自分のためよりも他者のためにお金を使う効用
お金というのは良くも悪くも人の心理に大きく影響を及ぼすものなので、お金にまつわる心理学の研究は数多く発表されているそうです。
以前の研究では、多くの人にとって家族など身近な人のためにお金を使うことは自分のために使うより幸福感を高くする可能性があるという発見が報告されています。
この度アメリカのコロンビア大学の研究者が、多くの飼い主にとって家族同様の愛犬のためにお金を使うことは、同様に幸福感を高めるのではないか?ということを確認するため実験を行いその結果が発表されました。
実験1 買い物をした時のことを思い出して幸せ度チェック
研究チームは2つの実験を行いました。1つめの実験では159人のペットの飼い主が参加し、3つのグループに分けられました。
参加者は過去に何か5ドル相当のものを買った時の経験を思い出すよう指示されました。
3つに分けられたグループのうち、1つは自分自身に何かを買った時、もう1つはペットのために何かを買った時、最後の1つは誰か他の人のために何かを買った時のことと指定されています。
5ドルで何を買ったかを思い出した直後に、その時の感情についていくつか質問があり、その回答から参加者が5ドルの買い物を思い出した時の幸せ度が測定されました。
結果は予想通り、ペットに何かを買ったことを思い出した人たちが他のグループよりも幸せ度が高かったそうです。
実験2 実際に買い物をして幸せ度チェック
実験1では参加者に買い物でお金を使った時のことを思い出してもらったわけですが、これはちょっと現実から離れているのではないかという懸念から、参加者に実際にお金を使ってもらう実験2が実施されました。
参加者は新たに募集された188人のペットの飼い主です。参加者には5ドルが支給され、それを誰のためのものを買うために使うかが指定されます。実験1と同様に、自分自身、ペット、他の誰か、のどれかが割り当てられます。
参加者は当日午後8時までにこの5ドルで指定された通りに買い物をしなくてはなりません。その後に、各参加者に調査のための質問項目がメールで送信されました。
自分自身のための買い物を指定された人は飲み物やお菓子を購入した人が多かったとのことです。他の人を指定された参加者は飲み物やお菓子の他に寄付やギフトカードに使っていました。ペットへの買い物ではおもちゃやトリーツが購入されたそうです。
他の質問から測定された幸せ度は、やはり予想通りにペットのために買い物をした人が3グループの中で最も幸せを感じていました。
さらに、他の人やペットのために買ったものを既に相手に贈ったかどうかでは、プレゼントを渡し済みの人の方が幸せ度が高く、ペットのために買い物をして既にそれを渡した人が最も幸せを感じていたことが判ったそうです。
まとめ
ペットの飼い主を対象にした実験で、同じ少額のお金を使う時ペットのためのものを購入した人は、自分や他の人間のためのものを買った人よりも強く幸せを感じていたという結果をご紹介しました。
確かに、犬のためのおもちゃや新しいトリーツを購入した時には「喜んでくれるかな」とワクワクしたり嬉しくなったりしますね。
ちょっと嫌なことがあったり気分が落ち込んだ時には、愛犬のためにちょっとしたプレゼントを購入するのが一番かもしれません。
《参考URL》
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/17439760.2021.1897871