新ジャンルの探知犬
探知犬と聞いて浮かぶイメージは、麻薬や爆発物または昨今特に注目されているガンやCOVID19のような病気を探知する犬たちが主なものでしょう。
アメリカのテキサス工科大学の研究者がバージニア工科大学の研究者と共同で、農作物に害を及ぼす害虫や病原体を探知する犬の能力をテストするプロジェクトを立ち上げたと発表しました。農家に莫大な損害をもたらす害虫や病気を探知して検出するための犬の基本的な能力を調査して農業探知犬実用化を検討するためです、
テキサス工科大学の研究者はコンパニオンアニマル科学の助教授で、またイヌ嗅覚調査教育研究所の所長でもあります。
農業の様々な分野で活躍が期待される探知犬
研究者が想定している農業探知犬の導入は、地元テキサスで成長を続けているワイン用ブドウ産業だそうです。
現在、ブドウの樹が侵されるウドンコ病、外来種で樹木を食い荒らすランタンフライ(ビワハゴロモ)などが問題となっており、これらを早期に発見して駆除することが求められているのですが、低コストで効果的な対策が見つかっていない状態です。
研究チームは犬のウドンコ病の病原体とランタンフライの卵の匂いを使用して、研究室内のコントロールされた条件下で犬がこれらの匂いを検出する能力を測定しました。
犬たちはスポーツとしてのノーズワークを通じて基本的な臭気探知の訓練済みです。
匂いの濃度は精密機器を使って正確に供給されます。供給する匂いの濃度を少しずつ低くしていって、犬が検出できる限界を測定して行きます。
研究室内での匂いの探知ができることが証明されれば、犬たちは野外で本物のブドウの樹や葉を使って訓練とテストを受けます。
農業探知犬を導入するメリット
研究者はワイン用のブドウ畑に探知犬を導入することに対して明るい観測を立てています。農家に犬を導入することは比較的簡単で莫大な投資も必要がありません。
この研究には米国農務省からの助成金が出ています。米国農務省の省内研究機関は柑橘類の農作物に被害を与える細菌性の病気の早期発見には探知犬が最も効果的で対費用効果が高いという論文を昨年発表しています。
このような背景もあるので、このたびの研究の探知犬たちも地元で活躍する日はそう遠くないかもしれません。
犬たちが農作物への脅威を早期発見できるようになれば農薬の使用を減らすのにも役立ちます。また植物の病原体や虫の卵を探知することは犬の身体への危険度は低く、広い農場での仕事は犬の福祉の面でも問題が少ないと考えられます。
まとめ
ワイン用ブドウの病気や害虫を検出するために探知犬が使えるかどうかをテストするプロジェクトが進められているというニュースをご紹介しました。
農業分野での探知犬はすでに実用化されている例もいくつかあります。柑橘類のカンキツグリーニング病、ミツバチの巣箱に広がる伝染病などの検出には探知犬が活躍しています。また農業ではありませんがチリのワインメーカーがワイン樽やコルクについた化合物を検出するのに探知犬が活躍している例もあります。
働く犬たちの福祉にも十分配慮をした上で、農家にも犬にもwin-winな農業探知犬が増えていけばいいなと思います。
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20代 男性 匿名