犬は昔会った人を覚えているのか?
久しぶりに会った犬が、自分のことを覚えていてくれたような様子を見せてくれるとうれしくなりますよね。では、犬は昔会ったことのある人をいつまで覚えているのでしょうか?
犬と言葉で確認を取ることができないため、正確なことははっきりとわかりませんが、何年も前に会った人のことを犬が覚えていると思われるようなエピソードは世界中で語られています。
日本のテレビ番組などでも、盲導犬が子犬の頃に約1年一緒に暮らして育ててもらったパピーウォーカーのことを覚えているような様子が取り上げられることなどもあります。
盲導犬は1歳になるまでは一般家庭の中で愛情いっぱいに育てられ、その後盲導犬の適正テストを受けて合格すれば訓練がスタートします。その後長ければ10歳程度まで、視覚障害を持つユーザーの元で仕事をします。
10年経ち、引退した後にパピーウォーカーさんと再会したとき、尻尾をぶんぶんと振って大喜びして近づいていく様子を見たときに、確実に相手のことを覚えているのだと感じました。
強い感情やにおいを伴う記憶は長く残る
犬の記憶力はあまり良くないと言われることがあります。犬の記憶にはいくつかの種類があり、直前に起きたことを記憶しておく「短期記憶」は、確かに犬の場合数秒~数十秒程度と非常に短い時間でなくなってしまいます。
そのため、数分前にしたいたずらを叱っても、犬自身はそれを覚えていないため叱られる意味がわからないということがあります。犬を叱るのは“現行犯”でなければ効果がない、と言われるのはこのようなことが理由となっています。
しかし、「長期記憶」や「エピソード記憶」と呼ばれるものは、非常に長期間覚えていて、一生忘れることがないとも考えられています。これは、単純に行動やできごとを記憶するのではなく、自分の感情や五感による感覚を伴って記憶することで、頭の中に強く残るとされているのです。
特に大好きなおもちゃで遊んで「楽しかった記憶」のある公園や、痛い思いをして「つらかった記憶」のある病院など、犬自身の感情が強く残っている場所や物、できごとに対しては記憶としても強く残ります。
また、五感の中でも特ににおいと記憶は結びつきやすいとされています。長年会っていなかった人でも、においを嗅いだ途端、記憶が戻って大喜びすることなどはめずらしいことではありません。
犬は『今』を大切に生きている動物である
感情を伴った記憶は残りやすいということは、過去に虐待などを受けてつらい思いをした犬にトラウマが残ることからもよくわかります。人に蹴られ続けた犬は人の足が動くことを怖がりますし、傘で殴られた経験のある犬は傘を見ると怯え出すこともあります。
そのため、保護施設などから犬を引き取るとき、いつまでも過去を忘れらないのではないかと心配になる人も多いと思います。確かに、トラウマというものは簡単には消えませんが、犬は人間とは違い、自ら過去を振り返るような思考はしないと考えられています。
もちろん、未来を想像したりすることもないでしょう。つまり、犬は「今」をとても大切に生きているということになります。
トラウマがある犬でも、「今」新しい飼い主さんに大切に扱われて、家が安心できる場所だと確信できればトラウマが上書きされて、楽しく幸せに生きていくことができます。
トラウマが強いほど、その感情を上書きするには時間がかかるかもしれませんが、あきらめずに穏やかに接し続けることでいつか必ず犬の気持ちに変化があらわれます。
まとめ
犬は私たちが思っている以上に、過去に出会った人のことを記憶しています。特に、何らかの感情を伴っている場合やにおいを覚えている場合には、より強く、長く記憶が残ると考えられています。
昔少しの間でも楽しい時間を一緒に過ごした相手のことを、いつまでも覚えていてくれると考えると、犬というのはとても愛おしいものですね。幸せが記憶が長く残り続けるように、日頃から愛情を持って接するようにしましょう。
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20代 男性 匿名