犬にとっての『幸せ』とは?
幸せとは?
「幸せ」とは、とても漠然とした言葉です。ただ、辞書によれば「幸せ」とは、「心が満ち足りていること」となっています。
私たち人間は、千差万別の嗜好や価値観があり、心が満たされる条件も人それぞれ違います。
けれども、家族の一員として人と暮らしている犬はどうでしょうか。犬ごとに違う「幸せ」を求めているのでしょうか。それとも、犬が求めている「幸せ」とは、私たち人間が考えている「幸せ」とは違う質のものなのでしょうか。
おそらく「犬にとっての幸せ」は、シンプルに「心が満ちていること」だと思います。だとすれば、飼い主から何を与えられたら、愛犬の心は満たされるのでしょうか。
愛する家族がいること
犬は、とても社会性の高く愛情深い動物です。犬にとって「愛すること」は「信頼すること」です。
信頼できる家族とともに、なんの不安も恐れもなく暮らせることが犬の精神を安定させます。
愛してくれる家族がいること
犬が一方的に愛しているだけでなく、家族からも愛されているという自信と信頼があることも大切です。
犬が何かを訴えかけた時に、言葉が通じなくても、犬の体の動きや目の輝きで犬の感情を察知できるような、強い信頼関係で結ばれた家族がいることは犬にとってもとても重要です。
ストレスを感じずに過ごせること
何かに怯えたり、威嚇する必要もなく、空腹や不快感を感じることのない環境に身を置くことが出来れば、何もストレスを抱えることなく過ごせます。
もちろん、それは愛し、愛される家族が側にいることが大前提です。
愛犬のために飼い主がやるべきこと
安全で清潔な住環境を整えること
安心して寛げ、体を休めるためにぐっすりと熟睡出来て、なおかつ、清潔な住環境を整えます。人間で例えると「生存権」を保障する、ということです。
心身ともに健康的な生活を送れるように心を配ること
肥満にならないよう、また逆に栄養不足にならないように、食事やおやつに気を配ります。
運動不足やストレス解消、老化防止のために愛犬の散歩は欠かしません。
また、愛犬の体調になにか異変があれば躊躇なく獣医さんに連れて行き、回復に努めます。
「犬」と言う動物をよく知ること
人間には無害でも、犬が食べたら死に至るような食べ物があることや、犬の平均寿命、健康状態を示すさまざまな基準、「カーミングシグナル」と呼ばれる犬のボディランゲージなど、犬と一緒に暮らすために必要な知識はたくさんあります。
犬に「心が満たされる」という想いを感じて貰うためには、「犬」という動物を客観的によく知ることも必要です。
生涯、愛しつづけること
愛犬を幸せにするために、絶対に飼い主として守るべき誓いと言えます。
愛犬を幸せにするために私たち飼い主がやるべきことのうち一番大切なことは、私たち飼い主が生涯愛犬を愛し続けることです。
愛犬は、それこそ生涯、私たち飼い主に決して裏切ることもぶれることもない一途な愛情を注いでくれます。
その大切な家族を、人間の身勝手な理由で手放すのは、人として決してあってはならないことです。
犬にとっての『幸せ』とは、命が終わる時までずっと飼い主さんに愛され、飼い主さんの側にいられることだと私は信じています。
愛犬を幸せにする飼い主さんの条件4つ
自分よりも愛犬を優先できること
金銭的なことであれ、時間的なことであれ、常に愛犬を優先できますか?
例えば、今日、友達とランチに行く約束をしていたとします。いざ、出かけようとしたら愛犬が嘔吐、下痢をしてぐったりしています。
そんな状態で、友達との約束をキャンセルし、愛犬を動物病院に連れていくという行動が迷わずにとれますか?
あるいは、欲しい車があり、その購入資金として貯金していたとします。けれど、愛犬が病気になり、多額の治療代が必要になったとしたら、惜しみなく貯金を崩せますか?
もっと日常的なことを挙げるとすれば、自分の食事よりも愛犬の食事の準備を優先出来ますか?
どちらも「YES」と言える人は常日頃から自分よりも愛犬を優先しているはずです。そして、そんな飼い主さんの家族として迎えられた犬は、心も体もいつも満たさていることでしょう。
愛犬の意思を察することが出来ること
言葉で会話をしなくても、愛犬の歩き方、尻尾、鳴き声などで愛犬の意思を察することが出来る飼い主さんは、愛犬のことをよく観察しています。
愛犬と過ごしている間は、愛犬から目も心も離れることなく、常に愛犬のことを理解しようと心を砕いています。
犬を飼ったことのない人から見ればとても滑稽なことですが、たくさん話しかければ犬は声の大きさや口調で私たち飼い主の意思を悟ります。
その逆もまた然りで、愛犬と長く接していれば、愛犬が何を欲しているのかが理解出来るようになります。
意思が通じない相手よりも、自分の意思を理解し、常に心を砕いて気遣ってくれる相手により好意を持つのは、人間も犬も変わりありません。
愛犬に信頼されていること
犬の「好き」は「信頼している」ということだと思います。
自分の意思を理解してくれること、そして決して自分に対して敵意を持たず、絶対に危害を加えてこないことが最低条件と言えます。
愛犬の排泄物を汚いと思わないこと
散歩の途中や家の中でのトイレの世話を嫌がらずに出来るかどうかも重要です。
特に、散歩などの外出時に「愛犬の排泄物の始末をする」と言うのは、飼い主としての最低限守るべきマナーですが、愛犬の排泄物に関心を持つのは、ただマナーを守る飼い主であると主張するためではありません。
愛犬の排泄物であるウンチやオシッコには、愛犬の健康サインを示してくれる様々な情報が詰め込まれています。
健康な時の状態をよく覚えておけば、なにか異変があればすぐに気づくことが出来ます。
また、排泄物の変化について知識を持っておくと、体調を崩した状態から回復に向っている最中にも、消化器系や循環器系の回復の状況をある程度推測することが出来ます。
愛犬の排泄物ですら、「汚い」と思わないほどの飼い主さんであれば、愛犬にどんな窮地が訪れても、決して見捨てることはないでしょう。
まとめ
私たち飼い主と愛犬との関係性の最高の形は、言葉で会話が出来なくても、お互いの心の中にある感情を理解しあえるほど、深いつながりを築いていることだと思います。
人間同士の関係性と違って、犬から受ける愛情は、決して変わることも尽きることもありません。
犬は命が尽きるまで、飼い主を一途に愛し抜いてくれます。
たとえ、今回、私なりに考えた飼い主としてやるべきことのうち、「安全で清潔な住環境」や「心身の健康状態に心を配る」ことをを怠っても、飼い主でありながら自分の愛犬を愛していなくても、犬は自分が愛することを決めた人間に対して、変わらない愛情を持ち続けてくれます。
犬という動物は、それほど愛情深い動物なのです。
愛を受けるばかりでなく、犬から与えられる愛に対して同等の愛を返せる飼い主さんなら、きっとその犬は心満たされて「幸せ」な時間を生きられるはずです。