犬が壁をジッと見つめている時の心理3選
1.人間には感じない存在を感じている?
「犬は幽霊の存在を感じる力がある」という話はよく耳にします。実際、愛犬が身じろぎもせず、集中している様子で壁をジっと見つめているのを見ると、犬には人間には見えていない何かが見えている、人間には感じない存在を感じているのかも…と感じる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
2.不安
犬の嗅覚や聴覚、あるいは動物が持っている鋭敏な感覚によって、正体はわからないけれど何か得体のしれないものの存在を感じ取ったとします。
その存在が自分たちに危害を与えようとしているのか、それとも安全なのかが判断出来ないのなら、当然、その存在に対して不安を覚えるはずです。
3.警戒
不安が解消されなければ、もしも、危害を加えてきたときに備えなければいけません。犬の心理状態が「不安」から「警戒」へと推移します。
人間には感じない存在とは?
犬は「霊」を感じることが出来る?
犬や猫は、私たち人間よりも優れた感覚を持っています。それは、嗅覚、聴覚だけではありません。電磁波や紫外線、空気の流れなどを感じる力も備わっていると言われています。
つまり、私たち人間が持っているいろいろなセンサーよりも、はるかに高性能なセンサーを持っていると言えます。だから、私たちには見えない存在が発する気配を感知出来るはずです。
それが、実態を持たずにさまよう魂すら感知出来るのではないか?と思わせる要因の一つでもあります。けれども科学的根拠は一切なく、都市伝説の類と言わざるを得ません。
「霊」と電磁波
これもまたオカルト的な話になりますが、「霊」は「電磁波」によく似ていると言われています。「電磁波」とは、電気と磁気が合わさって空気中を流れる波長で、人間も動くたびに微弱な電磁波を出しているそうです。
しかもその電磁波のパターンは個人個人違う、という計測結果があり、犬は飼い主さんをはじめ、自分が知っている人の出す電磁波やニオイ、足音などを覚えて人間を認識しているという学説があります。
だとすれば、犬が壁をジっと見つめている時、私たちには感じ取れない音とともに、犬が知らない電磁波のパターンを感じ取っている可能性もあります。
壁の近くに人間と似た電磁波を感じているのだとしたら、それは本当に人間の「霊」なのかも知れません。
愛犬が壁をじっと見つめていた体験談
旅先の宿で…
私が実際に体験した「愛犬が壁をジっと見つめている状況」をご紹介します。場所は、旅先の犬猫同部屋の宿泊が可能なビジネスホテルの一室でした。
愛猫の千代も、愛犬のめいぷるも同じ壁に向かって座り、身じろぎもせず同じ場所をジッ…と見ているのです。
最初は虫などが壁に張り付いているのかと思ったのですが、白い壁があるだけでなにもありませんでした。
その夜、いつもは私に体を寄せて眠るめいぷるが、珍しくなぜか床の上で伏せをしたままで、猫の千代は一晩中その壁の前から動きませんでした。
おそらく、どちらも一睡もしなかったのでしょう。朝、部屋を引き払って車に乗せた途端、二匹ともぐっすり眠って夕方まで目を覚ますことなく、眠り続けていたのです。
あれから、いろいろな宿に泊まりましたが、二匹があんな異様な様子を見せたのはあのビジネスホテルでの夜だけでした。二匹が見つめていた白い壁から何を感じていたのか、未だにわかりません。
散歩中に…
めいぷるがまだ生後1年ぐらいの時のことです。ある日、夕焼けが空を染めるくらいの時刻に土塀のある大きな古民家の前を通りかかりました。
その土塀の前に来た時、めいぷるが立ち止まり、数秒、じっと土塀を見つめました。そして唐突に激しく吠えたのです。
ちょうど「逢魔が時」と言われる暗くなりかけている時間帯でしたので、私はびっくりすると同時に怖くなって、めいぷるを抱きかかえ、その場を離れました。
翌々日に私とめいぷるは同じ場所を再び散歩で通り、今度は私がその家の前で足を止めました。めいぷるが吠えたその家の扉に「忌中」と書かれた紙が張り出されていたのです。
私の住む地域の家格のしっかりした旧家では、「忌中」の張り紙が玄関に張り出されるということは、その家で誰かが亡くなったことを指します。
もしかしたら、めいぷるが吠えた日の夕方、その家の壁のあたりに「お迎え」の使者が訪れていたのかも知れません。そう考えると、私はぞっと背筋が寒くなりました。
まとめ
人間の赤ちゃんでも、視覚や聴覚が発達していく過程である生後5か月くらいまでは私たち大人とは見える世界が違っているため、大人には見えないものが見えているかも知れない…という研究結果が報告されています。
つまり、赤ちゃんにとっては目に映るもの、聞こえるものは全て新鮮に感じるでしょう。光が差すのはなぜか、心地よい音、嫌いな音の正体はなんなのか、全く知らないので、常に好奇心が刺激され続けている状態と言えます。
犬も、私たち人間よりも優れた聴覚や嗅覚を持っているため、私たちには感じない音やニオイを感じます。けれども、赤ちゃんと同じように私たちが常識的な知識として知っている「光の反射」や電車や飛行機によって、空気や地面が振動することは知りません。
ですから、自分の知らない「得体の知れないもの」の存在を感じた時、それがなんなのかを知るために、嗅覚、視覚、聴覚を研ぎ澄ませるのでしょう。
そう推察してみると、犬が壁をじっと見つめているのは、「得体が知れないものと対峙している」ようにも思えてきます。
けれども、優れた感覚を持つ犬でも、「得体が知れない」と感じるものの正体など、犬よりもずっと感覚が鈍い人間にわかるはずがありません。よほど肝の据わった人でない限り、犬よりも私たち人間の方がより強く不安や恐れを感じてしまいます。
とはいえ、飼い主さんが動揺すると、犬の不安や恐れがますます強くなります。
たとえ犬が何かを警戒するような仕草をしながら壁を見つめていたとしても、飼い主さんは「大丈夫、なにも怖いことはないよ」と愛犬の動揺や不安を鎮めるように落ち着いて行動しましょう。