心理①ほかのことに夢中になっている
犬の名前を呼んでも、全く反応してくれなかったり、気がついているのにこちらに寄って来ないというときには、何か別のことに夢中になっていることがあります。おもちゃを夢中で噛んでいたり、窓の外の景色に気を取られていたりするときによくそのようなことが見られます。
私たち人間も同じですが、何かに強く集中しすぎるとその時に使っているもの以外の五感が鈍ることがあります。一見何もしていないように見えても、私たちが気がつかないような小さな音を聞き取ろうとしていたり、においを感じていたりすることもあります。
呼びかけに反応しないときは犬の行動や目線、姿勢などに注意して観察してほかのことに気を取られていないか確認してみてください。もしそうであれば、拍手をして少し大きな音を立てて注目を集めてから再度呼びかけたり、近くまで行ってトントンと体に触れてみたりすると気がつきやすいでしょう。
心理②嫌なことが起こると感じている
名前を呼ぶ声が明らかに聞こえているのに、わざと無視しているときには犬が「行くと嫌なことが起こる」と感じているのかもしれません。
過去に、名前を呼ばれて近づいてみたら苦手な歯ブラシや爪切りをされた経験があったり、ケージなどに閉じ込められたりと嫌な経験をしたことがある犬はこのような心理が働いている可能性があります。
名前を呼んだときに必ず反応してもらいたいと考えるのであれば、犬が苦手なケアなどをする場合に名前で呼び寄せないようにするといいでしょう。苦手をなくすトレーニングをするとともに、必要なときには無言で抱きかかえて連れて来るなどの対応をしましょう。
また、名前を呼んで叱ることが多い場合にも、呼びかけを無視しやすくなるので気をつけてください。
心理③反応する必要がないと思っている
犬の名前は、呼びかけのとき以外にも使われることが少なくありません。家族の間で愛犬の話をするときに「今日〇〇と病院に行ったよ」「〇〇は本当にかわいいよね」など、自然と名前を出していることが多いと思います。
犬は自分の名前が出ると最初のうちは反応して、飼い主さんの方を見たり近寄ったりします。しかし、ただ会話の中に自分の名前が出ているだけの場合、「呼ばれているわけでない」ということに気がつきます。
そうしたことをくり返すことで、自分の名前が聞こえたからといって必ずしも自分に関係があるわけではないと学習するのです。また、呼ばれて行ってみても特にうれしいことがなかった経験をくり返すと「眠いから面倒くさい、行くメリットがない」と感じるようになる場合もあるでしょう。
心理④本当に聞こえていない可能性も
今まではしっかりと名前の呼びかけに対して反応していたのに、だんだん反応しなくなってきたという場合や突然反応しなくなったという場合には、身体的なトラブルが影響している可能性もあります。
外耳炎や腫瘍など耳の病気にかかったことで聞こえが悪くなることもありますし、年齢を重ねることで老化現象として耳が遠くなることもあります。
特に犬は五感の中でも聴覚から衰えやすいと言われているので、10歳前後の犬でも耳の聞こえが悪くなる可能性が考えられます。あまりにも呼びかけへの反応が悪いときなどには、一度耳の中をチェックしたり、聞こえの状態をしっかり確認してみるといいでしょう。
まとめ
名前を呼ぶと一目散に走ってきてくれる愛犬の姿はとても愛おしいものです。しかし、一緒に生活をする中で、犬もさまざまな経験を積み、次第に名前への反応が悪くなることもあります。
遊びに夢中になっていて気がつかなったり、老化現象などで単純に聞こえなくなったりすることもありますが、「名前を呼ばれて行ってみると嫌なことをされた」「名前に反応しても特にいいことがなかった」といった経験から反応しなくなることも。
犬の名前への反応が悪いときには、一度日頃の関わり方や名前の呼び方などを再確認してみましょう。犬にとって「反応する必要がない」と思われるような接し方をしていないか確認し、犬が名前を呼ばれることを楽しみにような関わりをするように心がけましょう。