犬の遊び行動が犬種によって違うのは選択繁殖の影響?【研究結果】

犬の遊び行動が犬種によって違うのは選択繁殖の影響?【研究結果】

犬が人間と遊ぶ行動は犬種によって違っています。その犬の遊び行動を犬種グループ別に順位を付け、選択繁殖との関連を考察した研究結果が発表されました。

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人間主導による犬の遊び行動のリサーチ

ビーグルと遊ぶ若い女性

犬にとって「遊ぶ」という行動は単なる暇つぶしや楽しみのためだけでなく、運動能力や社会性を身につけ、人間や犬同士のつながりを強くするという大きな意味があります。

遊びの中でも、人間が主導して遊ぶという行動は飼育されている犬に特徴的なものです。現代の犬は犬種ごとにそれぞれ違う目的で選択繁殖されて来た歴史があり、犬の行動は選択の影響を反映しています。しかし犬の遊び行動に選択繁殖が果たした役割は未だ明らかにされていません。

スウェーデンのストックホルム大学動物学の研究者が、犬の選択繁殖の結果と遊び行動がどのように変化してきたかを調査し、その結果を発表しました。

犬種グループとメンタリティ評価テスト

スティックを咥えて走ってくるハンガリアンポインター

スウェーデンでは犬の行動やメンタリティを評価する標準化された行動テストがあり、多くの犬と飼い主が参加しています。

そのようなテストの1つにスウェーデン使役犬協会が1989年以来実施している犬のメンタリティ評価があり、犬の「遊び好き度、社交性、好奇心、追跡傾向、攻撃性」の5つの性格特性を説明しています。

研究チームはこのメンタリティ評価の1997年から2013年のデータを使用しました。評価テストのデータ132犬種89,352頭分とアメリカンケネルクラブの犬種グループ分類とを組み合わせて、犬の遊び好き度を犬種グループごとに分析。

アメリカンケネルクラブの犬種グループは、牧畜犬種のハーディング、作業犬種のワーキング、獣猟犬種のハウンド、非鳥猟犬種のノンスポーティング、鳥猟犬種のスポーティング、テリア犬種のテリア、愛玩犬種のトイの7つです。

犬のメンタリティ評価テストでは「犬と飼い主がおもちゃで遊ぶ」「飼い主とテスト管理者がおもちゃを投げ合って犬の興味を引く」「犬が遊んでいるおもちゃを取って綱引きに誘う」などに対して、犬がおもちゃに対して見せる興味と遊び始める早さによって遊び好き度が評価されます。これはこの研究の人間主導の遊び行動というテーマに沿うものです。

犬種グループごとの遊び好き度

ボールで遊ぶシェルティ

膨大なデータを分析した結果、人間主導での遊び行動は犬種グループによって明確な違いが見られました。

犬種グループごとの遊び好き度を順位付けすると、上位から以下のようになりました。
1. スポーティンググループ(レトリーバー、ウォータードッグなど)
2. ハーディンググループ(コリー、シェパードなど)
3. テリアグループ(小型獣猟用の猟犬としてのテリア)
4. ハウンドグループ(サイトハウンド、ビーグルなど)
5. ワーキンググループ(マウンテンドッグ、ハスキーなど)
6. ノンスポーティンググループ(ブルドッグ、ダルメシアンなど)
7. トイグループ(チワワ、シーズー、パグなど)

人間と協力しあって作業をする犬種が上位にあることがわかります。人間の出すキューを積極的に理解して協力しようとする犬が選択的に繁殖に使われて来たため、現在もそのグループの犬種が人間主導の遊び行動に積極的に参加するということが分かります。

上位2グループのスポーティングとハーディングの犬種は遊び好きであると同時に、訓練性のスコアも高く、これも選択繁殖による進化的関連を示しています。

3位〜5位にはあまり大きな差はなく、このグループの犬も遊び好きな傾向を示していました。

下位2グループのノンスポーティングとトイは上位のグループとははっきりと違う傾向を示していました。

この分析の結果は、人間主導の遊び行動が犬の家畜化の早い段階で役割を果たしていたことを示していると研究者は述べています。つまり人間と積極的に関わって遊ぼうとする犬を選択して家畜化して行き、その後も犬の使役目的に沿った性質を持つ個体を選択して繁殖に使用していったことで、人間と一緒に仕事をする犬種は遊び好きな傾向が強いということでしょう。

まとめ

様々な犬種の犬たち

犬の遊び好き度と犬種グループを組み合わせてその傾向を分析した結果、スポーティングとハーディンググループの犬は特に遊び好き傾向が強く、反対にトイグループの犬はその傾向が低かったという研究をご紹介しました。

ここでの遊び行動は人間主導という点がポイントで、犬同士の遊び行動はまた違うものだそうです。

人間に協力して仕事をする犬を選択的に繁殖して来た結果、人間と働く犬は人間と遊ぶことが好きというわけですね。

トイグループやノンスポーティングの愛玩犬の中には、かつては畑は倉庫に放してネズミ捕りの仕事をしたり、寒い地域で人間の懐に入って温めることが仕事だった犬種もあります。このような犬種にとって人間と遊ぶことは全く重要ではなかったため、そのような性格特性は繁殖において重視されなかったことが今回の調査結果にも現れているのかもしれません。

現代のペットの犬たちは、元々の使役目的やサイズに関わらず愛玩犬として暮らしている例が多数派です。しかし愛犬の元々のルーツからどんな行動が性格特性に合っているのかを知り、実行することの大切さがこの研究結果から伺えます。

《参考URL》
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2020.0366

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