犬種のルーツがわかる、犬の遺伝子の新しい系統図が発表された!

犬種のルーツがわかる、犬の遺伝子の新しい系統図が発表された!

161犬種1346匹の犬のDNAを調べて、犬種のルーツや犬種間の遺伝子の関連を系統図にした研究結果が発表されました。あなたの愛犬の遺伝子の意外な秘密がわかるかもしれません。

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それぞれの犬種はいつ頃どんな風に育種されて来たか、どんな風に分類されるのかが明らかに

大勢の犬

アメリカの国立衛生研究所が、先ごろ犬の遺伝子研究からまとめたれた新しい系統図を発表しました。
現在、地球上には350種以上の犬種が有りますが、いつ頃どのようにそれぞれの犬種が存在するようになったかは明らかになっていませんでした。
アメリカ国立衛生研究所の研究チームは20年の歳月を費やし、世界各地から犬のDNAサンプルを取り寄せて遺伝子を解析することで犬種の出身地や犬種間の関係性を系統立てて分類し、新しい系統図を発表しました。
研究のために集められたサンプルは161犬種1346匹分。愛犬家にとっても興味深い結果をご紹介いたします。

犬の遺伝子からわかること

牧羊犬

15000〜30000年前、人間が犬を家畜として飼い始めたとされる頃から、人間は犬をその役割によって選択して来ました。
狩りの得意な犬、番犬として優秀な犬、家畜と共存して番が出来る犬、可愛らしい犬、それぞれに意識して選び、現在の育種の起源が始まりました。
そうして作られてきた犬種を遺伝子の共通性で分類すると、全部で23のグループに分けられたそうです。

分類を見てわかったことの中でも興味深いことのひとつは、牧畜犬やワーキンググループの犬など、同様の役割のために育種された犬種は、必ずしも同じ起源を共有するとは限らないということでした。
中でも顕著だったのは牧畜犬のグループです。シープドッグ、コーギー、コリーはどれも牧畜犬ですが、遺伝子のグループは別々の違うものです。
人間の生活に密接に関係する牧畜犬は、世界中の様々な場所で多くの回数に渡って選択的な繁殖が行われてきたため、同じ牧畜犬という役割であっても多様な遺伝子のグループが生まれたと考えられます。
また一口に牧畜犬と言っても世話をする動物が牛なのかヤギなのか羊なのかで求められる資質も違って来るので、その多様性も理にかなっています。猟犬の遺伝子の多様性も同じ理由です。

また、もう一つ。現代のほとんどの犬種の起源はヨーロッパまたはアジアであることはわかっているのですが、コロンブスが到着する以前のアメリカ大陸土着の犬の遺伝子は現在のアメリカの犬には見られません。
アメリカ大陸特有の犬はすでに消えてしまったと思われていたのですが、今回の研究でペルーのペルビアンヘアレスドッグとメキシコのメキシカンヘアレスドッグに、他の犬種では見られない共通する遺伝子が発見されました。
このことから、この2犬種はコロンブス以前のアメリカ大陸の犬の血を受け継いでいると考えられます。思わぬ所で発見されたその土地特有の歴史と遺産に、研究者たちも犬の遺伝子のロマンを感じたそうです。

遺伝子研究の役割

ボーダーコリー

遺伝子の共通性から23に分類された犬種グループですが、中には違うグループと一部共通する遺伝子を持っている場合もあります。これは犬種を作り上げる過程で、他の犬種の血を選択的に入れてきたことを示します。この「一部共通する遺伝子」が明らかになることで、遺伝病など医療の研究に役立つことが期待されます。

例えば『コリー眼異常(コリーアイ)』と呼ばれるコリー、ボーダーコリー、オーストラリアンシェパードに特有の遺伝疾患がありますが、この疾患はノヴァスコシアダックトーリングレトリバーにも現れることがあります。今回の研究の遺伝子解析で、このレトリバーには育種の過程でプラスされたと考えられるコリーまたはオーストラリアンシェパードと共通の遺伝子があることがわかりました。コリー眼異常の治療法は残念ながら確立されていませんが、遺伝子解析によって、より確実な予防につなげられます。また他の疾患に関しても、今まで知られていなかった犬種特有の罹り易さなどが分かれば予防や早期治療に役立てることができます。

まとめ

男性と犬

犬種ごとの遺伝子を解析して分類することでわかったこと、犬の多様性の理由や出身地の歴史など興味深いですね。ひとつの生物として、これだけの多様性があるのは犬だけなのだそうです。それは人間が手を加えて育種してきた結果であり、犬と人間の結びつきの深さを改めて思い知らされます。そしてまた、人間が作り出した生き物であるからこそ犬に対して人間は責任があるのだということも強く感じます。

遺伝子研究などと言うと難しくてとっつきにくい印象ですが、人間と犬のロマンが詰まっている分野でもあります。今回紹介した研究はまだまだ続き、地球上の全ての犬種のサンプルを集めて遺伝子解析することを目標としているそうです。遺伝子解析の結果、今は不治とされるような疾患の治療法が見つかることも期待され、さらにはそれが人間の医療に応用されるということもあり得ます。犬の遺伝子研究、また新しい発表が楽しみです。

《参考》
http://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(17)30456-4
http://www.sciencemag.org/news/2017/04/where-did-your-dog-come-new-tree-breeds-may-hold-answer

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 おさけ

    犬の遺伝子研究で、犬種のルーツがわかるなんておもしろいですね。サイエンスの話は右から左で苦手でしたが、犬の話は別腹です。うちの子のルーツ、知りたいです。こんなにいろんな犬種がいても、ルーツはひとつなのかしら。
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