1.えずく(空嘔吐)
犬は吐く直前に見せる仕草としてわかりやすいのが、「オエッ」「グエッ」などという声を出しながらえずくというものです。
嘔吐する仕草を見せながらも何も吐き出さない「空嘔吐」も同様です。
胃に刺激が与えられたときや吐き気を催したとき、背中を丸め気味にして頭を低く下げて吐きやすい体勢をとります。吐く直前には、その体勢のまま何度か「オエッ」とえずく様子が見られます。
なかなか吐き出せず、苦しそうにえずいているようであれば背中をさすってあげたり優しくトントンと刺激してあげたりすると楽になるかもしれません。
ただし、激しくえずいて空嘔吐が続いている場合、「胃拡張」・「胃捻転症候群」という病気を発症している可能性があります。この病気は、食後に運動をしたり、慌てて大量の食べものを摂取したりすると起こりやすいとされ、特に胸の深い大型犬に多い傾向にあります。
胃捻転を起こすと、胃の周囲にある臓器をまきこむようにしてねじれてしまうので胃を中心に血液循環が止まり内臓の壊死が起こったり、不整脈を起こしたりします。
短時間で死に至る可能性がある恐ろしい病気なので、食後に空嘔吐をくり返し、腹部膨満でぐったりとした様子が見られるときはすぐに動物病院に連れていきましょう。
2.咳をくり返す
食道や喉などに違和感を感じていると、何度か「コンコン」「ゲホッ」というような咳を何度もくり返すことがあります。
胃が痙攣するような嘔吐ではなく、食べてすぐのもの(未消化のもの)を吐き出す「吐出」の前には、特に咳をすることが多いようです。
また、風邪症状などが原因で、激しい咳をくり返しているうちに嘔吐してしまうこともあります。咳をくり返している時は吐く可能性があると考えて、しっかりと様子を観察しておきましょう。
3.よだれをダラダラと垂らす
消化器官に違和感や不快感を感じると、唾液の分泌量が増える傾向があります。そのため、吐く直前には、水のようによだれをダラダラ、ボトボトと垂らす様子が多く見られます。
普段あまりよだれが出ない犬の口元がやけに濡れていると感じたときや、口元から垂れるほどのよだれが出ているときには、吐き気を催している可能性があると考えておきましょう。
よだれが出ている状態のときは、直後に嘔吐するとは限らず、何となく不快感を感じている程度の場合もあります。
そのような状態で、ご飯をあまり食べなかったり、横になっている時間が長かったりするときは体調が悪い可能性が高いので、十分注意して様子を見るか、動物病院に相談するようにしましょう。
犬が吐きそうなときの適切な対処法
犬が吐く直前にする仕草が見られたときは、まずできるだけそばにいるようにして、十分に様子を観察しておきましょう。
何度もえずいていて吐き出せない様子が見られるときは、犬もとても苦しい状態なので、優しく背中をさするなどのサポートをしてあげるといいでしょう。
ただし、具合が悪いときに体に触れられることを嫌がる犬もいるので、犬の反応を見ながら近づくようにしてください。
また、えずいていたり嘔吐したりしている様子をスマートフォンなどで動画に収めておくのもいいと思います。さらに、吐き出したものの色や状態をメモしておくのもいいでしょう。
動物病院に行ったとき、獣医師に犬の正確な様子を伝えやすく、病気の原因把握に役立つ可能性があります。
嘔吐の後はすぐに水や食べものを与えると、嘔吐物が喉に詰まったり、胃に刺激が与えられてさらに嘔吐してしまったりする可能性があります。しばらく静かに様子を見るようにしましょう。
まとめ
犬は比較的嘔吐しやすい動物で、ちょっとした体調不良や不快感で吐いてしまうことがあります。
そのため、少し吐いた程度ではそれほど心配する必要はなく、1〜2度の嘔吐ですっきりしたように元気になれば基本的には問題ありません。
ただし、嘔吐がくり返されたり、ぐったりした様子が見られる場合には、中毒を起こしていたり何らかの病気を患っている可能性があるので、動物病院を受診するようにしてください。