愛犬は大丈夫?肥満になると寿命が縮まる恐れも
愛犬の体型について、お困りの飼い主さんも多いのではないでしょうか?例えば、
- うちの子は痩せているのか、標準なのか、太っているのか、基準が分からない
- ぽっちゃりは可愛いけど、今後の健康が心配
- 最近、散歩や運動を避けるようになった
- 急に体重が増えた
など、犬の体型や健康について不安な声が多く挙げられています。結論から言うと、肥満になると寿命が縮んでしまうかもしれないんです。この記事では、肥満によって寿命が縮んでしまう理由や体型のチェック方法、肥満にならないためのダイエット方法をご紹介します。
愛犬の体型は大丈夫?ご家庭でできる肥満度チェック
まずは、愛犬の体型や適性体重、肥満度をチェックしてみましょう。判断するには、ボディ・コンディション・スコア(BCS)が有効的です。BCSとは犬の体型を1~5段階に分けたもので、理想体型はBCS3となります。
- BCS1(痩せすぎ):触らなくても、見ただけで肋骨を確認することができる。
- BCS2(やや痩せ):肋骨が容易に触ることができる。
- BCS3(標準):過剰な脂肪がついてなく、肋骨が触ることができる。
- BCS4(やや肥満):脂肪の沈着はややついており、肋骨が触ることができる。
- BCS5(肥満):肋骨が全く触ることができない。
まずは、愛犬を見た目と触診によって体型を判断してみましょう。また、日頃から愛犬の体重を量り、把握しておくことが大切です。ほとんどの犬種は1歳のころから体格や体型が変わらないので、そのときの体重を適正体重としてメモしておきましょう。適正体重から15%以上の場合、肥満である可能性があります。
肥満になると寿命が縮まる5つの理由
では、なぜ肥満になると寿命が縮んでしまうのでしょうか?2013年にアメリカのペット栄養学センターで行われた研究によると、肥満の犬は平均寿命が短いことが分かりました。それは、肥満になると体に様々な影響を及ぼすためと考えられています。例えば、
- 体重が増えることで、ヒザなどの関節に負担がかかる
- 内臓脂肪が増えることで、内臓に負担がかかる
- 首周りに脂肪がつくことで、呼吸器に負担がかかる
つまり、肥満によって体に負担をかけることが寿命が縮んでしまうリスクを高めてしまいます。寿命が縮まる理由として、以下の病気の発症が疑われます。
- 糖尿病
- 脂肪肝
- 変形性関節症
- 気管虚脱
- 椎間板ヘルニア
一つずつご紹介します。
寿命が縮まる理由①糖尿病を発症している恐れがある
生活習慣が慢性化して発症した病気を、生活習慣病といいます。その一つに「糖尿病」があります。遺伝的要素や感染などが発症の原因ですが、肥満やストレス、食べすぎなどの環境要因も関与しているともいわれています。
初期症状はほとんどなく、症状が悪化すると多飲多量があらわれ、食欲があるにも関わらず体重が痩せていくことが特徴です。
寿命が縮まる理由②脂肪肝を発症している恐れがある
肥満になると皮下脂肪や内臓脂肪だけでなく、肝臓にも過剰に脂肪がつきます。これを「脂肪肝」、別名「肝リピドーシス」ともいいます。肥満の犬に多くみられる病気で、嘔吐や下痢、黄疸、出血などがみられ、悪化すると肝不全や肝性脳症も引き起こす恐れがあります。
寿命が縮まる理由③変形性関節症を発症している恐れがある
加齢に伴い関節軟骨に変形がおこり痛みや関節の熱感や腫れが出てくる状態を変形性関節炎といいます。肥満はこの関節炎を悪化させる原因になります。鎮痛剤の投与やレーザー治療を行います。体重超過の場合は減量を行い、できる限り安静に過ごすことが重要です。
寿命が縮まる理由④気管虚脱を発症している恐れがある
気管が変形、またはつぶれてしまう病気を「気管虚脱」といいます。発症の原因は遺伝的なものが多いといわれていますが、肥満によって首周りに脂肪がつくことで気管が圧迫されることも原因の一つと考えられています。
症状が悪化すると完全に気管がつぶれて塞がってしまうため、呼吸をすることができなくなります。ガーガーというガチョウが鳴くような声を出すことが特徴で、その他にも咳がみられます。
寿命が縮まる理由⑤椎間板ヘルニアを発症している恐れがある
家庭内の環境によって、病気を発症する場合もあります。例えば、つるつる滑るフローリングや、高いソファやベッドからの乗り降り、階段の昇り降りなど、犬の体にとって負担となるものが多く存在します。特に肥満犬にとっては動きづらく生活しにくい環境でしょう。
その際に引き起こしやすいのが、「椎間板ヘルニア」です。椎間板ヘルニアは脊髄が圧迫されるため麻痺などの症状がみられます。
特に、胴が長く足が短い犬種(ミニチュアダックスフンドなど)にとってはこのような生活環境は足や腰へ負担が大きくかかります。対策としては犬用のスロープを設置したり、爪が引っかからない程度の毛の短い絨毯を敷いたりするようにしましょう。
愛犬がこのような様子になったらすぐ病院へ!
肥満体型であることに加え、下記のような様子がみられたらすぐに獣医さんに相談しましょう。
- 動こうとしない
- 散歩を嫌うようになる
- ご飯を食べようとしない
- 食欲はあるのに体重が減り続ける
- 元気がない
- 体がむくんでいるような気がする
- 呼吸が苦しそう
病気予防に!肥満にならないダイエット方法
犬が肥満になる原因の多くは、食事内容が適切でないことと運動不足が考えられます。愛犬の命を守るには、まず肥満にならないよう普段から気を付けなければなりません。
肥満になってから減量やダイエットをするのではなく、普段からの予防で肥満にさせないことが大切です。ここでは、ご家庭でできるダイエット方法をご紹介します。
ダイエット方法①食事管理を行う
まずは愛犬の現在の食事内容を見直してみましょう。下記のことをチェックしてみてください。
- オヤツをあげすぎていないか
- ドッグフードは年齢に合ったものか
- 一日に与える量は合っているか
- 手作り食の場合、脂質や炭水化物の量は多すぎていないか
ここでのNG行為は、過度な食事制限をすることです。極端に食事量を減らしてしまうと空腹時間が長くなるため、盗み食いをしてしまったり、周りにあるものを誤飲してしまったりする恐れがあります。
食事管理を行うには、一日の食事量を変えずに回数を増やすようにしましょう。犬は量よりも回数に魅力を感じる動物なので、「今日はご飯がもう一回あるんだ!」とテンションが上がります。空腹感によってどうしてもオヤツを欲しがる場合は、ゆで野菜を少量与えるようにしましょう。
また、人間の食べ物を与えることはオススメできません。塩分や糖分が多く含まれており、また犬にとって有害な食べ物(タマネギやチョコレートなど)が含まれている恐れがあります。
「欲しがるから」「おねだりが可愛いから」などの理由で与えてしまうと、肥満になるだけでなく体調不良の元凶となってしまうかもしれません。
ダイエット方法②適度な運動
毎日の散歩は欠かしてはいけません。小型犬は必要運動量が少ないため、家の中の運動だけで足りますが、外に出て空気を吸ったり草花と触れ合ったり他の犬と交流したりすることに意味があります。
特に中型犬や大型犬は必要運動量が多いので、十分な散歩の時間をとってあげるようにしましょう。犬にとって散歩は良い刺激となり、飼い主さんとのコミュニケーションやストレス発散にもなります。
まとめ
肥満は、どのご家庭でも起こりうるもっとも身近なものです。病気を発症するリスクが高まることが分かると、肥満になることの怖さがじわじわ込み上げてきますね。
肥満自体は病気ではありませんが、病気へのリスクが高まり、命に関わることもあります。犬は人間のように、「太ってきたからダイエットしなきゃ」と自分の体型について危機感を持ちません。そのため、飼い主さんによる体調管理がとても大切になります。