犬にもある好きなニオイ、嫌いなニオイ
犬の嗅覚がとても優れていることは、すでにご存知の方が多いと思います。一般的には人の百万倍と言われていますが、犬にとって興味のあるものからないものまでの感度を考慮すると、人の1000倍〜1億倍と、実際にはかなりの幅があるのだそうです。
いずれにしろ、人よりもずっと敏感な嗅覚をしていますので、人にとって刺激的なニオイは犬にとってはものすごく刺激的なニオイだと考えて間違い無いでしょう。また人にとっては「良い香り」でも、犬にとっては苦手なニオイかもしれません。
飼い主さんが無意識にニオイで愛犬にストレスを与えてしまっては、双方にとって不幸な結果になってしまいます。そこで、今回は犬にとって一般的に好きなニオイ、嫌いなニオイを整理したいと思います。
好きなニオイ
まず基本として押さえておきたいのは、犬は有機物のニオイを好むということです。有機物とは、動物や植物の体を構成している物質です。元々肉食だった犬にとって、有機物のニオイは、そのまま獲物のニオイということなので、当然と言えば当然でしょう。
1.飼い主や群れの仲間の体臭
飼い主のニオイや一緒に暮らしている家族、仲間の体臭は、犬にとって好ましいニオイです。一緒にいて安心できる仲間だと認識するために大きな指標となるのが、飼い主や家族、一緒に暮らす仲間たちの体臭です。
2.食べ物のニオイ
当然ですが、食べ物のニオイも犬にとって好ましいニオイです。普段食べているフードのニオイは「安全な食べ物なので安心して食べても大丈夫」という目印になります。逆に、初めて出されたフードはニオイを嗅いで警戒してしまうかもしれません。フードを切り替える時にはいきなり全部を取り替えてしまうのではなく、少しずつ混ぜてニオイに慣らしていくようにすると良いでしょう。
3.獲物となる動物の体臭や血液、体液のニオイ
前述の通り、犬は元々獲物を自力で狩って得た獲物を食べる肉食動物でした。そのため、新鮮な肉や魚、血液や体液のニオイも好ましいニオイです。また、ミミズも良質なタンパク質を含んでいるため、犬にとっては高級なニオイに感じるようです。
4.他の犬の排泄物のニオイ
便の中に含まれている有機物や尿に含まれているアンモニア臭も、犬にとってはとても好ましいニオイです。そのため、他の動物の排泄物にも犬は強く反応します。
嫌いなニオイ
次は、犬の嫌いなニオイです。基本的には、強い刺激的なニオイを嫌う傾向があります。特に鼻にツンとくるような刺激臭は苦手なようです。
5.鼻をつくような刺激臭
お酢、唐辛子、胡椒・山椒・八角などの香辛料といった、鼻にツンとくるような刺激臭や強い刺激臭は苦手と感じるようです。
6.タバコ、アルコールのニオイ
タバコやアルコールのニオイも、苦手とする犬が多いです。タバコの煙でむせてしまう犬もいるようですし、アルコールのニオイを嗅いだだけでフラフラと酔ったようになってしまう犬もいるようなので、注意してください。特にタバコは犬にも副流煙による実害がありますし、アルコールも口にしてしまうと健康を害してしまいますので、ニオイだけでなく取り扱いには注意が必要です。
7.化学物質
かゆみ止めや殺虫剤、メンソール系の消炎剤、湿布などの薬品やマニキュア、香水などは、犬が嫌うニオイです。マニキュアは成分として含まれている揮発性溶剤が刺激の元となっているようです。また香水も、人にとっては良い香りでも、犬にとっては自然界には無いニオイなので警戒してしまい、攻撃的な行動に出ることもあるので注意が必要です。
8.柑橘系のニオイ
意外かもしれませんが、柑橘系のニオイも犬には刺激が強いようです。柑橘系の香りが付いている消臭剤や制汗剤などを好んで使われる方が多いですが、愛犬の反応をよく観察して使用するか否かを判断した方が良いでしょう。
まとめ
犬の好きなニオイ、嫌いなニオイを把握しておくと、愛犬に余計なストレスをかけることがなくなります。また、香水や化粧品の香りが強めの方と接する時には、愛犬が攻撃的な行動に出ないように警戒することもできるでしょう。
さらに、して欲しくないことをさせないようにトレーニングする際に、嫌いなニオイで安全なもの(薄めたお酢など)を上手に活用することもできるようになるでしょう。