パーソンラッセルテリアの若年性脳疾患の原因となる遺伝子を発見

パーソンラッセルテリアの若年性脳疾患の原因となる遺伝子を発見

パーソンラッセルテリアの子犬に重度のてんかんを引き起こす疾患の原因遺伝子が発見されました。ヒトの疾患にも関連するこの研究の内容をご紹介します。

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パーソンラッセルテリアに見られる若年性の脳疾患

パーソンラッセルテリアの子犬

パーソンラッセルテリアの子犬に、これまで知られていなかった重度の若年性脳疾患が報告されました。フィンランドのヘルシンキ大学の遺伝医学の研究チームによって、この病気が調査され、原因となる遺伝子を発見したという発表がありました。

この病気は6〜12週齢まで正常に発育していたパーソンラッセルテリアの子犬が、突然急激に悪化するてんかん発作を起こし、てんかん重積状態から死亡に至るという深刻なものです。最悪のケースでは発症後数時間で投薬に反応しない状態になってしまったといいます。発症した犬は全員が助かりませんでした。

原因となる遺伝子が明らかに

犬とDNAの3Dイラスト

研究チームはこの重度の疾患の臨床的、遺伝的、病理学的特徴を調査しました。亡くなった犬の病理学的な変化は脳に限定されていたそうです。

亡くなった7匹のパーソンラッセルテリアの他に、パーソンラッセルテリア、フォックステリア、ジャックラッセルテリアなどを含む個人所有の家庭犬約700匹から血液と組織のサンプルが収集されました。

サンプルのDNA分析を経て、この重度のてんかん発作を引き起こす脳疾患に関連する遺伝子欠損はPITRM1遺伝子にあることが特定できました。この遺伝子の変異は細胞のエネルギーポンプであるミトコンドリアの機能不全を引き起こす可能性があります。

この遺伝子の欠損はパーソンラッセルテリアにのみ確認され、また幸いなことにキャリアとなる率は5%という低いものでした。この病気が発症するのは両親が遺伝子の欠損を持っている場合のみです。

この研究結果に基づいた遺伝子検査もすでに利用可能になっており、繁殖の際にスクリーニングすることで、この重篤な病気を持った子犬が生まれることを予防できます。

ヒトの神経変性脳疾患との共通点

伏せの姿勢のパーソンラッセルテリア

研究によって特定されたPITRM1遺伝子の変異は、人間の場合にも小児期発症のアミロイド性神経症候群を引き起こし、症例は少ないものの重篤な病気です。

人間の病気はパーソンラッセルテリアの子犬に見られたような急激な発症ではなく、ゆっくりと進行するそうですが、臨床像とメカニズムは似ているのだそうです。

この研究での犬のモデルは、人間の類似の病気を理解するためにも画期的なものだと研究者は述べています。

まとめ

横を向いているパーソンラッセルテリア

新しく報告されたパーソンラッセルテリアにだけ発症する重度の神経変性脳疾患について、原因となる遺伝子の欠損が特定されたという研究結果をご紹介しました。

このような深刻な病気を引き起こす遺伝子の話題に触れると、遺伝子検査なしに犬の繁殖をすることがとても無謀であると実感します。

犬の遺伝学というのは一般の飼い主にはあまり馴染みのない世界ではありますが、遺伝性の疾患を断ち切るのは人間の責任であるという点を認識するためにも提供していきたい話題です。

《参考URL》
https://doi.org/10.1007/s00439-021-02279-y.
https://www2.helsinki.fi/en/news/health-news/a-gene-finding-links-severe-canine-juvenile-epilepsy-to-mitochondrial-dysfunction

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