犬が興奮する原因とは?
警戒
「警戒」の意識をもって興奮している時の犬は、非常に攻撃的になっていて、背中の毛が逆立ち、全身に力が入っていて、普段よりもずっと力強く、素早く動きます。一瞬の隙をついて相手に噛みついたり、飛び掛かったりすると、相手の犬や人に大怪我を負わせることも十分にあり得ます。
徐々に興奮してくる場合もあれば、犬同士で当たり障りなく挨拶していた途中に、いきなり「キレた」ように一気に興奮状態になる場合もあり、何に対して警戒し、どんなタイミングで「キレ」て興奮状態に入るかは、一頭一頭違うので飼い主さんが見極めるしかありません。
特に怖がりだったり、内弁慶気味な犬は興奮しやすく、家では穏やかで大人しいからと言って安心は出来ません。
また、一見体重が5キロを超える大きさの犬は女性でも制御出来ると思いがちですが、興奮した犬が瞬発的に出す力を見くびってはいけません。飼い主さんの腕の関節が傷むこともあれば、無理に愛犬の動きを制御しようとしたせいで、愛犬の喉や足、腰の関節にダメージを与えてしまう恐れもあります。
歓喜
喜怒哀楽が明確にわかることも、犬の魅力の一つだと思います。「うれしい」という感情を自分の心の中に留めておくことが出来ません。
しっかりと訓練された警察犬や盲導犬と言った使役犬でさえ、仕事から解放されると「うれしいこと」は嬉しい、「楽しいこと」は楽しい、とその感情に体を任せることもあるそうです。それほど、犬は「うれしいこと、たのしいこと」があったら、その感情が弾けるままに体も動いてしまうのでしょう。
興奮する犬を落ち着かせる方法3選!
1.「まて」と強めに指示を出す
普段、なんの問題もない落ち着いた状態なら飼い主さんの「まて」の指示にきちんと従えても、我を忘れるほど興奮している時には飼い主さんの「まて」の声も愛犬の耳に届かないこともあると思います。
特に、「歓喜」の場合よりも「警戒」の場合は愛犬の感情の動きは、本能による衝動ともいえるので、よほど飼い主さんの存在が愛犬に大きな影響を与えていなければ、愛犬を制御するのは難しいでしょう。
ですから、愛犬が興奮している時に出す「まて」の指示は、大きな声で低く、毅然と短く言い放ち、「まて」の指示に愛犬が従えるように、リードもしっかりと引き、愛犬の動きを制します。
2.その場から素早く立ち去る
どうしても、愛犬の興奮状態が収まらないのであれば、その場から出来る限り早く立ち去りましょう。その間、愛犬に言葉をかけてはいけません。
3.飼い主さんが落ち着いて行動する
興奮した犬に飼い主さんが取り乱し、「座って!やめなさい!待って!」などやみくもに言葉を発すると、犬は意味が分からず混乱し、興奮状態が落ち着くまでますます時間がかかってしまいます。また、飼い主さんのそのような行動は、愛犬にとって「いいこと」なのか「してはいけないこと」なのかの判断ができません。
ですから、愛犬が興奮しているのなら、逆に飼い主さんは腹を据えて「その行動は良くない」と愛犬が理解するよう、落ち着いて指示を出したり、その場を静かに立ち去ると言った対処ができるようにしましょう。
やってはいけない間違い行動は?
甲高い声を出し、犬に理解出来ない言葉で指示を出す
愛犬と遊んでいるときや褒めるときには優しい声を出す飼い主さんは多いと思います。その時と同じ声の高さや口調で愛犬の行動を制御しようとしても、興奮している状態の愛犬には飼い主さんの意図は通じません。
また、興奮状態の愛犬に飼い主さんも動揺して「こら!黙って!やめなさい!どうしていうことを聞けないの!」と普段、愛犬に対して指示を出す時に使わない言葉を使っても、愛犬には意味が分かりません。
叩く、蹴るなどの体罰
愛犬の行動を制御するときに、叩いたり、蹴ったりと言った体罰を与えるような人に犬と暮らす資格はありません。
どうしても、叩いたり、蹴ったりしなければ飼い主さんの指示に従わないのなら、それは、飼い主さんのトレーニングの仕方がそもそも間違っていたのです。早急にその悪循環を断つために、犬の訓練士やドッグトレーナーの指導を受けるべきです。
犬が指示に従ったのに褒めない
愛犬が飼い主さんの指示に従い、落ち着いてもそのことを褒めなければ、愛犬は「いう通りにしたのに、なにもご褒美がない」という記憶が残ります。つまり、「がっかりした」という経験の記憶が残ると、もうがっかりしたくないと考えます。そうすると、愛犬は飼い主さんの指示に従わなくなります。
ですから、しっかりと愛犬に指示を理解させ、その指示に従わせたいのなら、愛犬には「褒められて嬉しかった」という体験の記憶をたくさん、かつ、深く記憶に残してあげることがとても重要になります。
タイミングよく的確に褒めること、あるいは逆に叱ることが出来れば、愛犬は何をしたら褒められて、何をしたら叱られるのかをしっかりと学びます。
ですから、愛犬が飼い主さんの指示に従ったのに、褒めないということは、愛犬の行動にも愛犬の心の成長にも全く関心がないのと同じです。愛情があるのなら、愛犬の行動にしっかりと関心を持ち、褒めるべき時は心から褒め、叱るときは毅然と叱るようにしましょう。
まとめ
世の中の人が動物好きなワケではありません。例え、犬に悪意も敵意もなくても、犬の吠える声だけで恐怖を感じる人もいます。また、犬が興奮した時には逸走したり、飼い主さんが引きずられて昏倒したりするトラブルになることもあり、犬の興奮状態を放置して良いことなどなにもありません。
犬が興奮するときは、嬉しすぎて我を忘れてしまう場合もありますし、威嚇するために興奮する場合もあります。もちろん、そういった愛犬が興奮する理由を知ることもとても大切です。
それと同時に、飼い主としてどうすれば愛犬の興奮を鎮められるか、また、興奮することを予想し、いかにそれを回避するか、その術を知り、身につけておきましょう。