『自信が無い犬』ってどんな犬?
『自信』とは?
そもそも「自信」とはどういった心理のことを言うのでしょう?
実は「自信」という言葉については、人間の場合、はっきりとした定義はありません。
ただ、「自信」という言葉を誰にでも理解できるように表現しようとして調べるとさまざまな見解があり、「自己の成長に対する成果とその評価に関して云々…」など、非常に難解で複雑な感情です。
つまり、私たちが使っている「自信」は、人間社会と密接な関係があり、犬の習性や生活環境などから犬が持つ「自信」という感情とは全く違うということです。
では、犬にとって「自信がある」「自信が無い」とは、どういうことなのでしょうか?
「自信のない犬」ってどんな犬?
家庭犬として飼育されている犬は、テストを受けたり、なにかと競争したりすることはありません。
また、ドッグスポーツをしていたりショーに出展している犬も、自分がコンテストや競技会に出ることでその優劣に関して自信を持ったり、自信を失ったりすることもないはずです。
もし、なにかの競技会などの結果が振るわずに、犬が落ち込んでいる様子を見せたのなら、それは飼い主さんや周りの人間の落胆ぶりを見て、「なにか悪いことをしたのかな」と思っているだけかもしれません。
ですから、犬の仕草や行動から推測して、犬にとっての「自信が無い」という状況を「心細い」「不安」「困惑」などの感情と定義するとしたら、「自信が無い犬」というのは「困惑し、心細くて不安な感情を抱いている犬」ということになります。
『自信がない犬』がよくする行動 4選
怯える
自分の安全を確保できず、身を隠す場所がなければ不安に苛まれるのは犬も人間も同じです。
隠れる
不安や困惑と言った感情をずっと持ち続けていると、犬にとっても人間にとっても非常にストレスを感じます。
ですから、出来るだけ早く、また出来るだけ長く安心して落ち着ける場所に身を置きたいと考えます。
その結果、簡単には見つけられない場所や引っ張り出すのが難しいような狭くて暗い場所へ隠れようとします。
名前を呼んでも来ない
あからさまに無視をするのではなく、しっかりと耳に自分を呼ぶ声が聞こえているはずなのに、飼い主さんから目をそらし、体を出来るだけ小さく見せるような仕草をします。
元気がない
犬は、とても繊細な感情を持っていて自分の体に痛みがあったり、加齢によって筋肉や関節が衰え、今まで出来ていたことが突然出来なくなったことに対して困惑することがあります。
『自信のない犬』どうやったら自信をつけられるの?
健康に問題がないか確かめる
体のどこかが痛かったり、老齢のために筋力が落ちていて、今まで出来ていたことが突然出来なくなったりしたことで、「自分の体は一体どうなってしまったのだろう」と不安に感じていることが犬にとって「自信の無さ」に繋がります。
病中病後であったり、シニア期の犬がどことなく生気がなく、元気がないように見えるのなら、なにか健康に問題が生じている可能性があります。
獣医さんの診察を受け、加齢による体力の低下以外に健康上の問題がないかを、出来るだけ早く確かめてあげましょう。
常に安心できる状況を整える
住居が変わったり、人間やほかの動物などの新しい家族が増えたりして、生活環境に変化が生じたときに「自信を失った」ように見えるときは、犬が不安を感じている可能性があります。
信頼される存在になるべく、あらゆる努力をする
愛犬に自信を持たせるには、愛犬に「ここは安全な場所」であることを理解させ、飼い主さんに絶対的な信頼を寄せるように、あらゆる努力を惜しまないことです。
出来る限り側で話しかけ、食事を与えて、散歩や排せつの世話をするのは当然のことで、何よりも大切なのは、愛犬が家族の一員として問題なく暮らせるように、真剣に家庭犬としてのルールを教えることです。
日常的に愛犬がなにか不安や困惑を抱えているような素振りをしているのなら、心穏やかに過ごせるように何ができるか、何をすべきかを模索し、解決出来るよう出来るだけの努力をしましょう。
まとめ
家族同然、我が子同然に思っていても、複雑な心理は犬と人間では深く理解しあえることはありません。
例えば、愛犬と行き慣れないドッグランに行き、なんとなく愛犬が心細そうに見えても、それで愛犬自身の自尊心が傷つくことはないので、『自信がないように見えた』としても、家族の元に戻れば安心して落ち着きを取り戻します。
人間でいう「自信がない」という状態と、犬の「自信がない」という状態では、その状態になるまでの事情の複雑さに大きな開きがあります。
人間なら「責任を果たせるかどうか」「自分の行いに間違いはないか」などさまざまに考えることがありますが、犬は単純に「命を奪われるかも」「もうすぐ死ぬかも」というように、自身に命の危険が及ぶかも知れないという不安や心細さを感じて、心細くなってしまうように思います。
もしも、愛犬にそんな素振りが見られたら、飼い主さんは愛犬を安心させ、心の緊張をほぐすように優しく穏やかに接してあげましょう。
「命の危険はない」「安心できる」「愛されている」と犬が感じられるようになれば、「自信がなさそう」に見える犬に「自信をつけさせる」ことが出来るのではないでしょうか。