犬もやきもちを妬く
愛犬との暮らしが長い飼い主さんはご存知の方も多いかと思いますが、犬もやきもちを妬くことがあります。
やきもちを妬かれるほど愛犬に愛されていると思えば、うれしいことかもしれません。しかし、やきもちを妬いている犬も妬かれている飼い主にとっても、やきもちはストレスになってしまいます。
飼い主のどういう行動が愛犬にやきもちを妬かせてしまうのか、やきもちを妬かれた場合、どのようにケアをすればよいのかについて知っておきましょう。
犬のやきもちに関する2つの研究
まずは、犬のやきもちに関する2つの研究についてご紹介します。
不平等な扱い
オーストラリアの研究チームにより「犬は不平等な扱いにどのような反応を示すか」について、2008年に「ナショナル・ジオグラフィック」誌に研究結果が掲載されました。
ある犬が芸をしてご褒美をもらっている様子を見せた犬に対して、同じ芸をさせて上手にできてもご褒美をあげないという実験を繰り返した結果、その犬は芸をすることを拒否するようになったというものです。
飼い主の愛情
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームによる「主人の関心がよそへ移ると犬は明らかに嫉妬する」研究について、2014年に「PLOS ONE」誌に掲載されました。
飼い主が飼い犬を無視して、犬のぬいぐるみやハロウィーンのかぼちゃに似せたバケツで遊んだり、大声で飛び出す絵本を読んだりした時の犬の反応をビデオに撮影して観察しました。
36匹の犬を対象に行なった結果、犬のぬいぐるみと遊んでいた飼い主を押し倒したり触ったりした犬は78%、かぼちゃ型のバケツは42%、絵本は22%の犬が反応しました。
また、約3分の1の犬が飼い主と犬のぬいぐるみの間に割って入ろうとし、25%がぬいぐるみに噛みつく結果となりました。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬は、本能的に自分の脅威となり得る存在を認識できています。
自分と同じ形に近いぬいぐるみなどにやきもちを妬く可能性が高くなり、そうでなければ低くなるのでしょう。
ストレスにならないよう、愛犬に誤解を与えるような行動は避けることが大切です。
犬がやきもちを妬く飼い主の行動4選!
1.新しく増えた家族にばかり関心を向ける
赤ちゃんが誕生するなど、飼い主さんの関心が新しく増えた家族の方にばかり向けられてしまうと、犬は今までの関係が壊れてしまうのを恐れてやきもちを妬き、飼い主さんの関心を自分の方に戻そうとします。
飼い主さんの関心をさらってしまった相手がやきもちの対象となりますので、新しく迎えた犬や赤ちゃんなど、新しく加わった家族がやきもちの対象となります。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬は、人にかまってもらうことに命がけです。飼い主さんが自分に対して関心を無くすことをとても嫌います。だからやきもちを妬いてしまうのです。
どんな時もしっかりと愛犬に関心をもって構ってあげることで、問題行動も起きにくくなります。
2.自分が生んだ子犬にばかり関心を向ける
愛犬が子犬を産んだ場合、飼い主さんが子犬の方にばかり関心を寄せてしまうと、自分の子犬たちに対してもやきもちを妬いてしまうことがあります。
ひどい場合は、育児放棄につながってしまうこともあるので注意が必要です。
3.散歩の途中で出会った別の犬にばかり関心を向ける
飼い主さんと楽しい散歩中に別の犬に対して関心を寄せてしまうと、その犬にやきもちを妬いたり、話し込んでいる飼い主さんの友人に対してもやきもちを妬いてしまうこともあります。
4.スマホにばかり夢中になっている
一緒に遊びたいとアピールしている愛犬に気づかず、夢中になってスマホを操作していると、スマホに対してもやきもちを妬いてしまうことがあります。
このように、やきもちの対象が生き物だけに限らないということも、知っておく必要があるでしょう。
犬がやきもちを妬いた時のケア方法
犬にやきもちを妬かせないためには、愛犬の目の前で他の犬や人、物に夢中になりすぎないようにすることです。
しかし、現実にはなかなかうまくいかないこともあるでしょう。特に赤ちゃんがが生まれた、子犬を迎えた、結婚して家族が増えたなどではなかなか難しいと思います。
いろいろ努力したけれども愛犬がやきもちを妬いてしまったという場合には、以下に気をつけてケアをしてみましょう。
- 愛犬との関係が変わらないことを行動や態度で伝える
- 食事や散歩の時間など、今までの生活を変えない
- 新しい家族に関心を寄せた分、それ以上の関心を愛犬にも寄せる
やきもちが原因で、愛犬が粗相してしまったり、飼い主さんの大切なものをボロボロにしてしまったような場合は、大げさに騒ぎ立てずに黙々と片付けるようにしてください。
騒ぎ立てると、「作戦成功!構ってくれた!」と犬が勘違いしてしまうからです。
監修ドッグトレーナーによる補足
愛犬をかまってあげる時間を作ることが難しいのであれば、ペットシッターや幼稚園などにお願いするのも一つの手段です。
犬をお迎えするということは、手間だけでなくお金もかかります。愛犬に不安を与えないよう、飼い主さんができることをしてあげましょう。
まとめ
「不平等な扱いの実験」では、犬はご褒美のありなしで嫉妬の気持ちを示しましたが、ご褒美の量や種類、芸の質などの差には嫉妬を示しませんでした。
犬のやきもちは、「大好きな飼い主さんとの間に割って入ってきたライバルと飼い主さんのふれあいを止めさせて、関心を取り戻したい」という比較的単純な思いなのではないかと考えられています。
しかし、その不安は犬にとってはとても深刻なストレスです。
愛犬に誤解を与えるような行動を慎み、環境に変化が生じた場合には、しっかりと愛犬の気持ちをフォローできるように注意してあげましょう。
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20代 男性 匿名