1.大きな響く音
犬が「嫌いな音」として、多く聞かれるのが雷や花火のような大きな音です。
これらの音はただ大きいというだけでなく、雷の場合はゴロゴロ…と響くこともあり不穏な気配が漂ってきます。そうした気配も含めて雷の音を苦手としている犬は多くいます。
また、花火は非常の大きな音であり、さらにパーン!という破裂音が聞こえるため、怖がる犬が多いようです。
特に、雷や花火は大きな音がする上に、犬にとっては音の正体がわからないという不安感も合わさり、余計に恐怖を感じさせます。
「どこから鳴っているのかわからない」「次にいつなるのかわからない」として、緊張やストレスを感じて怯える様子が見られます。
これらの音については、強い恐怖を感じてパニック状態になる犬も多く、外で飼育されている犬が鎖を引きちぎって脱走してしまったり、玄関を開けた途端に家から逃げてしまったりというトラブルも起きています。
雷や花火の存在を理解できない犬にとっては、「ここから逃げれば音が聞こえなくなる」と思ってしまい、自宅から遠くまで走って行ってしまうことがあるので十分に注意しましょう。
2.甲高い音、機械音
犬が聴覚が優れていると言われていますが、それは単純に音が大きく聞こえるというわけではありません。広域の音を聞き取ることができたり、細かい音の聞き分けができたりする能力を持っているため、人間には聞こえない音が聞こえている場合もあります。
特に、犬は人間には聞き取れない高周波の音を聞き取ることができるため、機械音のような甲高い音に対してうるさいと感じることがあります。
家庭内にある機械音として、犬が苦手に感じることが多いとされているのが「掃除機」と「ドライヤー」です。これらは音が大きい上に、犬が不快に感じやすい周波の音が発生しているとされています。
さらに、掃除機は動きが予測できず、ドライヤーは風が出てくるということから、そのもの自体に不快感を感じていることがあります。そのため、犬にとって音と動きのどちらも苦手なものとして挙げられることが多く見られます。
その他にも、家の外から聞こえてくる工事の音や、子どもや女性が発する「キャー!」という甲高い声を苦手と感じる犬もいます。そうした音に驚いたり、ストレスを感じたりするので、できるだけ配慮してあげるといいでしょう。
3.突発的な音
人間も同じだと思いますが、犬は突発的に聞こえる音を苦手とします。
身近な音で言うと、食器を床に落としてしまった時の音や、インターホンや電話の呼び出し音などが考えられます。
静寂が突然破られるような音に対して、驚いたりストレスを感じたりして、飛び起きたり吠えたりといった反応が見られることもあります。
人間の場合は、生活の中でどのような音が鳴る可能性があるかということを時間帯や状況によって予測することが可能です。
しかし、犬にとってはすべてが唐突な音なので、人間以上に驚きを感じていると考えてください。インターフォンや電話の呼び出し音などに驚いて吠えてしまう場合などは、日頃から何度も聞かせて慣らしたり、その音が聞こえたらいいことがあると覚えさせるためにおやつをあげたりして、音への社会化(トレーニング)を行っておくことをおすすめします。
犬が好きな音の特徴とは?
犬にはさまざまな苦手な音がありますが、その反対に好きな音もあります。犬が好きな音の特徴として考えられるのが、好きなことやものに関連した音だということです。
例えば、食べることが大好きな犬はおやつが入っているビニールのガサガサという音を聞くと、尻尾をぶんぶん振って喜ぶことがあります。
また、大好きな飼い主さんの足音や車の音には敏感に反応することもありますし、自分に対するほめ言葉をすぐに覚えて喜ぶ犬もいます。
また、犬に音楽を聞かせてもわからないと思う人も多いかもしれませんが、犬にも音楽の好みがあるのではないかということが考えられています。
イギリスの大学と動物福祉慈善団体による共同研究で、音楽が犬の行動に与える影響を調査したところ、特定の音楽を聞かせたときに犬のストレスレベルが低下するということがわかったのです。
犬に聞かせたのは、ポップミュージック・ソフトロック・レゲエ・クラシック・モータウンの6種の音楽で、ソフトロックとレゲエに対して良い反応を示す犬が多く見られたということです。
ただし、犬によってストレスレベルが低下する音楽ジャンルは異なるため、犬にはそれぞれ音楽の好みがあると考えられているのです。
まとめ
犬は優れた聴力を持っているため、さまざまな音に対して鋭敏な反応を示すことが多くあります。
特に、大きく響く音や人工的な機械音、予測のできない突発的な音、発生元がわからない聞き慣れない音に対して、ストレスや不安を感じることが多いとされています。
犬が怖がっている時には、飼い主さんはできるだけ冷静に淡々とした態度でいるようにしましょう。一緒になって慌てたり、大げさになぐさめたりすると、余計にその音が怖いものだと印象づけられてしまうためです。
また、インターフォンや家電など一緒に生活をする中で聞く機会の多い音であれば、練習として小さな音から聞かせたり、おやつをあげていいイメージをつけたりして慣らしてあげるといいでしょう。