犬は飼い主の顔を認識している?そもそも人の顔を覚えるの?

犬は飼い主の顔を認識している?そもそも人の顔を覚えるの?

犬は嗅覚や聴覚が特に鋭く、視覚は人と比べるとあまり良くないことが知られています。そのため、犬は飼い主の顔をあまりはっきりと識別できていないと思われてきました。しかし、最近の研究から、犬は飼い主の顔をきちんと認識していることが分かってきました。犬が人をどのように認識しているのかについて整理しました。

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犬は人の顔を識別できるのか

犬の目のアップ

犬の嗅覚は、においの種類により人の数千倍〜1億倍程度の感度、また人の平均的な聴力が約20〜20,000ヘルツであるのに対し、犬の場合は約40〜65,000ヘルツであると言われています。しかし、視力は0.3程度の近視で、色もあまり認識できないことが分かっています。

そのため、今まで犬は飼い主のことをにおいや音で認識し、視覚的には全体のシルエット程度でしか判断できず、顔は重要な識別対象ではないと思われてきました。

しかし最近は犬に関する研究も多く行われるようになり、犬が飼い主の顔を認識していることが分かってきました。

犬が人の顔を認識できると分かった実験結果

顔写真で飼い主を認識する能力の実験

アイコンタクトする犬

フィンランドのヘルシンキ大学で行われた実験を紹介します。

よくソフトウェアのユーザーインターフェースの改善等に利用されるアイトラッキングという視線の経路や滞留時間を測る技術を使用して、犬が人の顔を認識する能力を測る実験を行いました。

実験方法は、スクリーンに顔写真を映し、それを見る犬の視線を追跡するというものです。スクリーンに映す顔は、飼い主の顔と、知らない人の顔です。

飼い主の顔の場合、目の部分をまっすぐに見つめる傾向が強く見られましたが、知らない人の顔は視線が固定されずに顔中を動き回ることが分かりました。

これらの結果から、「犬は写真でも人の顔を認識できる」ことが分かりました。

マスクで顔を隠した人を認識する能力の実験

マスクした飼い主と犬

イタリアのパドヴァ大学の実験もご紹介しましょう。

部屋の中に犬を入れ、そこに飼い主と見知らぬ人を交互に登場させ、それぞれ別のドアから部屋を出ていかせて犬の反応を調べるという実験です。実験は、通常の状態とマスクで顔を隠した状態の2パターンで行いました。

通常の状態では、知らない人よりも飼い主の動きや顔を見ている時間が長く、飼い主が出て行ったドアに近づく行動も多く見られました。マスクで顔を隠した状態では、飼い主を見つめる時間が短くなったり飼い主が出て行ったドアに近づく回数が減ったりしました。

この結果から「犬は顔が見えないことで、それが飼い主だと認識しづらくなる」と判断できます。

聴覚による認識に関する実験

犬が聴覚によって飼い主を認識していることを確認できた実験として、京都大学で行われた2つの実験をご紹介します。

飼い主の声への反応に関する実験

犬の耳のアップ

飼い主と飼い主以外の人の、声の録音データと写真を用意します。それらを、下記の組み合わせで犬に提示します。

  • 飼い主の姿と飼い主の声
  • 飼い主の姿と飼い主以外の声
  • 飼い主以外の姿と飼い主の声
  • 飼い主以外の姿と飼い主以外の声

飼い主の姿と声が一致していないパターンの時は、一致しているパターンの時と比べて犬がスクリーンを不思議そうに見つめる時間が長いという結果になりました。

この結果から「飼い主以外の人間から飼い主の声がすることに違和感を感じている」と判断できます。つまり、犬は飼い主の姿と声の双方を認識していたということになります。

飼い主の足音認識を確認した実験

耳を澄ます犬

この実験では、部屋の中に犬だけを入れ、飼い主と知らない人それぞれに部屋の外を2往復してもらった足音を聞かせ、次の組み合わせで反応を調べました。
a)知らない人の足音の後、知らない人が部屋に入る
b)知らない人の足音の後、飼い主が部屋に入る
c)飼い主の足音の後、飼い主が部屋に入る
d)飼い主の足音の後、知らない人が部屋に入る

b)の時に犬が見つめていた時間は、a)の時よりも平均で約2割長くなりました。c)d)の場合は、どちらも見つめる時間にほとんど差はありませんでした。

この結果から、犬は足音でも飼い主を認識でき「知らない人だと思ったのに飼い主が入ってきたので驚いて長く見つめた」、「飼い主だと思ったのに知らない人が入ってきたので驚いた結果、好きな飼い主と同じくらい長く見つめてしまった」と判断できます。

人の感情も認識できる

人に寄り添う犬

最後に、犬は人の感情も認識できると考えられる実験をご紹介しましょう。ハンガリー大学で行われた実験です。

犬に人の笑い声や楽しい時の声を聞かせたところ、犬の脳の聴覚野の活動が活発になり、ネガティブな声を聞かせたところ、活動が低下しました。

この脳の聴覚野が示した反応は、人の脳の反応ととても良く似ていることから、犬も人の声によって感情を読み取れると考えられています。

まとめ

Family

犬の視力は人の0.3程度の近視で、飼い主の顔はボンヤリとしか見えていないはずなのですが、ちゃんと顔でも見分けていることが分かりました。経験則も含めると、犬は飼い主を嗅覚、聴覚、視覚で認識しているということになります。しかも、声の調子で感情も読み取れることが分かりました。

こういったことを応用すると、愛犬がより安心できる住環境を整え、余計なストレスを与えないように工夫することができそうです。部屋に入るときにはマスクを外し、苛立っている時には話しかけないことから始めてみようかと思います。

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