1.長すぎる留守番
「留守番が大好き!!」という犬はあまりいないと思います。
しかし、犬と一緒に生活していても、仕事や買い物などの用事で家を空けることがある飼い主さんは多いでしょう。
留守番をさせること自体は悪いことではありませんし、飼い主さんがいなくても家で落ち着いてひとりで過ごすことは一緒に生活する以上覚えてもらわなければならないことのひとつだと思います。
ただし、留守番時間が長すぎることは、犬にとって非常に大きな負担になることを覚えておいてください。
もともと犬は群れで暮らし、ひとりだけで長時間過ごすことはない動物です。長時間ひとりでいることは犬に不安を感じさせます。ヨーロッパでは、犬だけで留守番をさせても良い時間を法律で制限しているほどです。それ以上の長時間を犬だけで留守番させることは犬を虐待しているとみなされます。上手に留守番のトレーニングをして長時間の留守番に慣れている犬は、多くの時間を寝て過ごすでしょうが、それでも留守番が長いのであれば退屈せずに過ごせるような工夫が必要です。知育おもちゃや犬用のビデオなどを活用できるでしょう。また日本では、犬のホテルや幼稚園などは数日以上家を空ける時に使われることがほとんどですが、欧米では、飼い主さんが仕事で家にいない時間は犬はそのような施設で過ごす、つまり毎日のようにその施設に犬が通うという使い方が多くされています。子犬を迎えたらその施設でのパピーパーティーに通い、その後は昼間はそこで過ごすようになる(デイケア)というケースも多いそうです。飼い主さんにしてみれば、幼い子供を保育園に送り迎えするのと同じように、犬を仕事の行き帰りに送り迎えするのです。日本にもそのような施設が少しずつ増えていますね。
長時間の留守番は、犬を退屈にさせるだけでなく、しつけの程度や犬の性格によっては「いつ帰って来るんだろう?」と不安な時間を過ごさせることになります。退屈や不安はストレスとなります。
これから犬を飼う方で昼間は家に誰もいなくなる場合には、犬を迎えた直後は犬を家に慣れさせるための時間がとれるか、社会化期(生後3、4か月まで)の間にパピーパーティー(子犬専用のしつけ教室)に通わせられるか、その後も飼い主さんが家にいない昼間は犬をデイケアに通わせる、または家で犬にできるだけストレスをかけずに留守番させる環境作りができるか、を考えた上で子犬を迎えてください。これらには時間と飼い主さんの労力、経済的負担が必要となります。すでに犬を飼っている方で毎日のように長時間の留守番をさせている方は、留守番が犬のストレスとなっていないか、見直してみましょう。ペットモニターで留守番中の犬の様子を見てみるのも良いですね。犬が退屈そうにしていたら、知育おもちゃを用意して最初は遊び方を教えてあげ、犬がひとりでそのおもちゃで遊べるようにしてあげます。吠えたり落ち着きなくウロウロしていることが多いようであれば、原因を探り対策を講じましょう。
長時間の留守番で破壊活動(度を超えたいたずら)やトイレの粗相が頻繁に見られるときは、飼い主さんがそばにいない不安がとても大きく、病的にストレスがかかっている可能性があります(いわゆる分離不安症です)。その場合には、留守番の時間が長いことよりも、普段からの飼い主さんの犬への接し方に問題がある場合があるそうです。また状況によっては投薬が必要になりますので、行動学に詳しい動物病院やトレーナーに相談しましょう。
2.家庭内での喧嘩
犬は、飼い主さんの感情やその場の雰囲気を敏感に感じ取ることができると考えられています。最近では、そのような研究結果も色々と出てきているようです。
そのため、家庭内で不穏な空気が漂っていると、犬も困惑したり不安を抱えてしまったりするそうです。
特に家族間での喧嘩は犬に強い不安を与えることがあります。元々群れで暮らす動物であるため、仲間同士が争うことは不安、ひいてはストレスとなるのです。
犬自身が怒られたり危害が加えられないとしても、怒鳴り声や物がぶつかる音を聞くと怯える犬は多いでしょう。
犬に余計な不安を与えないためにも、あからさまな喧嘩だけでなく、犬の目の前で物に八つ当たりしたり、大きなため息をついたりすることもできるだけ控えた方が良いでしょう。
3.生活環境の変化が多い
転職や結婚、引っ越しなど生活環境に変化があると、期待とともに不安を感じる人は多いと思います。
それと同様に、犬も慣れない環境や生活の変化に対して不安を感じます。
人間とは違って、そのような変化があることを事前に知ることができませんし、どうしてそのような変化が起きたのか、状況を理解することもできません。犬の性格にもよりますが、人間以上に強い不安やストレスを抱えてしまうことがあるのです。
そのため、引っ越しをしたときや出産や離婚などで家族構成に変化があったときは、犬の精神的なケアを忘れずにしてあげてください。
できるだけ前の環境からの変化が大きくなりすぎないように、犬の生活スペースで使うベッドや食器は変えないようにしたり、コミュニケーションを増やしたりするといいでしょう。
4.犬への態度に一貫性がない
犬は精神的に落ち着いていて、頼りがいのある人を好む傾向にあります。その方が自分の安全が保障されるからです。その反対に、気分次第で行動や態度がコロコロと変わる人は信頼できないと判断して頼りにせず、またはご機嫌を伺うように接することがあります。
しつけにおいても、その時々で厳しくしたり甘やかしたりしてしまうと、犬は何が正しいのか何をしたら怒られるのかが分からなくなって困惑します。
その結果、飼い主さんが犬に教えようとしていたことは何も犬に伝わっていないことになり、飼い主さんは「うちの犬は全然いうことをきいてくれない」と思い、犬は「どうしたらいいか分からず困っている」ということになるのです。
そのような状況を防ぐためには、犬に指示を出す時の言葉、犬に対するルールは家族間で統一しましょう。同じ人でも気分によって犬への対応を変えるのはやめましょう。犬が同じいたずらをしても、飼い主さんの機嫌が良い時は叱らないけど機嫌が悪い時は怒る、などということはしてはいけません。犬と生活している人は、できるだけ安定した気持ちで接するようにしてあげてくださいね。
まとめ
犬は人間の感情や態度、行動をとてもよく見ていて、思わぬことでも困惑したり不安を感じたりしてしまうことがあります。
例えば長時間留守番をしてひとりで過ごしているときや、家族が喧嘩をしているときなどです。できるだけそうした状況を避ける工夫をしたり、犬を退屈させないように対策を講じたり、散歩やコミュニケーションを増やして身体的に満足させてあげると同時に精神的なケアもしてあげるようにしてください。
愛犬が安心して心身ともに預けられるような、信頼される飼い主を目指しましょう!