1.歯周病
犬は自分で歯磨きをすることができないため、飼い主さんが愛犬の歯磨きを行ってあげる必要があります。犬の唾液はアルカリ性で、歯垢が約3日で歯石になってしまうと言われています。歯石が歯肉を圧迫すると歯肉に炎症を起こし、歯周病につながるリスクが高くなるといいます。
歯周病になるとただフードのにおいがするのとは違い、強い悪臭がするようになります。歯周病は歯が抜けるだけでなく、顎の骨を溶かしたり、鼻や頬が口腔内と繋がってしまう瘻管ができたり、細菌が全身に回って悪影響を及ぼす恐れがあります。
2.口腔内腫瘍
口腔内に悪性の腫瘍ができると、粘膜や歯肉、骨の組織が破壊されることがあり、歯周病と同じく悪臭がするようになることがあります。
口腔内の腫瘍は
- 良性腫瘍
- 悪性腫瘍(扁平上皮癌)
- 悪性黒色腫
- 繊維肉腫
などに分けられます。
口腔内の腫瘍は痛みや違和感が出るため、食欲低下やごはんがうまく食べられなくなるなどの異変が現れることも多くあります。
3.内臓疾患
胃のトラブル
酸っぱい口臭がする場合、胃に炎症が起こり胃酸の分泌が過多になっていることが考えられます。胃酸の量が多くなると嘔吐があったり込み上げてくるなどによって、口臭が胃酸のにおいになっていることがあるのです。
腎臓・肝臓のトラブル
腎臓や肝臓は体の代謝を司る場所です。腎臓や肝臓にトラブルが起こり正常に機能していないと、体の外に排出されるはずの物質が体内に溜まってしまい口臭からアンモニア臭のような独特なにおいがすることがあります。
腸のトラブル
腸のねじれや腸閉塞など、腸のトラブルが起こると口から便のにおいがすることがあります。この場合は口臭が強くなることのほか、強い腹痛、下痢や便秘、元気消失などの症状も現れ、命に関わるものです。
4.口の中の乾燥
犬は身体から汗をほとんどかくことがないので、体熱の発散は「パンティング」と呼ばれる口呼吸で行います。パンティングは口を開けたまま荒い呼吸を繰り返すため、口の中が乾燥することがあり、口の中が乾燥すると唾液の濃度が上がるため、生臭さを感じることがあります。
また汗をかく代わりにパンティングによって口の中の水分を蒸発させるため、体熱を発散させるためには十分な水分補給が必要になります。暑い季節には室温管理とともに、愛犬が適切に水分補給をできているのか確認することが大切です。
ニオイだけをごまかさず根本的な改善を
愛犬の口臭ケア用品にはさまざまな種類があり、サプリメントや「お水に混ぜるだけ」というようなアイテムも存在します。しかし犬の口臭は重篤な病気のサインである可能性もありますので、まずは口臭の原因を突き止めることが不可欠とされ、ただニオイを誤魔化すのではなく、受診してかかりつけの獣医師と相談し根本的に解決していきましょう。
まとめ
筆者の愛犬は数年前に歯周病が悪化してしまい、歯の半分以上を抜歯する手術を受けました。手術前は明らかに体調不良を感じるほどの強い悪臭がしましたが、術後は全く口臭がしなくなりました。抜いた後の歯を見せてもらった際に、ビニールに入っているにもかかわらず、愛犬の歯は強い悪臭を放っていました。
歯周病が悪化すると歯磨きでは解決できなくなるため、歯周病になる前に歯磨き習慣をつけることや早期に治療を開始することが大切です。愛犬の口臭に異変を感じる場合、歯周病のほか腫瘍や内臓疾患などが原因である可能性もあるため、まずはかかりつけの獣医師に相談して健康チェックを受けると安心です。
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20代 男性 匿名