ウンチの変化は体の異常を教えてくれる
食べ物は、口から体内に入ると、食道、胃、小腸、大腸、直腸などを通りながら消化吸収され、水分や腸内細菌、剥がれた腸粘膜と共に残った食べカスが便として排泄されます。
この過程のどこかに異常が生じると、その影響がダイレクトに便に反映されます。
つまり、愛犬の便がいつもと異なる状態に変化した時は、体の異常を教えてくれているというわけなのです。
そこで今回は、すぐに病院へ行くべき異常を示している便の症状について解説します。
ウンチを観察する際の着目点
愛犬のウンチを観察するためのポイントをご紹介します。
- <色>
- 基本はチョコレートのような茶色です。食べた物によって変化するので、普段のウンチの色を把握しておきましょう。
- <形状>
- 基本的にはつかめる程度の硬さがある円柱形です。これも食べている物や犬の体質によって異なるので、普段のウンチの形や大きさ、硬さなどを把握しておきましょう。
- <ニオイ>
- 健康状態によってウンチのニオイが変わることもありますので、普段のニオイを把握しておきましょう。
- <ウンチの表面>
- 健康なウンチの表面には何も付着していません。病気になると、ウンチの表面に血がついていたり、粘液や粘膜が付いていることがあります。
- <ウンチの内容物>
- 内部寄生虫や毛玉、ボタン、革、綿などの異物が混ざっていることがあります。問題のない便であれば、何も混ざらず均質です。
すぐに病院へ行く必要のある体調不良を示すウンチの症状
1.ウンチの形がいつもと違う
ウンチがいつもより細長い場合は、腸に腫瘍ができているかもしれません。
また、未去勢のオス犬に多くみられる前立腺肥大は、肥大した前立腺が腸を圧迫して便の形が平たくなることもあります。排便が困難になり便秘のように見える場合もあります。
2.便秘または極端に量が少ない
ウンチが出ない、出たとしても極端に量が少ない場合も、腸内に腫瘍ができている可能性があります。
また、5歳以上の未去勢のオス犬に多い会陰ヘルニアも同じような症状が出ます。
これは肛門の周囲の筋肉が何らかの理由で敗れてしまい、その結果できた隙間から腸や膀胱が飛び出す病気です。
3.血液や粘膜が付着したり、水や泥状の水っぽいウンチが続く
ウンチの表面に血液や粘膜が付着したり、水や泥状の下痢が続いたりする場合は、腸炎かもしれません。
大腸からの出血であれば血は鮮やかな赤色ですが、小腸からの出血の場合は黒ずんだ血になり便自体が黒くなります。
いずれの腸炎でも、ウイルスや細菌、寄生虫の感染、ストレス性、アレルギー性などさまざまな原因が考えられますので、病院で検査を受け、しっかりと原因となる病気を治療することが必要です。
4.真っ黒い泥状のウンチ、血便が続く
上部消化管(十二指腸や小腸)に潰瘍や腫瘍などが発生し出血が続くとコールタールのような真っ黒の泥状の便が出ることがあります。形は正常でも色が真っ黒の便になることもあります。
5.白っぽい水様便、茶系のウンチにグレーや白色のウンチが混ざる
胆嚢の機能が低下すると胆汁が分泌されなくなったり、膵臓から消化酵素が分泌されなくなるとウンチの色が白っぽくなります。
白っぽい水様便や、通常の茶色系のウンチの中にグレーや白い色のウンチが混ざっているような場合もあります。
6.異物が混ざっている
ウンチの中に食べ物以外の物が混ざっている場合は、何が混ざっているのかをきちんと確認しましょう。
白っぽい糸状や紐状のものの場合は、寄生虫に感染している可能性があります。
また毛玉の場合は、セルフグルーミングの時に飲み込んだ毛がお腹の中に溜まっているかもしれません。
飲み込んだ物が消化管内に詰まってしまい閉塞を引き起こすこともあります。また、ボタン電池のように腸壁に潰瘍を引き起こし消化管に穴があいてしまったり、中毒を起こさせる危険物も飲み込んでいるかもしれませんので、動物病院の画像検査できちんと確認する必要があります。
まとめ
食べた物やその犬の体質によっても、ウンチの状態や頻度などは異なります。そのため、どういうウンチが異常と定義することは難しいです。
たとえば毎日必ず排便する犬が2日も排便しない場合は、動物病院に連れて行くべきでしょう。
しかし、いつも1日おきにしか排便をしない犬の場合は、もう1日様子を見ても良いかもしれません。
このように、ウンチは健康のバロメーターなのですが、どの犬に対しても一律に「この状態ならこう」と言えるものではありません。愛犬が健康な時の普段のウンチと変化したことを察知できることが大切なのです。
愛犬の異変を察知できるのは飼い主さんだけです。日頃の観察で、愛犬の様子や行動に加え、ウンチやおしっこまで含めて細かく観察する習慣をつけましょう。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 せっちゃん
状態だけでなく、そのタイミングも。
以前、下痢をした時に、次の脱糞まで待ちましたが、また下痢をしたので、外見上は元気ではありましたが、すぐ動物病院に連れて行き診察してもらいました。
結果は腸内のウエルシュ菌が多くなり、下痢をしたとのことで、
季節の変わり目で免疫力が落ちている時にはよくあることだそうです。
いつも犬の糞の状態を観察していたので、こちらが2、3日の様子を時系列に報告すると、獣医さんもスムーズに原因を予測でき、
薬を投与したところ一日で治ったので、よかったです。
因みに犬は、朝食後は夕方の散歩時に、夕食後は2時間後に家の中で脱糞します。