犬が『反抗期』に見せる行動とは?状況別の対応からNG行為まで解説

犬が『反抗期』に見せる行動とは?状況別の対応からNG行為まで解説

人間の思春期のように犬にも反抗期が訪れます。愛犬から反抗的な態度を取られると戸惑ってしまうものですね。そこで今回は、状況別の正しい対応からNGの行為まで、犬の反抗期について解説いたします。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬に「反抗期」はあるの?

そっぽを向く犬

子犬から成犬になる途中で犬に自我が芽生える頃、飼い主さんの指示に従わなくなったり、反抗的な態度を見せることがあります。犬の反抗期の時期は、犬の成長速度に合わせて異なり、1歳頃に成犬となる小型犬では生後6ヶ月頃、2~3歳頃に体も心も出来上がる大型犬・超大型犬では1歳を過ぎてからのことが多いようです。

犬の反抗期(または思春期)は人間の思春期と同じで、ホルモンが急に増えることと関係していると考えられています。

また、犬によって反抗期の時期には差があると共に、どの程度反抗的な態度(飼い主の言うことを聞かない)をとるかも犬によって様々で、反抗期がない犬もいるでしょう。つまり犬の反抗期は必ずあるとは限りませんし、どの程度大変なのかは犬と飼い主さんによって違ってきます。

「犬の反抗期はいつまで続くの?」という疑問についても答えは様々で、数か月でおさまることもあれば1年ほど続くこともあります。

人間の場合と同様に、犬の反抗期は成犬になるための大切な過程です。適した対応をとらないと生涯にわたって悪影響を及ぼすこともあり、犬にとっても飼い主さんにとっても大変なことが増えてしまうこともあります。

適切な対応がとれる飼い主となるために、ぜひ次の項目をチェックしてくださいね。

犬が反抗期に見せる行動と状況別の対応

子犬

犬は子犬から成犬に近づくにつれ、無条件に飼い主さんにべったりで喜んで言うことを聞いていた犬も自我が芽生え、人間の思春期と同じように親(飼い主さん)の言うことに素直に従わなくなることがあり、「反抗期」や「思春期」と呼ばれています。

犬種やもともとの性格にもよりますが、子犬期が終わって性成熟を迎える前の時期に、犬も少しづつ自我を主張するようになるものです。

今まではちゃんとできていたコマンドに従わなくなったり、急に言うことを聞かなくなったりする態度を見て、「うちの子が変わってしまった。言うことを聞かない子になってしまった。」と成長の過程とはいえ、飼い主さんとしては手を焼くだけではなく不安になってしまいますね。

以下では、犬の反抗的な行動別の対応をまとめました。もしお悩みの飼い主さんは参考にしてください。

要求吠えをするなど強い自己主張をする

吠える犬

反抗期を迎えた犬は、なぜか飼い主さんだけに反抗的な態度を取ることがあります。飼い主さんの言うことを聞かなくなるだけではなく、自分の要求を通そうとしつこく要求吠えをしたりすることもあります。

この犬の行動は、犬に自我が芽生え、個性と自立心が育っている過程で見られるものと考えられます。また、飼い主さんの言うことは聞かないけれど、ほかの人の言うことはきく、従順であるのも特徴です。

愛犬の急な変化に飼い主としては戸惑うものですが、冷静に受け止めて、驚いたり感情的にならないことが大切です。いくら愛犬が要求をしてきても、ダメなものはダメという態度を貫きましょう。ここで犬が要求すれば何でも通るという状況を頻繁に作ってしまうと、犬は「吠えれば要求が通る」「嫌なものは騒げば(うなれば、噛めば)避けられる」と学習してしまうばかりか、犬と飼い主さんの関係にも悪影響を及ぼすことがあります。

こだわりが強まり物への執着が強まる

おもちゃを離さない犬

成長するにつれて、犬の嗜好に変化が起きることがあります。また、急にご飯を食べなくなる、それまでは飼い主さんに渡していた好きな物やおもちゃを離さなくなるような行動を見せるかもしれません。

愛犬の変化が見られても、すぐにご飯を変える必要はありません。まずは犬の体調を観察しましょう。もし問題なければ無理に与えずに、ご飯の量を減らして残したら片付けてしまうのも一つの方法です。

おもちゃを飼い主さんに返さなくなるような場合には、ひものついたおもちゃやロープ状のおもちゃのみで一緒に遊ぶようにし、犬がおもちゃを好きに持って行ってしまうことができない状況を作りましょう。

トイレを失敗したりわざと別の場所でする

トイレと犬

トイレトレーニングでは成功していたのに、反抗期を迎えて急にトイレの失敗が続く犬もいます。体は大きくなったのにトイレは小さいままでトイレが使いにくいのかもしれませんし、特に去勢や避妊をしていない犬では性的に成熟しつつあり、排尿以外のマーキングとしてトイレ以外の場所で排尿し始めることが原因のこともあるでしょう。

再度トイレの大きさや場所を検討したり、再びトイレトレーニングを行う必要があるでしょう。トイレをしそうなタイミングではサークルで囲ったトイレで過ごさせるなど、トイレ以外の場所ではトイレができないような環境作りも大切です。部屋のあちこちにマーキングをしてしまうオス犬は、去勢を視野に入れて獣医師に相談した方が良いかもしれません。

分離不安症の一症状として排泄の問題があるのでしたら、トイレのことだけではなく生活環境と飼い主さんとの関係全般を見直す必要があります。

唸ったり噛み付く

噛もうとする犬

自我が芽生えて自己主張が強くなり、飼い主さんに対して自分の主張を通すために唸ったり噛み付く犬もいます。

ここでも冷静に受け止めることが飼い主さんには求められます。愛犬の成長を柔軟に受け止めつつスルーすることが大切です。唸ったり噛んだりして自己主張をする犬の場合には、普段の生活や散歩においても何らかの問題が生じているケースが多くあるようです。問題がひどくならないうちにプロのトレーナーに相談するのが良いでしょう。飼い主さんとしては、唸ったり噛んでも何も良いことは起こらない、という状況を徹底して作りましょう。もし愛犬の行動を上手くコントロールできない場合には、家の中でもリードをつけておくのも一つの方法です。

反抗期に犬にしてはいけないNG行為

寝そべる犬

思春期を迎えた犬と向き合うのは大変ですが、この時期に間違った対応をとると生涯にわたって悪影響を及ぼすことがあります。以下でまとめた、反抗期に犬にしてはいけないNG行為をぜひチェックしてください。これらは反抗期の犬だけではなく、どんな時期の犬についても言えることでもあります。

怒鳴ったり大声で騒ぐ

犬の反抗期な態度に対して、「やめなさい!」「こら!」と騒ぐのはNGです。飼い主さんとしてもイライラしてしまいますが、感情的になって大声で騒いでも何も犬には伝わりません。

また、犬を叱る方法は人によって様々あると思いますが、次に説明する体罰を与えるのがNGであることはもちろん、人間相手のようにくどくどとお説教をするのも意味がありません。犬に対して叱ってはいけない、という意見もあるようですが、愛犬がダメなことをしたら「それはダメだ」と伝えることは必要です。「ダメ」や「ノー」という何がダメかを伝える短い言葉を家族で一つ決め、犬がダメなことをした場合にはそれを伝え、やめさせます。やってはダメなことを犬にやめさせることが出来ない飼い主さんは、プロのトレーナーに相談し、きちんと犬に「ダメ」が伝えられる飼い主さんになると良いでしょう。

体罰を与える

怒られる犬

反抗期のみならず、犬に体罰を与えるのはNGです。飼い主さんに手を挙げられた犬はトラウマを抱えてしまい、人の手を怖がったり、飼い主さん自身を怖がったりするようになることもありますし、体罰という恐怖体験が犬がやってしまったダメなことと上手く結びつけられて犬がダメなことをしなくなる確率は非常に低いものです。

いつもおやつでつる

「おやつを見せると言うことを聞くから」とおやつを頻繁に利用する方もいますが、これもNGです。命令を聞いてもらうために頻繁におやつを与えていると、おやつがないと命令に従わなくなることが多いですし、吠えたり暴れたりする犬をおとなしくさせようとしておやつを与えていると、犬が「吠えたり暴れたりするとおやつがもらえる」と覚えてしまいます。これらは、犬に「何をすべきかを学ぶ、考えさせる」機会を与えませんし、おやつ欲しさに何をするだけになってしまいます。

おやつを与えることやトレーニングのご褒美や動機付けにおやつを使ってはいけない、ということではありません。おやつを上手に使える飼い主さんになりましょう。

まとめ

不満そうな犬

急に犬が言うことを聞かなくなると頭を悩ませてしまいますね。子犬期が終わり成犬となる前に犬が反抗期を迎えたら、ぜひ落ち着いて、これまで行ってきたしつけ、トレーニングをもう一度改めて確認する機会にしましょう。

反抗期は成長過程に起こる当たり前の段階ですし、ずっと続くものではありません。「あって当たり前の反抗期なだけ。言うことを聞かない子になったわけではない。ずっと続くわけではなく、そのうち終わる。」と自分に言い聞かせ、反抗期が終わって成犬になるのを穏やかな心で待ちましょう。

【犬の思春期について獣医師の補足】

 犬の思春期(子犬期の後、性成熟する前)についての科学的に行われた研究はまだ数少ないですが、犬の思春期も人間と同様に、成長過程での性ホルモンが急激に大量に出てくる性成熟前の最終段階だと考えられています。この時期には性的な成熟だけではなく、脳にも大きな変化が生じていて、それが「トレーニングがしにくくなり、コマンド(命令)に従いにくくなる」状態を作り出していると考えられています。
 犬の思春期は人間の思春期と非常によく似ていると思われ、親(養育者)との愛着関係が思春期に影響を及ぼすことが分かっている人間の場合と同様に、飼い主との関係が犬の思春期と性成熟に影響を与えることを調べた論文が2020年に発表されています。その論文でも、飼い主への依存が強く不安行動が多く見られる犬の方が初回の発情が早かったことや、思春期には飼い主のコマンドには従わなくても親しくない人のコマンドには従う犬が多かった、などの結果が報告されています。

Asher, L., England, G., Sommerville, R., & Harvey, N. D. (2020). Teenage dogs? Evidence for adolescent-phase conflict behaviour and an association between attachment to humans and pubertal timing in the domestic dog. Biology letters, 16(5), 20200097.
https://doi.org/10.1098/rsbl.2020.0097

 また、本記事で説明されている注意事項以外にも、思春期の犬で注意すべきこととして以下の点が一般的に言われています。
① 犬への態度・行動は一貫しましょう:思春期に限ったことではありませんが、犬へのルールは家族間で統一します。飼い主さんの気分によってやってはダメなことが変わってはいけません。
② ルールを作り、犬には制限つきの自由を与えましょう:家の中でも散歩においても何もルールがなく犬が自由にしている(犬が何でも自分で決めないといけない)と、自我が芽生えてきた犬に混乱や不安が生じることがあります。犬の安全は飼い主が決めたルールの中で飼い主が守りましょう。家の中でも犬を自由に好き勝手させるのが犬の幸せとは限りません。犬が過ごす場所を決め、して良いことと悪いことを飼い主が決めて犬に教える方が犬が安心して暮らせる場合もあります。
③ トレーニングは基礎に戻る:コマンドに従わなくても良いという状況を作らず、リードをつけて犬をコントロールしやすくしたり絶対にできる簡単なコマンド、犬が好きなコマンドに従わせることによって「飼い主のコマンドには絶対に従う」という状況を作り続けます。この時期には、トレーニングを無理に進めようとせず、できることを確実にやらせることを大事にします。
④ 恐怖体験をさせない、無理に慣れさせようとしない:思春期には、それまで平気だったものについても怖がるようになる犬もいます。そのような時期が複数回訪れる場合もあるようです。ホルモンバランスが落ち着き、肉体的にも精神的にも落ち着くとまた何ともなくなることが期待されますので、この時期に「前は平気だったのに」ということを怖がるようになった場合には、そのような状況をできるだけ作らず、また無理に慣れさせようとしないことが推奨されています。
⑤ 噛んでもいい物を与える:思春期には歯の生え変わりが終わっていますので、噛むおもちゃはもうあまりいらない、と思っている飼う主さんもいますが、この頃は生え変わった永久歯が歯茎の中で落ち着くために再度噛む欲求が高まっている時期だと言われています。噛んでも壊れない丈夫なおもちゃを用意してあげましょう。
⑥ クレートトレーニングを始めておく:おすわりやまてなどを教えるトレーニングと共に、クレートでひとりで安心して過ごさせるクレートトレーニングも思春期より前に開始しておきましょう。
⑦ 精神的な刺激と肉体的な運動をたっぷりと:精神的にも肉体的にも犬を満足させ、エネルギーをきちんと発散させておくことはどんな時期の犬にとっても重要ですが、思春期の犬ではより重要となります。

獣医師:木下明紀子
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