犬の前足、右利きと左利きの割合を調査
犬はおもちゃで遊んだり、大きな食べ物を食べる時などに前足を使って押さえたり、時には引っ掻いたり転がしたりしますが、人間のようにどちらかが利き足なのでしょうか。
過去にも犬の前足の右利きと左利きについての研究は数多く行われてきました。しかしサンプル数が少なかったため、別々の研究で対照的な結果が出るなど、なかなか明解な答えが出ないままになっていました。
この度イギリスのリンカーン大学の生命科学の研究者が、この研究では世界最大のデータ数を使用して、犬の利き足に関するリサーチ結果を発表しました。
チューブの中のトリーツを取り出すテストで分類
この研究のためのリサーチには英国国営放送(BBC)が番組制作のために実施したアンケート調査『Test Your Pet』のデータが使用されました。データの数は17,901匹分で犬の利き足のリサーチとしては世界最大のものとなりました。
『Test Your Pet』では飼い主が自宅でペットに対して指定された通りのテストを行い、その結果をアンケート形式で報告するという形になっています。犬の利き足調査のテストでは、飼い主は犬の前足が十分に入るくらいのプラスチック製または紙製のチューブを入手するよう指示されました。
犬の大きさによって異なるサイズのチューブ、ペーパータオルの芯などが利用されます。チューブは片方が塞がれ、中にはトリーツが仕込まれています。トリーツは奥の方にあり犬が前足を入れて掻き出さなくては取れません。テストは3回実行するよう指示されました。
テスト後、飼い主は「左前足を多く使った、右前足を多く使った、どちらとも言えない」の3つの選択肢から1つを選んで回答。テストの結果の他には、犬の性別と年齢も報告されました。
犬の利き足テストの結果は?
回答の集計の結果は以下のようなものでした。
- 74%の犬が明確に右または左の前足だけを使った(利き足がある)
- 26%は両方の足を等しく使っていた
- 利き足のある犬のうち、右利きは58.3%、左利きは43.9%
- メス犬では60.7%が右利き、39.3%が左利き
- オス犬では56.1%が右利き、43.9%が左利き
- 年配の犬は若い犬よりも右利きの傾向が強かった
- 年配の犬の右利き傾向はオス犬に特有だった
このように犬は右または左の利き足を持っている犬が圧倒的に多いことがわかりました。右利きの方が多い傾向は人間と同じですが、人間よりも右と左の差は小さく、両足が利く割合は人間よりも高くなっています。
性別によって利き足の傾向に差があるのは、利き足を決定するのに性ホルモンの影響を受けている可能性が指摘されています。人間も女性よりも男性の方が左利きの人の割合が高いのだそうです。
年配の犬で右利きの傾向が強くなるのは、若いうちは未発達のために両方の前足を使う個体がいるが、年齢とともに利き足が発達して行くからではないかと考えられているそうです。
まとめ
世界最大のサンプルから犬の右利きと左利きの割合を決定するリサーチが実施され、犬は右利きが多いが左利きの割合は人間よりも高いこと、性別や年齢も関連していることをご紹介しました。
犬が前足を使って何かをしている時、かわいいなあと思って見ていることはあっても右利きか左利きかに注意を払ったことがありませんでした。注意して観察することで、遊びやトレーニングがスムーズになったりするかもしれないと感じました。皆さんもぜひ愛犬の利き足観察をなさってみてください。
《参考URL》
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S016815912100085X