犬とキスをするべきではない理由
1.イヌ由来カプノサイトファーガ感染症
犬とキスをすると、感染症にかかる恐れがあります。
犬の口の中に常在している細菌に感染することを「イヌ由来カプノサイトファーガ感染症」と言います。次のような3つの細菌があります。
- カプノサイトファーガカニモルサス
- カプノサイトファーガカニス
- カプノサイトファーガサイノデグミ
基本的には犬に噛まれたり引っ掻かれたりすることで感染します。また、傷口を犬に舐められることでも感染します。傷口を介して犬の口の中に常在している細菌に感染するためです。
犬から人へ感染し、人から人へ感染することはありません。
細菌は5日間ほど潜伏し、発熱・頭痛・吐き気・腹痛・倦怠感などの症状を起こします。
重症化した場合には敗血症を発症することが最も多く、敗血症性ショックや多臓器不全によって死亡した例があります。
まさか愛犬とキスをしたことや舐められたことで感染症にかかるなどと考えていないため、軽症な場合は気づけずにいることがほとんどです。
2.コリネバクテリウム・ウルセランス感染症
犬とキスをすると「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」にかかる恐れがあります。
2016年には60代の女性が、野良猫からの感染によって呼吸困難を引き起こした後に死亡した例があります。
コリネバクテリウム・ウルセランスは犬からの感染事例も多く、日本国内での確認も増えています。
犬とキスをしたことで呼吸器感染した場合、咳などの風邪に似た症状を起こすことがあります。
また、重症化すると呼吸困難を引き起こし、死に至る可能性があります。
3.トキソプラズマ感染症
犬とキスをすると、原虫と呼ばれる病原体によって「トキソプラズマ感染症」にかかる恐れがあります。
トキソプラズマ感染症は、妊娠中の女性が感染した場合、胎児にまで感染することがあります。流産や先天性疾患の原因になりやすいです。
4.パスツレラ感染症
犬とキスをすると「パスツレラ感染症」にかかることがあります。
パスツレラ菌は口の中の健康状態が良好な場合でも犬の口の中に必ず常在している細菌です。
多くは犬に噛まれることで感染しますが、犬とキスをしたことで感染すると数時間程度で発熱やリンパ節が腫れるなどの症状が起こることがあります。
免疫力が低下している状態で感染した場合には重症化しやすく、敗血症を引き起こすことがあります。
パスツレラ菌の恐ろしいところは、犬とキスをすることだけではなく、犬と触れ合った時に菌を鼻から吸い込んでしまうことでも呼吸器感染する恐れがあるということです。
5.ヘリコバクター・ハイルマニ感染症
犬とキスをすると「ヘリコバクター・ハイルマニ感染症」にかかる恐れがあります。
ヘリコバクター・ハイルマニは犬の胃粘膜組織中に常在している細菌です。人に感染すると胃ガン・胃潰瘍・慢性胃炎などを発症する原因になりやすいとされています。
胃炎を発症している人の80%がピロリ菌に感染しているのに対して、ヘリコバクター・ハイルマニに感染している人はわずか1%だそうです。そのため、犬などの動物が感染源である可能性が高いとされています。
犬をキスをした時、箸・スプーン・フォークなどを使って犬に食べ物をおすそ分けした時に感染するのではないかと考えられています。
まとめ
犬とキスをするべきではない理由は、上記5つの感染症にかかる恐れがあるためです。
まさか愛犬とのキスで感染症にかかるなんて、飼い主の誰もが思わないでしょう。
そのため軽い初期症状ではちょっとした体調不良や風邪だと思い込んでしまい、数時間~数日で重症化してしまいやすいです。
実際、犬からの感染で死亡した例もあります。
生涯お世話をすると誓ってくれた飼い主を亡くしては犬は生きていけません。愛犬のためにも、キスをすること以外の愛情表現を考えなければならないと思います。