1. 皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
犬の皮膚の状態でわかる危険な病気には「皮膚糸状菌症」があります。
糸状菌はカビの一種です。免疫力が十分に備わっていない子犬、免疫力が低下する高齢の犬に発症することが多くありますがあらゆる年齢の犬で発症します。
また、他の病気の治療で投薬を行っている若い成犬にも発症することがあります。
主な症状
- 皮膚が赤くなる
- 脱毛する
- 異常に痒がる(細菌が二次感染した場合。真菌感染のみでは痒みは軽度)
- 大量のフケが出る
病院に行くかの判断方法
皮膚が少し赤い程度では判断が難しいですが、脱毛・異常な痒み・大量のフケの症状がある場合にはすぐに病院に連れて行くと判断してください。悪化する前に治療を始めなければなりません。
ほとんどの場合、完治するまで長期の治療が必要です。症状が軽度な場合にも数ヶ月かかることがあります。
2. マラセチア皮膚炎
犬の皮膚の状態でわかる危険な病気には「マラセチア皮膚炎」があります。
マラセチアはカビの一種です。真菌と呼ばれるもので全ての犬の皮膚に常在しています。皮膚や体の状態が健康であれば感染することはほぼありません。
しかし、皮膚のバリア機能が低下した時、体全体の免疫力が低下した時、他の皮膚病に感染している時など、マラセチアが異常繁殖を起こして感染することがあります。
主な症状
- 皮膚がベタベタする
- 大量の湿ったフケが出る
- 脱毛する
- 異常に痒がる
- 皮膚から独特で異常なニオイがする
病院に行くかの判断方法
主な症状にひとつでも当てはまる場合には、すぐに病院に連れて行くと判断してください。
マラセチアは犬の皮膚から分泌される皮脂を栄養源として繁殖します。皮膚がベタベタしていると気づいた時には、すでに病気の状態も悪化しています。
犬の体臭とは違い、明らかな異常なニオイも確認できるはずです。
3. 膿皮症(のうひしょう)
犬の皮膚の状態でわかる危険な病気には「膿皮症」があります。
犬の皮膚病の中では最も感染する犬が多いです。ブドウ球菌という犬の皮膚に常在している菌が皮膚に侵入し、繁殖することで感染します。
発症しやすい犬種はいますが全ての犬種に起こり得る病気で、皮膚のバリア機能が低下した時、体全体の免疫力が低下した時、内分泌系の疾患のある時に感染しやすいです。
また、間違ったブラッシングやスキンケアによって皮膚を傷つけてしまい、感染することもあります。
主な症状
- 皮膚に赤いポツポツとした湿疹が出る
- 異常に痒がる
- 大量のフケが出る
- 抜け毛が増える
- 黒いかさぶたができる
病院に行くかの判断方法
感染する犬は多いですが、膿皮症であるかどうかの判断は飼い主には難しいです。皮膚に赤みや湿疹がなくても、異常に痒がる様子である時は病院へ行ってください。
基本的には内服薬(抗生物質や痒み止めの薬)やドッグフードによる治療が行われますが、完治が難しいケースもあります。
皮膚の浅い場所への感染であれば1カ月程度、皮膚の深い場所への感染であれば3カ月程度、長期の治療が必要になることがあります。
早期発見と早期治療が行われれば、数週間で完治する場合もあります。
4. 疥癬(かいせん)
犬の皮膚の状態でわかる危険な病気には「疥癬」があります。
ヒゼンダニと呼ばれるダニの一種に感染することで発症する病気です。ヒゼンダニは肉眼で確認することができないほど小さなダニです。
ノミやマダニを予防するための薬の中には疥癬に効果があるものもあります。かかりつけの獣医師によく相談して選びましょう。
主な症状
- 異常に痒がる
- 痒みによって眠ることができない
- 皮膚に赤いポツポツとした湿疹が出る
- 飼い主にも赤みや湿疹や痒みの症状が出る
ヒゼンダニは犬にも人にも感染します。愛犬の皮膚に症状が起きた時には、おそらく同じ空間で生活している飼い主の皮膚にも、なんらかの異常や症状がすでに起きているはずです。
病院に行くかの判断方法
ヒゼンダニは肉眼では見えません。夜も眠れないほどの痒みが起こる前に軽度の痒みであるうちに病院へ行ってください。
感染した犬だけではなく、同居する犬にも予防が必要な病気です。再感染することや感染が拡大することを防がなければなりません。
まとめ
犬の皮膚の状態でわかる危険な病気を4つご紹介しましたが、犬の皮膚病は根治が難しい病気も多く、一生苦しみ続けなければならないことがあります。
小さな症状や異変にも気づいてあげることができるよう、愛犬の皮膚を毎日チェックする習慣があると良いです。