犬の『しつけ』と『虐待』の違いとは?
「犬のしつけ」とは?
私は、犬のしつけに関してはプロでも専門家でもないので、私なりの「犬のしつけ」について述べさせていただきます。
まず、私は「犬のしつけ」とは、人と暮らすために必要最小限のルールを犬に教えることだと考えています。人に迷惑をかけないこと、居住空間を汚さないことなどを踏まえて、「犬のしつけ」を上げると3点のみに絞られます。
- 排泄のルールを教える
- 決して人を噛んではいけないこと
- 「マテ」「オイデ」「ハウス」を教えること
以上が「犬のしつけ」として絶対に必要な項目ではないでしょうか。
「犬への虐待」とは?
「虐待」とは、辞書によると「繰り返し、あるいは習慣的に暴力をふるったり、冷酷、冷淡な接し方をしたりすること」とあります。棒で叩く、蹴る、などの暴力は犬の体に大きなダメージを与えます。
そして、「冷酷、冷淡な接し方」とありますが、これは犬をただの「動物」としか思っていない人には理解し難いことかも知れません。
「犬に人間の心や言葉など理解できるはずがない」と思い込んでいるような人間には、どれほど犬が人間を深く信頼し、慕う動物なのかなど思い至らないので、平気で犬の感情を踏みつけ、犬の心を深く傷つけていることの自覚もありません。
「犬のしつけ」と「虐待」の違い
「しつけ」は犬を理解し、犬と一緒に暮らすために犬を教育するものです。「虐待」は、犬を理解せず、人間側の感情のまま行動し、その結果犬の心と体を深く傷つけることだと思います。
これはしつけ?虐待?犬をしつけるときの絶対NG行為とは
体罰
飼い主さんの指示に従わない、飼い主さんに対して反抗的な態度を見せるなどの理由で犬を棒で叩いたり、犬の体を蹴ったりするのは「体罰」です。飼い主さんの指示に従わなかったり、反抗的な態度をとったりするのは、犬が飼い主さんを信頼していないからです。
「しつけ」をするのであれば、食事を与え、排泄の世話をし、優しい言葉をかけて、愛犬から信頼されるようになってから「できないことを叱る」のではなく、「できたことを褒める」という手法で根気よく行うべきです。
ごはん抜き
異物を食べたり、食べ過ぎて体調を崩したりしたときなど、獣医さんに指示された上で絶食するのなら問題はありません。けれども、飼い主さんの指示に従わなかったからと言って、バツとして愛犬のごはんを与えない「ごはん抜きの刑」は虐待です。
なぜなら、犬には行動の良し悪しについてその場、その場で理解させ、「叱られた記憶」と「褒められた記憶」を鮮明に残さなければ意味がないからです。
監禁、係留
飼い主さんの指示に従わず、人を噛もうとしたり、いたずらがひどかったりしたときにクレートの中に閉じ込めてしまったり、鎖で自由を制限したりしてしまうのも、「NG行為」です。身体的苦痛はなくても、「悪いことをしたから閉じ込められた」というふうに犬が理解してしまうと、クレートに入ることは「罰を与えられていること」だと勘違いします。
そうなると、本来、愛犬の身を守るために必要な「ハウストレーニング」の妨げになります。また、一時的なことでなく、食事を与えるだけで散歩にも連れて行かずにずっと檻などの中に監禁して犬を飼育するのは、犬にとっては虐待です。
放置
「育児放棄」「飼育放棄」という言葉があるように、犬を家の外でずっと係留し、全く関心を払わないのは明らかに虐待です。
「いうことを聞かないから無視」というしつけの方法がありますが、それはあくまでも一時的なもので、愛犬と飼い主さんの間に濃厚な信頼関係があってこそ、効果が期待できる「犬のしつけ」の方法です。ですが、日常的に愛犬に関心を払わず、健康状態や衛生状態に無関心なのは、「虐待」と言えます。
正しい知識を身に着けよう
犬の「しつけ」の必要性について
私たち人間は、「人間社会」の中で生きています。その中には様々なルールがあります。例えば、「お金を払って物を買う」というのもルールの一つです。いろいろな複雑なルールがある人間社会の中で「犬を飼う」ということは、その人間社会のルールを知り、守らなければいけません。
人を噛んだり、吠えかかったりして恐怖を感じさせると、その地域社会の中でトラブルが起こり、犬を飼っているために地域社会からはじき出されたり、周辺の住民から嫌悪されたり、畏怖されます。
そんな状況にならないよう、犬を飼って「飼い主」となった人は、犬を飼っている人も飼っていない人も等しく、快適に日常生活が送れる社会で生きていくために、飼い主さんは自分の愛犬をしつける必要があるのです。
犬に「しつけ」を行うときの飼い主の心得
まず、ネットや本などで最新の情報を収集しましょう。犬のしつけの方法は、日進月歩しています。そして、愛犬快適で幸せに暮らすために必要なことを愛犬に教える過程で、より深く愛犬との信頼関係を築けるように心がけて、決して焦らず根気よく続けましょう。
犬の喜怒哀楽を理解する。飼い主さんの喜怒哀楽に興味を持たせる
愛犬にしつけをする際、一番大切なのは愛犬からの信頼です。何をすれば嬉しいか、何をすれば落ち込むかを、しっかり観察しましょう。そして、愛犬の喜怒哀楽がわかれば「飼い主さんは自分を理解してくれている」と犬が理解するということは、それだけ深い信頼感を得たことになります。
そして、愛犬にも飼い主さんの喜怒哀楽に興味を持たせるように、一緒に遊ぶときは心からその時間を楽しむ様子を見せます。
愛犬が「この人が喜んでいると自分も嬉しい」と感じさせることができれば、愛犬は飼い主さんを喜ばせたくて「しつけ」の時間に飼い主さんの期待にこたえようと頑張ってくれるはずです。
できないことを責めるのではなく、できたことを褒める
飼い主さんが熱心にしつけをしようと頑張ってもなかなかうまくいかないときもあります。そんなときに声を荒らげて叱っても、なんの意味もありません。
まとめ
犬には鋭い牙と強靭な顎があり、私たちよりもはるかに発達した筋力を持っています。ですから、どんなに小さな犬であろうと本気で私たちに敵意をもって攻撃してきたら、私たちは大きなダメージを受けるでしょう。
また、体重が10キロ以上の犬なら、私たちの命を奪うことすらできるはずです。にも係らず、犬は私たち人間を愛し、家族として慕ってくれます。
たとえ、一年中家の外に繋がれ、一日二回食事のときにだけ飼い主さんと顔を合わせて、散歩に出ても排泄が終わればすぐにまた鎖に繋がれるような扱いを受けていても、犬は飼い主を慕い、愛します。
ほかの人が手を差し伸べても、飼い主を裏切るようなことはしません。自分は飼い主さんから愛されていることを疑わず、自分よりも幸せに暮らしているほかの犬を妬んだりもしません。
犬がどれほど深く強く人間を愛する動物かを知らず、傲慢にも「しつけ」と言う都合の良い言葉を使って愛犬を虐げるような人には、犬を飼う資格はありません。犬をしつけるために犬の習性や具体的な犬との接し方を学ぶことはとても大切です。
けれども、それよりもまず、大切なのは「犬を愛するために飼い主として何を心掛けるべきか」ということを知ることではないでしょうか。
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20代 男性 匿名