『神経質な犬』の特徴4選

『神経質な犬』の特徴4選

犬にはそれぞれ個性があります。それは、生まれつき持っている気質や育った環境など、さまざまな要因でつくり上げられるものです。ここでは「神経質な犬」の特徴と適切な接し方をご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

1.音に敏感に反応する

片耳を上げている犬

神経質ということは警戒心が強いということです。怖がり、臆病とも言います。

そのため、周囲の状況に常に気を配っている様子が見られ、聞こえてくる音に敏感に反応する様子が見られるでしょう。

犬にとってにおいや音は非常に重要な情報源です。何かが近づいて来る気配や身に迫る危険などを、音で把握することがあります。

神経質で常に周囲の様子に注意を払っている犬は、聞き慣れない音に敏感に反応して警戒心を高めます。

「これから何が起こるのか」「自分に関係のある音なのか」それがわからないからこそ怖いと感じて、音が鳴りやんだり音の原因が判明したりするまで警戒して身構えた様子を見せるのです。

神経質な気質を持っている犬には、生活の中で聞く機会がある音は幼い社会化期のうちに慣れさせておくのがベストです。

電話やインターフォン、ドライヤー、掃除機などの音に反応する犬は多いので、とても小さい音量から聞かせ、遊びやおやつなどのごほうびを用いてその音が聞こえても危険なことは起こらない、逆に良いことが起きると学習し「警戒する必要のない、なんでもない音」と認識させてあげます。

このトレーニングは警戒心の低い社会化期に最も成功する確率が高いですが、社会化期以降も行うことはできます。ただしその場合は、犬が怖がらない程度の弱い刺激(音量)から始め、決して途中で怖がらせることなく、根気よく少しずつステップアップさせていくことが社会化期に行う場合よりもさらに重要になります。

生活の中で常に音に対して敏感に反応していると、犬自身にとってもストレスを溜めこむことになります。必要に応じて音に慣らすトレーニングを行ったり、環境を整えてできるだけそのような音を聞かずに済む生活をさせてあげましょう。

2.不慣れな場所には行きたがらない

歩くのを嫌がるパグ

神経質な犬は知らないものや慣れない場所に対しても警戒心を持ちます。

初めて見るものや場所に対して「これはなんだろう」「ここは安全なのか」と不安や恐怖を感じるからです。そのため、飼い主さんは愛犬と一緒に色々な場所にお出かけしたいと思っても、犬が不安や恐怖から吠えたり歩くことを拒否したりして楽しめないということも起きます。

とても神経質な場合、普段の散歩でも同じルートでしか歩きたがらないことや、同じ公園にしか立ち寄りたがらないことがあります。

このような状況で飼い主さんにできることは次のどちらかです。愛犬をトレーニングし少しずつ不安や恐怖の対象となる場所を減らしていくか、愛犬のそのような性格を受け入れて愛犬にとって不安や恐怖となる場所には行かないで生活するかです。

ほとんどの場合、飼い主さんと愛犬にとってどうしても行く必要がある場所(動物病院やトリミングサロン、帰省先など)に対してはその場所に慣らすトレーニングを行い、行かなくても良い場所(ドッグランやドッグカフェ、普段行かない散歩ルートなど)に対してはそこに行かないことにするというように、2つの対策を組み合わせて行うことになるでしょう。

保護犬などで外で歩くことにすら怯える犬の場合には、少しずつ外に出て歩けるようにするトレーニングをする必要はありますが、飼い主さんとの散歩がきちんとできるのであれば、いくら飼い主さんがドッグランに連れて行きたい、連れて行ってあげたいと思っていても、それを望まない犬にドッグランに慣れさせるトレーニングをしてまでドッグランに連れて行く必要はないでしょう。行かなければならない場所、行かないと困ってしまう場所に行ければ良いのです。

音に敏感に反応する犬と同じように、できるだけ小さな頃からさまざまな場所に連れていくようにしたり、散歩ルートもこまめに変えて色々な道に慣らしてあげると、成犬になってからも不安や恐怖を感じずに行かれる場所が増える可能性が高まるでしょう。

3.トイレの場所がなかなか決まらない

ウンチをしている犬

トイレをするときになかなか場所や姿勢が定まらず、ウロウロとし続ける犬がいます。中には、一度排泄の姿勢に入ったにも関わらず、また立ち上がって別の場所を探したりする犬もいます。

このような行動は、神経質ではない犬でも見られますが、神経質な犬が散歩でなかなか排泄できない、中には外で排泄せずに帰ってきてから排泄をする場合もあります。

排泄中というのは無防備な状態であることから、場所を選んだり、排泄中も周囲への警戒をしたりと、自然界の動物も非常に神経を使う部分だと考えられています。

排泄中に背後から襲われると逃げ遅れますし、排泄物のにおいで居場所がバレてしまうこともあるためです。

愛犬が神経質でも神経質ではなくても、排泄は自宅でする習慣をつけると犬自身も飼い主さんも楽になると思います。

4.十分な社会化がされていない

散歩中のビーグル

神経質な犬の特徴というよりも原因に近いことですが、神経質な犬の中には十分に社会化が行われていない犬もが多くいます。

もちろん、神経質であるということは生まれつきの気質としての一面もありますが、育つ環境によっても犬の性質は大きく左右されます。生まれつき神経質な犬も十分で適切な社会化を行うことで、その気質をある程度緩和させ、人間社会の中でそれなりにやっていくことができるようになります。

逆に、一切人間と関わって生活してこなかった野良犬に人懐こい犬がいないように、もともと神経質ではない犬でも経験がなければあらゆる状況やものに対して警戒心を持ち、神経質となるのです。

生後1~3、4か月の社会化期に、さまざまなこと・もの・人・状況に慣らすことで不安や恐怖を感じる対象をできるだけ少なくすれば、ほとんどの場合に落ち着いて過ごすことができるようになるでしょう。

もちろん飼い主さんは、その犬の性格に合わせた飼い方をしてあげる必要はあります。人懐こい犬を連れておしゃれなドッグカフェを楽しみたくても、愛犬がそれを望まない性格であれば、ドッグカフェに行くのではなく近所でのお散歩や自宅で思いっきり遊ぶことを楽しめば良いのです。

まとめ

窓の外を見る犬

神経質であることは犬の個性のひとつで、決して悪いことではありません。警戒心は動物にとって必要なものなので、神経質だということは動物としての危機管理能力が高いということになります。

しかし、人間社会で生活する犬が日常生活の中で必要以上に神経を張り詰めていると、犬自身にとってもストレスですし、いくら犬が嫌がってもどうしても連れて行かないといけない場所ややらなければいけないこともあります。そのようなことに対しては、犬と飼い主さんの両方のストレスができるだけ少なくなるようにトレーニングをする必要があります。

新しいことに慣れさせるトレーニングに最も適した時期は生後1~3、4か月の社会化期です。ですので、子犬から飼う場合には、社会化ができる環境で育った子犬を選び、飼い始めた直後からも社会化を継続させる必要があります。また「社会化」と言っても犬の場合、犬社会と人間社会の2つの社会に対する社会化が必要です。犬社会の中ではうまくやれるけれど人間との関わり方は分からない犬や、その逆のパターンもあります。どうやって子犬を両方の社会に上手に適応させるのかを知らない場合には、子犬を迎える前に勉強し、動物病院やトレーナーさん、犬の幼稚園などを上手に利用しましょう。

好奇心旺盛で恐れることを知らない子犬には、どんどん色々なものを見せたり、聞かせたり、触れさせたります。神経質な子犬には、怖がらないレベルをよく見極めて、少しずつ色々なものに慣れさせていきます。成犬の怖がるものに慣れさせるトレーニングは、子犬よりも時間と工夫、飼い主さんの労力が必要とはなりますが可能ですし、状況によっては行う必要があります。飼い主さん自身で難しい場合には、状況を悪化させないためにも早めにトレーナーさんなどに相談し、正しい方法でトレーニングを行いましょう。

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