界のいろいろな国で様々な形で生活している犬、そしてもちろん人々が穏やかな毎日を過ごすことを改めて祈りたくなりました。
《参考URL》
https://www.bbc.com/news/world-asia-56882558
https://www.cnn.com/travel/article/turkmenistan-dog-national-holiday-scli-intl/index.html