犬の「トラウマ」は何故起こる?
トラウマの語源はギリシャ語の「trauma(=傷)」です。日本語では「心理的外傷」を指しています。
交通事故や地震による恐怖体験、苦痛や不安、痛みを感じる出来事が発端となり、トラウマを作り上げます。
トラウマを感じると、当時の状況を連想させる瞬間、反射的に回避行動を取ったり、健康状態に異常をきたすことがあります。
絶対ダメ!トラウマを作るNG行為
1.体罰・暴力
トラウマとなるショック体験が忘れられず、長期間に渡って精神的な苦痛が続く状態を「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」と呼びます。
飼い主に従順な犬に育てようとして、行き過ぎたしつけが体罰に発展し、飼い主が逮捕される事件まで起きています。犬に危害を与える行為は、しつけとは言えません。
体罰・暴力を受けた犬は、心に深い傷を負い、人を怖がるようになったあげく、やがて凶暴化します。
2.飼育放棄(=ネグレクト)
「飼育放棄」は別名「ネグレクト」と呼ばれています。最初は可愛がっているにも関わらず、経済的理由やアレルギーの発症、その他の理由による飼育放棄が起きているのが現実です。
《飼育放棄とは?》
- 十分な食事を与えない
- 劣悪な環境で飼育する
- 排泄物を片付けない
- 病気になっても治療を受けさせない
- 屋内、屋外を問わず放置する
飼育放棄は、紛れもなく“虐待”です。人間不信になった犬は、次第に心を閉ざしていきます。
3.散歩中ノーリードで歩かせる
散歩自体は楽しいことですが、ノーリードで歩かせていると、「交通事故」や「他の犬との喧嘩」「通行人を噛む」などの事件に発展したり、逃走してしまう可能性もあります。
被害を受けることも、加害者になることもあります。いずれにしても何らかの形で精神的ダメージは起こります。ノーリード、必要以上のロングリードによる散歩はやめましょう。
犬がトラウマになるとどうなる?
トラウマは、犬の不安やストレスを増殖させます。過去の辛い経験から「分離不安症」という不安障害を発症することがあります。
《トラウマにより起こる症状》
- 震えが止まらない
- 視線を合わせようとしない
- パニックに陥りやすい
- 食べたものを吐いてしまう
上記は、いずれも犬が自分の身を守るために取る行動です。傷が癒えるには時間が必要なのです。
トラウマを克服するには
トラウマを克服するには、原因が何かを正確に見極め、把握するところから始めてみましょう。
《克服するための手段》
- スキンシップを取って、不安を取り除く
- 安心出来る環境を整える
- 楽しい出来事の積み重ね
自然治癒力を高めてトラウマを和らげるために、天然の植物の力を利用した「フィトセラピー」が用いられることがあります。
まとめ
「トラウマ」は誰にでも起こり得る反応です。
私自身、幼少期のとある出来事がきっかけで、ずっとシベリアン・ハスキーが苦手でした。克服出来たのは数年前なので、長い年月を要したと思います。
恐怖心がゼロにならなくても、ゆっくり回復傾向に向かっていけば、気持ちもスーッと楽になるはずです。犬のトラウマと向き合い、寄り添いながら一歩ずつ前進していきましょう。
保護犬は複雑な環境下で育ち、トラウマを抱えていることが多いです。辛い経験で感情を失った犬が、新しい飼い主のもとで表情を取り戻し、再び幸せを手に入れるケースは少なくありません。
トラウマを持つ犬たちが、いつかまた穏やかな日々を送れますように…!